481 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:03:45 /4WQtyWc0
投下開始します
やる夫たちと学ぶ江戸時代 「江戸時代の訴訟・陳情」
____ _,.. <''ー―――‐-zz_
`ヽ、. ヽ _, ィ< __` ヽ.<¨¨¨¨¨,>‐ヘ
| ̄¨=z.__ヽ, ィ<´ ri. `ヾヽ `ヽ<´ __」
| r'´ ハ ノ ヽ ヾ´ .| パチュリーよ。
 ̄ ̄ ̄ヘ _ _ _ l rニ_― ' ノ ト 、 |
_У ̄ `z<__ ヽ У .\_/ .\r‐―'ーzヽl 今回は吉宗政権による改革を中心に、
l .ヽ`ヽ |. ヽ l ´ /. ヽ .>, /く \ 江戸時代の訴訟や陳情について解説
V、 ヽ. ヽ l. ,イ´ヽ ./i ヽ l ./ 、 l // ∧ / するわ。
. 'ー=z_,.イ`ヽ i ./ーl: : :.iヽ、_ /ハ: :i!;| \__/ヽi! :`Yー'' j. `´
ヽ、|、: .:i!フi.! 、l: : :.:i! l: : :.ト1 l-|ヽ,: : ヽハ .l: : :.l /
r、.,_ .l: : l、!il_iz、,_ l: : :.ハ l: :_」 .レi | .lハ : : ヽソi: : :.ト、/l
. . ,.r_三ニー >z'./: : .l. V;心zァ ̄` . 二---- |ァl lハ_/ lフ: : :.l: : :.l
./___  ̄ ―‐ `>'.ゞ=='' .弋三リ|' i!l: : : : :.|: : : :.:l: : :l
/ ` ヽ、. , _,...≧三'‐'ー==¨¨¨¨¨¨ニ三_
`ヽ./ ____ ヽ_
| / ` ー ___ \
=========zzzニ__-z . ヽ ↓' <ニ  ̄i!
三三三三三三三三三`i≧z、ー===='三lニニニニ≧Zzrz.、二_ - i!
482 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:04:02 /4WQtyWc0
|\1 |_/ , -≠─ァ
\ \f_Y´__/
>+ <
_「二二「二二}ト、
\______/ゝ
, - ヘ_____/ ̄}、 慧音だ。
/ \
/ \ 一般によく見られる見解が、江戸時代の庶民は
,′ /_| i ∧ ! ヽ ハ お上(領主階級)に一切異議申し立てをできず、
! l ,ハ「∨}、 / ナメ、| i | l 方法はそれをすること自体で死罪になる直訴や、
ト、!∧rf心 ∨ r=テミx| ノ | 百姓一揆という暴動だけというものだな。
>´くr弋リ、_r==tり l //1 |
/-┐ヽゝ--'、 ー─'Nイ l !
l {7了>、 r_、 __/∧ ! |
l ノ | ` r─ ´l / l 1 !
/j 「 !_|__ イ !} / ノ、 ト、
/, ´ /:::| |∨! 7:l 7 ̄`丶 ! ∧
/ / /:::::,| |f{| /Y/ /::/::::::::| ∧
, ′ / /::::/::| |ゞ1´Zソi /::,'::::::::::::::l ∧
∧ ,′ /:: /::: | |_(__)、_ 7 /:::::!:::::::::::::::\ ト、 1∧
483 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:04:23 /4WQtyWc0
_iヽiヽ/|、
ゝr-'--'、イ>
,- r´─--─ゝ-,
,. ',_Lトi-i」____,,,.イ、 それを吉宗が目安箱ではじめて民の声を聞き入れるようにしたという。
,' ,、 ̄、 、 .',
レゝ(-_(,(,ヽ_-ヽ`ヽ i
i .!(ヒ] ヒン)iヽノ |
|人" _ ",i !. |
i. |`' .,-- ,イ.| |! ||
.i ii r`yrイノ ! !ヽ, ||
_ f..i r.,
f;;ij;;;|_l;;;!
