昼食を食べるのは決まって屋上。正しくは、屋上の手前にある外階段の踊り場だ。
外階段と言っても屋根があり、側面も屋根と同素材のテント地のようなもので覆われているので、雨風もしのげる。
ここが休憩場所として何が良いかと言うと、まず景色。そんなに高い建物ではないが、周りが住宅街なので、空が広い。遠くに小さくだが山も見える。そして基本的に誰も来ないから、一人でのびのびできるところだ。
それをいいことに、テーブル代わりの踊り場と屋上の境にある段差に食べ物を広げ、自宅から持ってきたアウトドアチェアに座り、イヤホンで好きなポッドキャストなどを聴き、時折ニヤニヤしながら猫背でご飯を食べている。食べ終えると、空をぼーっと眺めたり、本を読んだりする。
大方はそんな落ち着ける場所なのだが、ドキッとする事もある。
それは、周りにいくつか集合住宅があるのだが、そのベランダや廊下、屋上などに人が現れた時だ。
高さが同じくらいだと、その距離が結構近くて気まずい。向こうが気づいていなかったら、視線を外して気配を消すよう努める。
こちらも油断しているが、向こうも家に居たり、帰って来たタイミングだから、気を抜いていることだろう。誰も居ないと思っていた近くの屋上に、人を発見すると怖いと思うのでそうしている。
ところでこの場所には、たまに鳥のフンが落ちているので、鳥も休みに来ていると思われる。休憩中に一度、思いっきり着陸態勢で来たカラスと1メートル間隔くらいで目が合った。
カラスはすんでのところで方向を変え、視界から消えたが、あの時感じた気まずさは、人に対するものと同等だったような気がする。そしてカラスも私と同じくらい気まずさを感じている目をしていた。
カラスは飛べるから、人間よりも高度を介した接近に、もしかしたら敏感かもしれない。