パソコン自作派の中には、パソコンの処理能力を極限まで高めることができる「オーバークロック」の世界に憧れる人が多い。「前人未踏の爆速PC」のようにパソコンを自作する人にとって魅力的な反面、パソコンを痛めるリスクからメーカーの保証対象外ともなる。

リスクはあるが、だからといってオーバークロック好きの魂が押さえられるわけではない。今では世界大会が開催されるほど、オーバークロックは自作マニアの間で定着しているのも事実だ。

そんなオーバークロックの世界で意外と重要なのが、メモリモジュールだ。どんなに優れたCPUを使ったとしても、安定動作させるためには、メモリが重要な鍵となる。前回の記事「爆速化の鍵はメモリにあり!オーバークロックに強いメモリはどこが違うのか」でも紹介したが、オーバークロックに適したキングストン「HyperX T1シリーズ」のようなメモリモジュールがオーバークロックには欠かせないのだ。

「HyperX T1シリーズ」は、どれくらいオーバークロックに強いのか。今回は、世界的なオーバークロッカーのduck氏にレポートして頂いた。

■安定して高クロックで使いたい人にもってこい
「HyperX T1シリーズ」は、高クロックメモリシリーズのひとつだ。オーバークロックに強い秘密は、独自の熱交換テクノロジー「HyperX Thermal Xchange テクノロジー(HTXテクノロジー)」を採用した大型ヒートスプレッダにある。

この大型ヒートスプレッダが、高速動作のためにオーバークロッキングで発生する過剰な熱を発散させるため、オーバークロック時でも安定した動作ができるのだ。

そんな「HyperX T1シリーズ」のパフォーマンスを、早速、オーバークロッカーのduck氏に調べて頂いた。ここでは、型番がKHX2250C9D3T1K2/4GXのメモリモジュールを試してもらった。
「HyperX T1シリーズ(型番:KHX2250C9D3T1K2/4GX)」

duck氏によると、今回のメモリモジュールはメモリクロック 2250MHz(1.65v)、9-11-9-27(XMP)で動作するが、(tRCD) 項目さえ詰めなければ、さらに高クロックでの動作が可能だという。電圧とあまり関係なくオーバークロック耐性が伸びていく性格からして、世代的にもElpida-BDBGチップあたりの選別品と推察できるそうだが、重要なのはその使用用途と組み合わせる環境とのこと。

常用環境で使う人はもちろん、ベンチマーク重視で使う人でも、3D系やゲームベンチを好む人なら、それほど低レイテンシ動作をさせなくてもよいそうだ。

専門用語に慣れていない人には、何のことだか、わからない人もいるだろう。duck氏いわく、「とにかく安定して高クロックで使いたい人には、コスト的にも、もってこいのシリーズだと思う。」とのことだ。

■ユーザーの遊び心も十二分に満たすことができる
さて、そんなメモリモジュールも注意しなければいけない点がある。使用するCPUのBCLK耐性やメモリコントローラーとの耐性だ。
せっかくの高耐性メモリを使用していても、先にCPUの限界が来てしまうと、その能力を活かせないまま眠らせてしまうことになる。

このメモリモジュールに限ったことではないが、このクラスの高クロックメモリをオーバークロックさせる場合、マザーボード(M/B)の種類にもよるのだが、あっという間にBCLKが210を超えてしまことがあるそうだ。

その辺の領域になってくると、オーバークロックにおけるBCLK耐性などが低いCPUを使用している場合、CPUとメモリのどちらが先にエラーを出すのかが、わからなくなってしまうという。

実際に今回、duck氏はCore i7-875Kで試してみたが、最初はCPUが足を引っ張ってしまい、非常にオーバークロック耐性が悪かったという。しかし幸運にもi7-875Kの予備を複数個所有していたので、そこで見切りをつけ、BCLK耐性の良いCPUに交換してみたら、ねらい通りオーバー耐性も飛躍的に向上し、メモリの持つ潜在能力を引き出すことができたとのこと。

その結果、電圧定格(1.65v)で2550MHz動作まで伸びていき、さらにメモリ電圧を+0.1v(1.75v)まで昇圧すると、2650MHz動作まで成功した。

さらに、タイミングを詰めて9-9-9-27で動作させてみたところ、2133MHz起動も可能だった。逆算すると、9-9-9のゾロ目でもDDR-2000で常用できそうだという。

メモリモジュールを使用してみた感想をduck氏にうかがったところ、
「巨大なヒートシンクの恩恵で発熱も最低限に抑えられているため、定格の2250MHzでも十分高いパフォーマンスだが、タイミングを詰めてみたり、更なる高クロック化へ挑戦するなど、ユーザーの遊び心も十二分に満たすことができると感じた。 」とのこと。今も昔も青いボディにXの文字は、オーバークロックのみならず、パワーユーザーの憧れの的という。

「HyperX T1シリーズ」は、実際にオーバークロックに強いメモリモジュールだった。今後も世代を超えてHyperXのハイパフォーマンスは引き継がれていくことだろう。

パソコン環境
CPU : intel Core i7 875K
CPU Cooler : intel XTS100H
M/B : ASUS Maximus Ⅲ Fomula
VGA : Nvidia GTX460
SSD : intel X25M (80GB)
PSU : SilverStone SST-ST1200G

「HyperX T1シリーズ」製品情報
キングストン

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