周りより、一段階色が薄く見える人を見たことが、二回ある。
どちらも二十年前くらいだ。一度目は、地元から近い街の駅前の公園で、ベンチに座っていた女性が、全体的に淡いというか、色褪せているように見えた。
女性は髪が長く、カーディガンにタイトスカートのような、おとなしくて地味な服装だったと思う。目を瞑って穏やかに微笑んでいて、なぜか靴を脱いでおり、両足を揃え、脱いだ靴の上に置いていた。人通りは結構あったが、女性の様子を気にしているのは自分だけのようだった。
二度目は、通っていた自動車教習所から最寄駅へと向かう時、向かいから来る女性の色が淡かった。
服は、破れたり汚れた服をいくつも重ねていて、その結果ドレスのようなシルエットになっていた。険しい表情で、一心に前を見つめ、進んでいた。浮浪者か狂人のように見えた。異様な様子に圧倒され、呆然とその姿を見送った。周りには彼女と私だけだった。
当時の友人にこのことを話すと、顔を歪めて、お化けじゃないかと言った。そういう人たちは、案外さらっとその辺りにいるらしい。それを聞き、怖くなった。でもきっとそうだと思った。
しかし、そういう人を見たのは、短いその期間のそれきりである。