Linuxでもっとも人気のディストリビューションであるUbuntu(ウブントゥ)。「自分はWindows/MacユーザーだからLinuxなんて関係ない」と思っているユーザーも多いだろうが、「備えあれば憂いなし」。実は、Ubuntuはイザという時に便利なのだ。その納得の理由を解説しよう。


■CDから起動できるUbuntu
Ubuntuはフリーで配布されているので、Windowsに代わるデスクトップ環境として使うことができる。また、非常に安定したOSであるため、サーバ用途で使用してもよい。これらは機会があれば改めて述べたいが、Ubuntuのメリットはそれだけではない。

筆者がWindowsユーザーにもUbuntuの利用をオススメしたい最大のポイントが「データレスキュー用」としてである。つまり、Windowsが何らかの理由で致命的なエラーを出して起動しなくなってしまった際に、UbuntuのイメージCD/DVDから起動することで、HDD内にあるWindows領域のデータを救出できることがあるからだ。

■メディアにイメージを焼き付ける
UbuntuのイメージCD/DVDを作成するには、UbuntuのWebサイトから最新のISOイメージをダウンロードし、700Mバイト以上の容量を持つCD-R/RW/DVDにブート可能にしてコピーする。

イメージの保存法は、Ubuntuのサイトに使い方が詳しく解説されている。「CDBurnerXP Pro」、「DeepBurner」などのフリーソフトを使ってもよいし、パソコンに付属するライティングソフトでも問題なく書き込める。なお、筆者が検証した結果、MacOS Xに付属するディスクユーティリティでも書き込めた。

こうした作成したメディアを光学ドライブに挿入してパソコンを再起動すれば、このメディアから起動する(BIOSの設定変更が必要な場合あり)ことができるのだ。

■WindowsのHDDからデータを救出
メディアから起動するとインストーラーが立ち上がる。ここで「Ubuntuを試す」を選ぶと、HDDにUbuntuをインストールせずとも、一定の機能が利用できるわけだ。

少し待つと、メディアから起動した状態でUbuntuが使えるようになる。各種ボタンの位置が違うだけで、使い方はWindowsと大差ない。「移動」メニューから「コンピューター」を選ぶと、Windows用のHDDが見えているはずだ。ここで見えなければ、HDDがクラッシュしている可能性があるのでデータの救出はあきらめるしかない。なお、「ファイルシステム」というアイコンはUbuntuのものである。

もしHDDが見えるのならしめたものだ。Windows用のHDDをダブルクリックするとマウントされるので、ここから「Users」フォルダ内の各種ファイルにアクセスし、USBメモリーや外付けHDDなどにコピーして救出する。ちなみに、Mac用のHFS+でフォーマットされたディスクからのデータ救出も可能である。終わったら、右上の歯車状のアイコンからシステムのシャットダウンを選ぶと、起動メディアが排出されるという具合だ。

Windowsが起動しなくなる原因はさまざまだが、ユーザーにとってはデータの救出が最大の関心事のはず。まずはUbuntuを使って可能な限りのデータを救出することで、その後、じっくりと原因究明と修復にあたることができる。

何かとトラブル時の相談やサポート要請を受けることの多い筆者は、相手のパソコンに対して、最初にUbuntuでのデータ救出を行うことが多い。相談の電話が来た際、必ず持参するのが、Ubuntuのメディアなのである。

Ubuntu Japanese Team

大島克彦@katsuosh[digi2(デジ通)]

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