(,;ヽ!;;;;;;;;;;;;;;l , -,
Y二二二i;;ゝ'
!;;;;;;人;;;;;;’
廴;;;;;;;;;;;/ .==.、 \/
゚i二二.} ´ ヾ! /`ヽ.
| ̄ ゚̄, rァ=―ノ'ゝ- 、__ .×
| ゚, ,: ´ , , , ヾ.! ´ ヽ
} ヽ / ,' / ./ /i i 、 `i〉
/ __ _ヽ .|レi/ハ‐A、' t l__i i .!、
<.|:.:.:.:.:.:.L./ .| ' | 三レ レソ三V: |/
|:.:.:.:.:.:.:ム ! | .|: | 民の声、Welcom!
ゝ:.:.:.:.:.:. \___ム..| r―‐, .|: |
丶.:.:.:.:.:.:.:.:.==| トz.乂 ノ_ ..イ: !
`ヽ:.:.:.:.:.:.:.:ヘ!ィ=f干干ヨ_|;i;i|| !_
Y.:.:.:.:.:.;ィ_.ゞ、(c, /,イニ≦レ'=、\
\:/ `ー-マ!-―(_):.:.:.:.:.\、:.、
i. ,.-┴- 、 ヽ:.:.:.:.:.〃:/
ド.0〃 ',ゞネ ヾ、_0V:.:.:.:.:.ィ
! ヾ. 、、 . . ., , 〃¨ ハ:.:.:.:.:.゙,
{ ヾ、ヾレ∠イ / ∨:.:.:.‘,
,ヘ}=く -_Y '>''7;イ .∨゚'-、!
/: : : \汽ィ´: : /.'' |,、 /ニi ∧
徳川吉宗
徳川八代将軍
(セイバー)
484 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:04:43 /4WQtyWc0
_ ト、 /!
>―-- 、/ /`7
,---------- ヽ //
r--------------- i_`フ
',  ̄ 「L-」  ̄ 、/ \\
r>''"´ ,:'`ヽ`"'' ー'ヽ. \ !
/ /:::::::::ハ `ヽ \
/, /::::::::::::::i \ `/
./ ./ / !::::::::::::::::! ヽ Y だがそれは誤解だ。
/ ./ ァ=、/|::::::ハ - ハ- 、 ', .}
ノ / 〈 iノ i |:::/ ァ‐‐‐‐、 ', i |
 ̄ i ,'.弋ソ レ' iノ i 〉 Y } |
!ハ i .,, 弋_ソ } .| |
/ レ ハ ,, ノ_ イノ |
| |:::::|ヽ r 、 /::::/ レ' ヘ/!
', .|:::::| i >、,_ _,,. イ::::/ \
r==========!,ヘ r く / イ:::/ 7 \
/`, '" ̄ ̄`゙ ヽ__
</ ./ i ヽ ヽ
<'/ l /l ,l l、 ヽ、ヽ
</l -l-/__l/ { / _ヽ_l_l,-li
/'l l' ○ l/ ○,l i/,l はいっ?
>,l ⊂⊃ ⊂⊃l
/ /,トl l l / l
ヽ,_/ヽl`lヽ 、 ' _ -‐'l l
`゙' ヽl_/"i`゙‐┐-〈`゙゛l/
l;;;;〈_;;;;;;//-,二、
ヽ__;;;;;l_l / /`/{`゙h,
/`‐├>-_/__//ヽ/ミ
/`‐、_-‐';;;;,-――//_'-'
485 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:05:08 /4WQtyWc0
江戸時代の幕藩体制の元になったのは、戦国時代の戦国大名による訴訟の整備だった
/ ̄\
| |
\_/
,ィ │ __
,. / |´ ̄`ヽー- 、 ト、 , -‐、/./.- 、
/ | | ヽ l l ( 火◇風 ノ
/o ̄`ハ._.ゝ===┴=く.ノ- 、 ノ ◇ ◇ (
/o O / l´ ⌒ ⌒ lo ',ヽ ( 山◇ 林 }
\___/. ト、<●> ::::: <●> ハ ∧ `⌒/7へ‐´
/ ,イ レ::::⌒(__人__)⌒l~T--‐彡 /./
/ ̄ ̄l. 彡、 |r┬-| ノ'l l::::::::::彡ー7⌒つ、
彡:::::::::::l ト、__ `ー' /| l::::::::::::ミ {,_.イニノ
彡ソ/ノハ ト、 \ / ,イ 川ハ ヾー‐'^┴
武田信玄
____
/⌒ \
/ 、 、 、 彡
| /`ヽ`ヽヽヽ、 \
/ \ ミ
|.┗━┐ ┌━┛ ヽ. _|
| ミへ ) //彡 |/ )
| ⌒ .| ⌒ |ら|
| .| | ノ
. い └‐ K
| | ノ ヽ、 | |
い (<エエエフ> / |
ヽ、 \__/ / |
_____\___/ |_
/|___|/ ⌒| / | ̄ ̄ ̄ ̄|\
| / | / / ̄ ̄ ̄ ̄ |
