日本映画
ジャッジ!
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
流行は作られるもの?CM業界の「綺麗な嘘」と「泥臭い裏工作」を笑い飛ばす快作コメディ
日本映画『ジャッジ!』とは
CM業界トップクリエイター × 超豪華キャストで贈る爆笑あり、恋あり、感動ありのエンターテインメント作品!
妻夫木聡氏と北川景子さんの共演で、CM業界の裏側を描いたコメディ映画。
監督は、サントリーBOSS「ゼロの頂点」、ダイハツ工業「日本のどこかで」、サントリー「グリーンDAKARA」などを演出してきたCluB_Aの現役CMディレクター・永井聡氏。
2005年のオムニバス映画『いぬのえいが』に次ぐ監督作品で、本作が長編映画デビュー。
脚本は、ソフトバンクモバイル「ホワイト家族」シリーズなどを手がけた、電通CDCの現役CMプランナー / クリエーティブディレクター・澤本嘉光氏。
1990年代から国内外の広告祭で審査員を多数務めてきた。
澤本氏は、主演の妻夫木聡氏がこれまで出演してきたトヨタ自動車「ドラえもん」シリーズや東京ガス「ガス・パッ・チョ!」のCMも手がけている。
テレビCM世界一を決める国際広告祭、ちくわのCMでグランプリ獲れなかったら…会社クビ!?
世界中のクセモノたちと繰り広げる賞レースが幕を開ける!!
あらすじ
世界一のテレビCMを決める広告の祭典、サンタモニカ国際広告祭。
落ちこぼれ広告マン、太田喜一郎(オオタ・キイチロウ)は、社内一のクセモノ上司、大滝一郎(オオタキ・イチロウ)に押し付けられ審査員として参加することになる。
毎夜開かれるパーティに同伴者が必要と知った太田に懇願され、仕事はできるがギャンブル好きの同僚・大田ひかり(オオタ・ヒカリ)も "偽の妻" としてイヤイヤながら同行することに。
戸惑う太田は、なぜか審査会に詳しい窓際族、鏡さんに怪しげな特訓を受ける。
世界各国の代表が集合し、華やかに審査会が開幕する中、太田はちくわのCMで賞を獲らなければ会社をクビになってしまう!?という、まさかの事実を知る。
世界中のクリエイターたちが、やっきになって駆け引きや小芝居を繰り広げる中、ライバル会社のエリート、木沢はるかも参戦。
太田は持ち前のバカ正直さと、鏡さん直伝の数種類の英語を武器に奔走する。
そして、ひかりの助けを借りているうちに、偽夫婦だった2人の距離も次第に近づき始めて……?
果たしてグランプリの栄冠は誰の手に?
"偽夫婦" を演じる太田とひかりの恋の行方は?
そして、 陰謀渦巻く審査会に翻弄される主人公・太田が最後につかんだものとは…?
