簡単にメンテナンスが出来るHP Z1


日本HPがユニークなオールインワン型ワークステーション「HP Z1 Workstation」を発表した。日本のような狭いオフィス空間に合わせて設計されたワークステーションで、液晶内にワークステーションの本体(CPU、メモリー、グラフィックス等の各パーツ)を内蔵される液晶一体型である。こうした液晶一体型のパソコンは、狭いスペースにパーツを押し込んでいるのとユーザーがメンテナンスをすることを想定していないことが多く、手を入れるとしてもメモリの増設くらいしか行えない製品がほとんどだ。しかし、HP Z1 Workstationは、メンテナンス性が非常に高い上、グレードによっては個人でも手が届きそうな値段なのでハイエンドなパソコンを探している人にも要注目のワークステーションとなる。
パソコンはサイズや形状別にいくつのタイプに分けられる。2012年現時点では、タブレット、ノートパソコン、デスクトップ、液晶一体型(オールインワン)の4種類が主流だ。オールインワン型はAll in OneからAIOと略されることもあるが、液晶やコンピューター本体の部品がすべて一体化したシンプルな製品で、省スペースな点が好まれ一定の需要がある。しかし、ノートパソコンのように狭いスペースにパーツをぎっしり詰め込む設計となっており、分解が難しくメンテナンス性が非常に悪い。

こうした点を考えれば液晶一体型でワークステーションを作るというのは無謀とも言える芸当なのだ。そうしたマイナス点にあえて挑戦して完成したのが27型ワイド液晶を搭載したHP Z1 Workstationなのである。ワークステーションは一般的なパソコンよりハイエンドな製品で、CGやCAD、金融などビジネスに直結した形で利用される。パフォーマンスに加えてスタビリティも求められ、故障率の低さや故障時の早急なサポート対応が求められる。それを液晶一体型で作ってしまうというところがHPのすごさなんだろう。同社はオールインワン型のPCとして、コンシューマー向けならTouchSmartやOmni、企業向けでもCompaq 8200 Elite All-in-Oneなどがあり、ここにこのワークステーションが加わった形になる。

デュアルディスプレイでの運用例


今回の製品は、一般的なデスクトップPCと同様に各部品がモジュール化されており、どの部品が故障したとしても比較的簡単に交換ができるようになっている。本体を開けるのも工具を必要とせず、主要な部材もコネクターなどで簡単に取り外しができるようになっている。GPUはモバイル向けのNVIDIA Quadroを搭載し、GPGPUでの活用も期待できる。このGPU自体もZ1用の専用設計で簡単に取り外しができるようになっている。

価格は、25万円程度からでパソコンとしては高価だが、個人でも手が出せる価格であり、27型の液晶も含めたワークステーションとしてはリーズナブルな部類になるだろう。

ただ、この分野の第1号機ということもあり、GPUが取り外し可能ではあるが、交換用の部材が購入できるわけでは無く、HDD容量もワークステーションとしては多い方ではないなど、いくつか改善が必要な部分もある。どこまで妥協するか、将来性をどこまで期待するかといった考慮すべき点はあるが、液晶一体型の省スペースワークステーションとしては悪くない選択肢になるだろう。

HP Z1 Workstation

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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