| //⌒レ'、 /⌒ヽ、ノ _____ |
| ^ O V \_@_/ |
北条氏政
(高嶋政伸)
486 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:05:26 /4WQtyWc0
. | │
|,、-----------------------┤
l,、-――――――‐ァ―――---;|
/⊃ ⊂⊃ (;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',
. / ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
.〈 ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|
'iェュ .ィェェ‐ ヽ;;;;;;;;;/r⌒ヽ
. ,' ';;;;;/ ゞ、 )|
..| , -、 .V ノ , '/
. l ヽ‐ ‐'┘ヽ 、'',.イ
l l __ ヽ /''´,!
. ', '‐ === ‐'- / ト,
ヽ ''' ..: ' ∧ヽ
ヽヽ .. .: / / λ
. ヾー-‐ ' ´ ,. ' / / `'-、
/l`,''ー---‐ '´ .,、r'/ /
. / | || ,、-' / /
今川義元
各地の有力戦国大名は村や国衆を地域権力として統制する代わり、訴訟を責任をもって
処理することを求められた。
その延長上にある江戸時代の幕府や藩が、その責任をおろそかにして権力を維持でき
るはずがなかった。
487 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:05:48 /4WQtyWc0
吉宗以前にも、代官や役人などの問題の告発、政策などへの不満、
実施してほしい政策の要望などを伝えることは、所定の手続きに
沿えば認められていた
┣"┣"┣"┣"┣"
__
/ /┏))))
/ / ┃ ┃
`/ ( ┃訴┃∧∧
/ / \┃ ┃´Д)
/ ┃状┃ ⌒)
/ ┃ ┃/ /
/((((┛/
― / /_\ \
―― (__ ノ \ \
⌒ヽ ,;;し′ / /
人 '; / /
Y⌒)⌒ヽ \_)
しかし、それでは伝わりきらないとして規定違反の訴えもなされたが、
それも多くの場合はそんなに厳罰というわけでもなかったし、半ば慣習
化していたり、訴えに筋が通ってる場合は処罰なしという事すらあった。
488 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:06:27 /4WQtyWc0
規定違反とされながら行われた方法は以下の通り
トンファー訴訟!
∧_∧
三 (´Д`) _○_
=/ \| |
∩ / /| |\| 訴 |
||||| | | |
||ニヒO ヽ \| | 状 |
∪ /\ ヽ |__|
三 / /| |
= /_/ | |
\_) (__)
・駕籠に乗った要人の一行に訴状を差し出す「駕籠訴」
・奉行所などへ訴状をもって駆け込む「駆込訴」
・要人の屋敷や奉行所などに訴状を投げ込む「捨訴」
一応、既定の訴え先を飛ばして上の方などに訴える「越訴(直訴)」は
違法であり度々禁止も出たが、実はそれ自体はそれほど重い罰ではなかった。
死罪などの厳罰になるのは、もっぱら訴状の内容自体が不届きとみなされた場合や、
惣百姓一揆(いわゆる百姓一揆)で「徒党」を組んだことなどによる。
489 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/23(月) 00:07:19 /4WQtyWc0
ただやはり、ルールに沿わない訴えが頻発することはよろしくなかったため、
吉宗政権は早期に、改革を行い明確なルールを設けることをした。
, へ ,. -――‐<ヽこr-、
,ノ⌒ _,.\'´ ヽ { Y´ `ヽ
,/ i ゝ┤ '. やはり一般からの政策・事業提言や、役人の不正の告発などは
./ ヽ | { ヽ } 必須ですし、ルールを設けたうえで受け入れた方が面倒ごとに
.l | | `r‐〈 ノ なりませんし、民の不満解消になるでしょう。
ノ i | i | | ヽ _〉_ _ ∧
ヽ | ! ヽ ヽ| ト、 ∧__〉 ソ それとは別に、将軍自身が情報を抑えるための直通の情報
、 ト、斗<ト-| レ/ / /! ヽ \ ルートを構築しないといけません。
` ヽ弋ッ | |レヘイ / | ト、 〉
ノ | | /〈__/! ! 「
ヽ _ | / ̄ ̄`ー | ト、「 ̄ ̄ \
`ヽ / \ \! \
`1 / ヽ ヽ
| / V / \ !