登場人物
太田 喜一郎(おおた きいちろう)
演 - 妻夫木聡
本作の主人公で、現通の落ちこぼれプランナー。
上司の大滝の命令で、替え玉として国際広告祭の審査員をすることになる]。
青森県出身。
大田 ひかり(おおた ひかり)
演 - 北川景子
太田の同僚。
通称「できるほうのオオタ」。
太田の計らいで国際広告祭の同伴者として太田の妻の役を引き受けることになる。
ギャンブル全般に興味を持っている。
大滝 一郎(おおたき いちろう)
演 - 豊川悦司
現通社員。
国際広告祭の審査員に任命されるほどのトップクリエイターで、太田の上司。
彼のアルファベットの読みが同じと言う些細な理由で太田に審査員の仕事を押し付ける。
鏡さん(かがみ)
演 - リリー・フランキー
現通の資料保管室に勤める窓際社員。
太田にペン回しや英会話の指導をした。
木沢 はるか(きざわ はるか)
演 - 鈴木京香
現通のライバル企業の広告代理店「白風堂」の女性トップクリエイター。
自身が手掛けたトヨタのCMを広告祭に出品した。
太田同様、青森出身。
カルロス
演 - 荒川良々
ブラジル人の審査員。
カタコトだが日本語が話せる。
流行は不純な出来レースで、大流行は偶然と奇跡で作られる
流行は作られるもの。
自然発生に見えるブームも、実は誰かのデスクの上で設計されている。
良質なCMというのは、いわば現代の魔法なのだ。
視聴者が「いいね」と思う背景には、緻密な計算と、時には泥臭い「根回し」がある。
そんな冷酷な現実を、コメディタッチで描いた本作。
コメディとしては王道のドタバタ感があるが、広告業界の裏側という切り口が非常に冷徹で面白い。
CMのみならず、マスコミという華やかな世界への憧れを、いい意味で裏切ってくれている。
くだらないCM一本に、大の大人が人生を賭けて戦う滑稽さと格好良さは、どんな仕事にも通じるものがある。
物語の軸となるのは、世界最大の広告祭。
そこは才能がぶつかり合う聖域ではなく、各国のエゴと政治が絡み合う、極めて不純な場所だった。
だが、不思議と「映画だから」という特別感はない。
こんな出来レースは、世の中いくらだってあるからだ。
こんな出来レース(らしきもの)を、幾度となくみてきたからだ。
某お笑い賞レースだってそうだろう。
不可思議な結果に、土地の利(特に関西)や事務所(特に◯本興業)ヒエラルキーがまったく影響していないとは思えない。
だいたいこういうことをガチで描くと角が立ってしまうのだが、本作からは不思議と嫌悪感が感じられない。
豊川悦司氏が演じる実に業界人らしい胡散臭い上司すらもギャグ要員にしてしまうのは、本作がコメディとして優秀な作品だからだろう。
まだテレビ局が殿様だった頃の名残り深い豪華キャスティングで、お祭り作品のような本作だが、毒を笑いに変えるコメディとしての質の高さは評価してもよいのではないだろうか。
妻夫木聡氏演じる落ちこぼれの太田と、北川景子さん演じる出来る方の大田の対比も面白い。
同じ音でありながら対極にいる二人を、同じオオタ姓という記号で繋いだことは、実に秀逸な設定だった。
ちなみに二人の演技について驚きや裏切りは特別ない。
が、ファンにとっては "らしく" て良かったのではないだろうか。
流行は作られるものとは、つまり流行とは意図的に発生させるものである。
基本的にはこの予定調和で進む本作。
ここで効いてくるのが、劇中に登場する「ニャーニャー」という謎のフレーズを連呼するだけの、およそ知性とは無縁にみえる「キツネどん兵衛(風)」のCMである。
この、一見するとただの悪ふざけにしか見えない演出が、実は物語を動かす最大の鍵となる。
誰かの意思で意図的に発生させられた流行には、おそらく限界がある。
世界的な大流行するモノには、それだけでは足りない。
多くの人の心を動かすもう一つの、何かしらのピースが必要だ。
劇中で描かれた、人種や国を超えた「ニャーニャー」の大流行は、まさにその "何かしらのピース" が埋められた奇跡の瞬間だった。
妻夫木聡氏の実直さを全面に押し出しただけのような印象の本作ではあるが、こういった真理がさりげなく描かれているからなかなかに侮れない。
もっと深いところまで潜れば、新しい発見がもしかしたらあるかもしれない。
とはいえ、気楽に観れる作品。
妻夫木聡氏の人柄の良さは、疲れたあなたの心をきっと癒してくれるだろう。
ちなみに、本作には大好きなリリー・フランキー氏もちょい役で出演している。
ちょい役といえど、これがなかなかのキーパーソン。
そしてリリー・フランキー氏が出演しているシーンこそ、個人的に一番の見どころ。
「これから大事なことを言う」
沈黙を金にする、魔法のようなこの名セリフ。
リリー・フランキー氏から教わったこの言葉を、いつか困った時、とびきり恰好をつけて言ってみよう。
劇中で描かれていたように、もしかしたらこのセリフが、周りをビビらせるとびきりのハッタリになるかもしれない。
☆今すぐApp Storeでダウンロード⤵︎


