知識の泉
今すぐ誰かに話したくなる知的雑学
医学界のシンギュラリティ「CTスキャン」を生み出したのはビートルズ?
知識は力なり
かの有名なイギリスの哲学者、フランシス・ベーコンは言った。
「知識は力なり」と。
この言葉には、読んで字の如く「知識は自身の力になる」という意味とは別に、「経験によって得た知識を、いかにして実践的に使用することができるのか」という意味も込められている。
雑学も同様だと思う。
実際には、生きていく上で何の役にも立たないと思われている、どうでもいい情報群。
それが雑学という分野といえるだろう。
しかし雑学で得た知識を、どのように使うのかは人それぞれ。
普段の話のネタに困っている人。
トーク力を上げたい人。
飲み会やデートなどで知識を披露したい人。
知識を吸収したいけどあれこれ調べるのが面倒な人。
そして、物事の本質や奥深さを知りたい人。
純粋に「なるほど!」と思いたい人まで。
当たり前に感じていたことも、角度を変えた視野からみることで、別の面があることに初めて気付かされる。
その知識を他人にひけらかすだけでなく、その知識をもとに、固定観念から解放され、世の中の見え方を変えようではないか。
さすれば、「知識は力なり」の言葉の意味を実感できるはずである。
シンギュラリティは熱狂から生まれた
病院で誰もがお世話になる「CTスキャン」。
その巨大な機械の奥底に、実はビートルズのメロディが流れていると言われたら信じるだろうか?
もちろん、直接の発明者はエンジニアである。
だが、そのエンジニアに「自由に研究していいよ」と言えるだけの巨万の富を与えたのは、世界を熱狂させた4人の若者たちだった。
当時、CTを世界で初めて商用化したのは、ビートルズが所属していた音楽・家電大手の EMI (Electric and Musical Industries) 社。
当時のEMIは、音楽レーベルであると同時に、 レーダー技術やコンピュータ開発などを行う高度な中央研究所を持ち、軍事技術をも手がけるハイテク企業だった。
CTスキャンの発明者ゴッドフリー・ハウンズフィールドが、コンピュータを使って物体の内部を3次元的に再構成するというアイデアを思いついた時、当初は周囲のエンジニアや医学界から「そんなのは不可能だ」「机上の空論だ」と冷ややかな目で見られていた。
理由は、 当時のコンピュータ能力では計算に膨大な時間がかかり、実用性は皆無だと思われていたからだ。
このような「海のものとも山のものともつかない」研究に、民間企業が多額の予算を割くのは非常に勇気がいることだった。
ここでビートルズの恩恵が登場する。
『プリーズ・プリーズ・ミー』から『アビイ・ロード』まで、空前絶後のレコード売上がEMIの金庫を埋め尽くす。
音楽事業で歴史上類を見ないほどの利益が出すぎて税金対策が必要だった(諸説あり)EMIは、中央研究所に対して「短期的には利益が出そうにない、突拍子もない研究」を許容する経済的・精神的な余裕が生まれた。
そこで、研究所のゴッドフリー・ハウンズフィールドという天才に「採算度外視で好きな研究をしていいよ」という、白紙委任状を渡すことになる。
通常の企業であれば、開発費がかさむ初期段階で「採算が合わない」とプロジェクトを打ち切られていた可能性は極めて高い。
だが、EMIにはそれができた。
研究が形になり始めると、英国政府(保健省)も資金援助を始めるのだが、これにもEMIの存在が関わっている。
政府は「EMIのような大企業が本気で取り組んでいるなら、臨床用の試作機を作る価値がある」と判断し、1969年頃から公的資金を投入することになる。
つまり、EMIのバックアップが政府からの信頼を勝ち取る呼び水になったのである。
結果的に、ビートルズ・マネーのおかげで開発は完遂された。
最初期の装置は「EMIスキャナー」と名付けられ、医学界では「CT」よりも先に「EMIスキャン」としてその名が轟くことになる。
もしビートルズがデビューしていなければ、EMIはこれほどリスクの高い研究に投資できず、CTの実用化は10〜20年遅れていたかもしれない。
ビートルズが音楽の歴史を塗り替えた裏で、その印税が現代医学の「目」を作り出し、今日この瞬間も世界中で誰かの命を救っているのである。
この功績により、ハウンズフィールドは1979年にノーベル医学生理学賞を受賞。
レコード会社のエンジニアが医学の最高賞を手にするという、前代未聞の快挙だった。
ちなみに、世界で最初にCTスキャンにかけられたのは牛の脳。
その後、1971年に初めて人間の脳がスキャンされ、医師たちは切らずに脳腫瘍が見える様子に言葉を失ったという。
もしかしたらその時の驚きこそが、医学界のシンギュラリティだったのかもしれない。
「A Hard Day's Night」のイントロ、1発の不協和音でロック史に衝撃的なシンギュラリティをもたらしたビートルズのように。
我々が今日、当たり前のように受けている高度な医療。
そのルーツを探ると、リバプールの若者たちが鳴らしたギターの音色に突き当たる。
テクノロジーの進化、とりわけシンギュラリティと呼ばれる革新は、時に計算不可能な場所からやってくるというのだから、実に面白い。
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