/ / レ' ヽ〈
/// { |
〉 ' / 〉 ∧
/ / / \ {{ \
/ / \/ ヽ \
,、
∧/ | ,.ヘ∧
|ヽ!、 イ,r'ニニ:.、ン'
ゝ/ / \
_L...- '-‐───-'ヽ..,,_
,.へ ヽ - L = 」 - / つまり吉宗政権が行ったのは訴訟制度の近代化改革と
〈 ,.ゝ --─ri⌒ヽr--...,イ トップとしての力を発揮するための自分直通のルートの
y ' /" _/ノ|,.i : l |、!: !`ヽ. 構築だな。
,' ,' ノ:/,.-'、レヽイ、ノ,-、ヽノ.', i
∧ i / ケ (ヒ_] ヒ_ン イネ:ハノ
| i (| | |! " ,__, " i::::i|
| ! l/!iハ. 人::l|
ノ レ i:ルl | >,、 _ ___ ,.イ!:|::::i|
498 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:02:18 3pe7WXC60
_,..- ‐ -.._
iγ‐ソ ,..、 ヽiシヽ
,.i ̄ミミi´ ,、/ フヽ_ >コ
i.└</~ il :: / ::/>ァ'´ ヽ )ーァ
ヽ_/ノ / :::: | ̄ニ=/ レ| :::: iヽ‐'
 ̄フ / :::: ⊂)  ̄ ̄ ,. ニァi
/ :: i':::::::::::|ヽ、 ./ ̄ミミヽ.っ'-ァ まずは、吉宗政権以前までの江戸時代前期の百姓・町人などの
l :::: >_:::::::::レ' `''/''´.;' 訴願や陳情などについて振り返っていくわ。
! :::: <_ ~~i=-ッ、 / / ;'
ヽ:::::::i::::i=<~ /-ァ' / /_ノ
ヽ,-'´' ヾ'iノ`ヽ、,.../_ソ''i
< l><l i i il><l |
ー、 i__i_i_i_i_>_,./
`~~ヽ-'∨ ∨
_iヽiヽ/|、
ゝr-'--'、イ>
,- r´─--─ゝ-,
,. ',_Lトi-i」____,,,.イ、 戦国時代から間もない江戸時代最初期の元和あたりまではは、
,' ,、 ̄、 、 .', 武器をもって領主側の軍とも戦闘を繰り広げる蜂起がしばし
レゝ(-_(,(,ヽ_-ヽ`ヽ i 行われた。
i .!「ヒ! ヒ,iアiヽノ |
|人" _ ",i !. |
i. |`' .,-- ,イ.| |! ||
.i ii r`yrイノ ! !ヽ, ||
〈i !i (入)イ .| iλ)ノ
レ〈 VV,__,.'レ',~~i
499 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:02:51 3pe7WXC60
実をいうと江戸時代中の呼び方で『一揆』というのは、こうした武装蜂起の事を指していたが、
これは領主権力と世情が安定していくにつれて廃れていった。
以降の民衆側は、様々な形の「交渉」によって成果を得ようとすることになる。
, = - 、
∠ニiと'"""(:;:;@:;) // ∧,..,.
