東日本大震災でIT業界も異変が起きている。単に業績が落ち込んだというだけではない。今後を見据えたIT改革が進行しているのだ。

日経BPコンサルティングが行った「ポスト3.11時代のICT利用意識調査」からは、集中から分散、所有から利用への動きが見られた。

ICTの基本的な方針では、「集中させて投資や運用の効率を高める」という考え方を支持する人が、震災前の58.1%から震災後は38.4%と激減している。一方で、「分散させてリスク回避を図る」が10.9%から23.6%にアップした。

いままでは集中させて効率を高めるという考えが広がってきていた。ところが、データセンター自体は被害は免れたが、東北電力、東京電力の震災後の停電、計画停電などでサービスを停止しなければならない事態に追い込まれた企業もあった。このように大震災はいままでの常識に疑問を投げかけるきっかけとなったようだ。

所有については、「自社で所有」するは66.2%から49.7%に減少したが、「ベンダー提供サービスや環境を利用」するは13.2%から21.6%まで増加した。クラウドサービスが浸透してきた中、利用意識が変わって行っていることが分かる。

2011年のICT投資額は、変化なしが約6割と大半を占めるが、情報システム部門では、増加が減少を8ポイント上回る。ただし、売り上げ見通しは減収が増収を上回っていることから、業績にあわせてではなく、ICT強化が必要という意識から投資を増加させているようだ。

投資を増加すると答えた企業は、災害対策関連の銘柄など複数の分野に投資しようとしている。投資を減少させる企業でも、ハード二重化、分散化、自家発電装置、省電力サーバー、クラウドコンピューティングなどは、投資増の対象となっているのだ。

今後、このような意識がどう変化するかで、ICT市場全体が左右されそうだ。

日経BPコンサルティング

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