発売当初はドコモショップでも積極的に販売されていたが…


PS Vitaを購入する際、Wi-Fiモデルか3G/Wi-Fiモデルのどちらかを選択する必要がある。3G版を選択する場合、3G機能を生かしたゲームの楽しさがどこにあるのかがポイントだが、発売から半年以上たってもその楽しさがユーザーには見えてきておらず、多くの初期ユーザーが契約を更新しなかった。この現状から考えると、PS Vitaの3G版はラインナップから消える可能性がある。
携帯ゲーム機のPS Vitaは、Wi-FiモデルとWi-Fiに加えて携帯電話の3Gネットワークに接続できる機能を持った3G/Wi-Fiモデルの2モデルで展開されている。3G通信機能が生かせるのは、外出時などWi-Fi環境が使えない環境だ。いくつかのゲームでは、通信機能を生かした遊び方ができるようになっているが、ほとんどの場合Wi-Fiでも十分な機能でしかない。3G回線を1年間維持するのにかかるコストは、料金プランにもよるが1万円ほどとなっている。年間1万円というのは、ゲームソフト2本分ほどの価値があるが、多くのユーザーはVita 3G版の付加価値を見いだすことなく、初回限定版の契約期限が切れても契約を更新しなかった。

ドコモのプリペイド契約は今後も減少することが予想されるが、直近の7月の場合、どれだけ新規で販売されるかによって異なるが、対象期間(2011年12月下旬から1月中旬まで)のVita 3G版の販売数は4万から5万台程度なので、2万から3万前後の減少にとどまりそうだ。

■価値が見いだせないSCEの有料サービス
似たような定額課金が必要なゲーム専用機の料金プランに、マイクロソフトのXbox 360のゴールドメンバーシップがある。こちらは1年間維持するのに5,000円程度必要だが、Xbox 360のソフトすべてでインターネット対戦などの通信機能が利用できるようになる。このため、多くのゲーム好きなXbox 360ユーザーはこのサービスに加入している。一方SCEでは、主にPS3で使用できるPlayStation Plusという有料サービスも始まっているが、Vitaとの連携もなくXbox 360のように、多くのユーザーが利用するところまでのサービスに育っていないようだ。

小中学生などを除き、多くのゲームファンは携帯ゲーム機と携帯電話やスマートフォンなどを所有している。スマートフォンなどに料金を支払っている場合、スマートフォンと同等のことしかできない携帯ゲーム機にも、料金を支払いたいという人はほとんどいないだろう。

ソフト開発側としてみると、2つのモデルが存在していれば、両モデルに対応した機能をソフトに組み込む必要がある。開発費もかかるが、3G版の販売数が全体の1/3程度で、多くのユーザーが3G契約をやめているという現状では、今後のソフトは3G版を生かした機能を載せてくることはほとんどなくなるだろう。

■PS Vita 3G版はどうなる
SCEとしては3G版の販売強化のためか、量販店で事実上の値下げキャンペーンを行っているが、3G版を生かせる機能がはっきりしていない状況で、わざわざ追加料金が必要な3G版を選択するユーザーは今後も増えることはないだろう。

このように3G版の存在価値が見いだせないままなら、高コストの3G版はラインアップから消えてしまってもおかしくはない。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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