昨日紹介したマイクロソフトの独自タブレット端末「Surface」は、製品そのものの完成度が未知数だ。年内にも登場するであろう新OSの「Windows 8」や「Windows RT」を搭載するとはいえ、売れるかどうかはまったくの未知数だ。アップルのiPadのように“出せば売れる”ことが約束された製品とは大違いなのだ。

特にSurfaceの販売網やサポート体制は、これから構築する必要がある。このようにSurfaceは、既存のPCメーカーの人気モデルを脅かすようなヒット商品になると決まったわけじゃないのだ。

■販売は当初、米国のみ
米マイクロソフトは米国では直営店を2009年から展開している。今回発表されたSurfaceは、この直営店とオンラインで販売されることが決まっている。

ネットなどから情報を得て、実物を見ることもなく購入するユーザーは多数派ではなく、一般的には量販店などで様々なモデルと比較しながら購入することが多い。日本では、NECや富士通、東芝などは古くからPCを販売し、全国各地の量販店で展示販売している。

日本HPやASUSTeK、レノボなど、ここ数年で個人向けに日本で展開が始まったメーカーは、大都市ではそれなりにがんばってはいるものの、地方での展開はまだまだだ。

マウスなどの周辺機器の販売網がすでにあったとしても、Surface用に販売網や販売スペースは新しく確保する必要がある。これは日本だけではなく米国など世界各地でも似たような状況だ。また、販売網を構築できたとしても、販売後のサポート体制なども重要になる。従来マイクロソフトはOSをパソコンメーカーに提供したらWindows自体のサポートもパソコンメーカーに一任していたが、Surfaceの場合は自社のハードウェアなのでサポートはマイクロソフト自身が行うことになる。

製品の魅力がどれだけ高くても販売からアフターサービスまで充実していなければ、ユーザーの満足度を高めることはできない。顧客満足度を高めるのは、そう簡単なことではないのである。

■ユーザーが魅力的に見える製品か?
Surfaceは、カバーと一体化したキーボードになっている。それが魅力的に見える部分もあるが、カバーは使うがキーボードを使わないときはどうするのか?など疑問点もある。しかし、タブレット端末で文字入力する際、画面がソフトウェアキーボードで半分隠れたり、音声認識も周りとの関係で使えないところも多いなど、突っ込みたい部分もある。しかし、タブレットで文字入力を存分に行いたい人には魅力的見える部分もある。

マイクロソフトのSurfaceは、GoogleのAndroidスマートフォン、NEXUSシリーズのようなリファレンスモデルとしての一面もありそうだが、他メーカーにSurfaceを見習って商品化してくれというお手本のような製品でもある。小型や薄型の製品を得意としていた日本メーカーに限らず、すべてのパソコンメーカーは、ピュアタブレットを提供する場合、このSurfaceを参考にして、もっと魅力的な製品を開発してくることだろう。

COMPTEX TAIPEI 2012では様々なタイプのキーボードが外れるタブレット製品がお披露目された。それらを見てきた筆者にとって個人的には、カバーとしても使えるキーボードを備えたマイクロソフトのSurfaceは、ピュアタブレットとしてはそれなりに魅力的に見える。あくまで個人的な感想でしかないが……。

各PCメーカーのSurfaceライクな製品は、まだお披露目されていないがSurfaceと比べて利便性の高い製品を開発中のようで、今年の冬は様々な製品が投入されるだろう。となるとマイクロソフトのSurfaceがそのころ日本で発売されている可能性はないかもしれない。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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