(ili ) :;8;:;,. /// (゚- ゚#)
∨∨:;:;,8.:;:;,.;: i:i:iつO|l二ニ>
,-―-、:;:;ミ ~ノ,,,ノヽヽ 彡 (,.,.,..,,.,.,. ,.,,.,.∧∧
∧∧ ~(,, ノ :;:;:;;:,. し' `(,/ と:;:;:::;:(:;:;@:),.,.(:;::;;:つ:;p゚)
(;゚ o゚)/ヽ (,/ `J ,.:;:;;:,.:;:;,. "';:;:;;:;:;:;:;:;;'"
( つ≫―l> ∧∧
~(,, \ノ /|(゚O゚;)
し'`J <l―≪ = ― ( | と )
∧∧ ヽ|ヽ ,,)~
∧∧ /|(゚ぺ#) し'`J
(#゚皿゚) <l―≪ = ― ( | と )
( つiニフつiニフ ∧∧ ヽ|ヽ ,,)~
~(,, つ (#゚O゚) ゚ 。 ゚ ∧∧`J
(,/ ━( つ━O━━(((<> <(ili゚ ^゚) (゚- ゚*)
~(,, つ <>)))( つ━━O━とi:i:i━ = ―
500 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:03:35 3pe7WXC60
村を基盤に多くは合法的な『訴願』を領主側に行うことによって、問題を解決しようと
する動きが、江戸時代前期には起こった。
この時期の訴願や走り(逃亡)のデータは、勘定奉行や家老、町奉行、山奉行などを
務めた梅津政景の日記が残っている佐竹家秋田藩がよく残っている。
秋田藩も、佐竹家が転封されてきた当初は検地などで武力蜂起がおこったが、
やがて訴願におちいついた。
.......――.......
...::´::::::::::::::::::::::::::::::`::..
/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.\
/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
.:::::::::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::.
|::::::/.::::::::::::::::l::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::|
|:::::l::::::::;;l::ト;:::l:::::::::::::::::l::l::::::l:::l::::::::|
|::::l::::::/ |::| |∧::::::::::::/|∧:/|:::l::::::::|
. |::::l:::::| |/`ト、,ヾ:::::/斗ャ'' !:::!:::::::l
. |::::l:::::| ヽTftュ、 V ,ィぉTフ}/::::::/
|::::\:ヾー―一゚⌒゚ /.::::::::/
ヽ::::::ヾ:::、 ' イ::::::::/
/ ̄ ̄ ̄ヽ`ト ´` . ィ:::::::::::/
┌―――┴、 ヽ } } .}――――┐|::::::::/
| ∪ヽ」_」`" │|:::::/
| 『梅津政景日記』 | |/`\
| |~} // .}
| | | //.} .|
梅津政景
(河嶋桃/ガールズ&パンツァー)
501 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:04:07 3pe7WXC60
1616年(元和2年)から1632年(寛永9)年の江戸時代初期の間に、山などの村の間での
利権問題や個人的事情によるものを除けば、36件確認される。
_,,. '"´  ̄ ̄ ̄ \ /  ̄ ̄ ̄ ´"'' .,,_
l} -‐―‐‐‐‐‐- Y -――( ) ‐- {l
l} -‐―――‐‐‐- | -‐‐――‐‐- {l
l} -‐―――‐‐‐- | -――‐‐‐‐‐- {l
l} ,,. -‐≦三三二ニヽ|/二三三三≧‐- .,, {l
l}/-‐=二三三> '`゛`⌒´"' <三三二ニ=‐-l{l
l}!三二> '"´ ´" ' <三二{l
・藩や給人に対する訴願 20件
・村方内部の問題での訴願 7件
・内容不明 4件
・走り 5件
この時点では訴願の多くは一つの村のみで行われている。
これが江戸時代中期になると多数の村の共同のものが多くなる。
502 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:05:16 3pe7WXC60
こうした訴えは案外、百姓側の訴えが認められていた
訴願に対する吟味は概ね数日程度で、年貢率に関する訴えは完全に通らないまでも、
負担軽減や再検地という成果を得ている。
┣"┣"┣"┣"┣"
__
/ /┏))))
/ / ┃ ┃
`/ ( ┃勝┃∧∧
/ / \┃ ┃´Д)
/ ┃訴┃ ⌒)
/ ┃ ┃/ /
/((((┛/
― / /_\ \
―― (__ ノ \ \
⌒ヽ ,;;し′ / /
人 '; / /
Y⌒)⌒ヽ \_)
ただしやはりリスクもあって、処罰も6件あり、2件は牢舎入りで、4件は死罪であった。
書類偽造や隠田といった元からの犯罪行為もあったが、吟味の結果こうした処置に
なったこともあった。
503 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:05:59 3pe7WXC60
この中に藩主への越訴(直目安/直訴)によるものも3件ある。
∧∧つ ̄|
―= ( ゚Д)|直|
―= | つ|訴|
―= ~/ 0|_|
(ノ ̄
越訴とは本来訴えるべき相手を飛ばして、より上の藩主などに直接訴える方法である。
一般的なイメージでは「直訴はそれ自体が死罪」だが、実態はそういうわけでもなかった。
・1616年(元和2年)百姓たちが村の肝煎(代表)との対立について、藩主に駕籠訴。
藩主は受け取らなかったが、梅津が宿であらためて受け取り、彼の説諭を受け入れて
解決。
・1617年(元和3年)百姓たちが蔵入地になることを求めて藩主へ直目安。梅津がそれを
拒否すると江戸へ訴え出て、その後の事は不明。
・1620年(元和6年)百姓が鷹狩の場で目安を提出。負担の大きさの改善を求めたもので
負担軽減を認めて解決。
訴えた百姓たちは特に捕縛や処罰をされていない。
なお、1630年(寛永7年)に村の肝煎が個人的揉め事で、先に幕府の老中、次に藩主直訴を
行った事例もあり、こちらでは『訴えの順序の不当さ』を理由に捕縛されて、死罪かそれに
近い処罰を受けたと思われる。
504 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:06:26 3pe7WXC60
梅津政景自身の越訴への見解もこうである
-‐ ‐-
:::´:::::::::::::::::::::::::::::::::`::..、
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. 藩の重役の兵部少への訴願は構わないし、
〈::::::::::::::::::::::::/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::NNN:| それが入れられなければ藩主様へ、さらに
/V::::::::::::::::::::|i:::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::|:| それも入れられなければ公儀の老中への
/ ∨ ::::::::::::::八:::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::|:| 直訴も、まあ構わんな
/ V::::::::::::/ ヽ::::::::::八{ :{ハ:::::::::::::::::::::jノ
/ヽ V::::::::/ ≧‐-\::/ -‐´ ∧::::::::::::::::/
/ \ _V:::.ハ〔 ≠= }}‐。、 =≠' ! :::::::::::/
/ /' i∨::∧`==┘′ | ::::/::/
/ / |l:::::::::个 r_┐ ィ|:::/::/
. / / 八:::::::/___>- ァ< ,j/、/
/ /‐-<¨¨\{ | /∧=ォ='´〉 \
/ / \_|l l |ニミ 、 / >- 、
イ\\ |..r,..ヽ/ //
ヽ / |:::::::\\!..../ // / ∧
 ̄ ─-/ \::::::::ヽ|/'二二二彡 / ∧
′ `7‐<_ノヾ::::::::::::ノ / -‐ ∧
505 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:07:18 3pe7WXC60
徳川将軍や大御所に対する越訴(直目安/直訴)の事例も『徳川実紀』から挙げていく。
__________
r´ ´\ \
( \ 徳川実紀 \
\ \ \
\ \ \
\ \ \
\ \ \
\ \_________\
\ r´=========r´
\ 《 三三三三三三三三三=
ヽゝ==========ゝ
・年月日不明 駿河の百姓が代官の不正徴収を家康に訴えて、家康の指示で調査の末
代官の不正が発覚して切腹処分。百姓の処処置の記載はない。
・1612年(慶長17年) 大御所家康と将軍秀忠が揃って鷹狩に外出していたところに
代官非違が訴えられたが、百姓の訴えが非とされて入牢。
・1613年(慶長18年)11月18日 鷹狩をしていた家康に代官の非違が訴えられ、
百姓と代官の言い分を争わせて家康自身が吟味を行い、代官側に非がありと解任。
百姓側の処置の記載はない。
・同年同月24日 鷹狩をしていた家康にまた、別の代官の非違が訴えられ、
家康自身が吟味を行い、百姓側に非がありと六人を入牢させた。
・1624年(寛永元年) 寛永時に参詣する家光に訴えられたが、受理されなかった.
506 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/05/30(月) 00:08:43 3pe7WXC60
r==.f厂|\ i|\ ,l
ト、 _」 三 i|| | ,/ ⌒ll 、 / |
| Ⅵ i| 三 」| |/ | マ^7 | このような訴えか、うむ。
| マ \_/ ̄ ̄ \ | ∨ i|
|∠二二二二二二二} 」__ | 私にいい考えがある。
| {匸]」_L匸 ̄] 」コ / /⌒ヽ .| |
f⌒!. 厂l丁 ̄ 「 ̄ ̄ 「 | { { } .| |
L |. | i| | | | i| \\ / | |
L | / 7 .| i| | | |_」 ヽイ L_|
/´ ヽ l|f^Ⅵ . L.上!\/⌒\_/ \ ,r.┴────「 i|
}\_ノ ilL i|「 ̄ ̄「 ̄ ̄ ̄ ̄丁 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「 | | |
〈i二二} /ヽ}j | 「ニニニニl| 「ニニニニニl | i| | |
〈i二二}{ ノ___.i| |!ニニニニ|| |!ニニニニニ| | iL _____ iL_フ
∧ _、/ \三7 L_ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄ ̄ i| | | |
〈──‐く \丁  ̄ ̄「 ̄ ̄ ̄ ̄ 「 ̄ ̄ ̄ 「 ̄ L ___」__|
徳川家康
(コンボイ司令官/トランスフォーマー)
いずれも家康自身が吟味を行い、ここでも百姓側に理があるとみなされれば認められ、
処罰される場合も越訴行為自体でなく訴えの内容の方を問題とし、即死罪になっている
わけでもない。
他にも具体的な内容が記載されていない、鷹狩や寺社詣に出て来た将軍越訴の事例は、
『徳川実紀』に散見される。
家康は、こうしたことも期待して鷹狩を行っていたとある。また家光の日光社参にも多数の
直目安が提出されたなどと記載されて、受取の形式の指示も出されているが、禁止はして
いない。
517 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/05(日) 23:59:11 mfeKfiqU0
越訴についての明示されている規定は、徳川家康が征夷大将軍となった
1603年(慶長8年)に出した『郷村掟』では、このようになっている。
ヘ _ ヘ
|V| /|三|\|V| 『おおよその目安を上に直に差し出す事は固く御法度とする。
||丶_|三|_ノ||
>┤ _|三|_ ├< ただし、地頭(代官)の非分がある場合や人質がとられている
||[マニ||ニフ]|| 場合は、直目安を許可する。
ヒニ]∥ ̄T ̄∥[ニ/ なお、奉行所にまず訴えず申し出もなしに、上に直に訴えた
∩ |∥ | ∥|│ 場合は御成敗(死罪)にする』
||_ L/\/\/ L/
|ヨO. ̄ ̄ ̄T ̄ ̄ ̄T|
|_ノ | | ̄ ̄||| ̄ ̄|||
| │| |__|||__|||
518 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:00:00 ykCfMgr20
さらに三代将軍家光単独の政権となった1633年(寛永10年)の直目安についての規定では、
このようになっている。
/::::::|/::::://::..::::::::::::::::::::::::::::l/::::::::::::::|
-―┴-=.._/ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l ./|
‐- ..,,_ !,.-‐――-、:::::::::::::::::::::::::://:::::| 『目安は、その地の奉行人や代官に採決を求め、
_,,..-‐" _,,..-―-゛:::::::::::::::::::/':::::::::::| もしそれに非分がある場合は、江戸に申し出ること。
 ̄ニヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
\ヾ:::::::::i´ ̄ ヾ:::::::::::::::::::::/ なお奉行人、代官へことわりなしに訴え出た場合は、
7 , \\::::: |:::::::::::::::::/ たとえ理があっても差し戻して扱わない』
i リ=-、 .キ'' ::: |::::::::::::/
/| .|.! || iii v::::::::::::::フ
./ | | '、 |! ∥ 〉 7、,,
| | | \ ト、 _ / /: : : `ヽ
\ | ` ', i´ ヽ , ┤ .|: : : : : : :\
ヽ! !_ゝ =7´ |__|: : : : : : : : : ヽ
'┬-〉〉: : : : : : : : : : : : : !
徳川家光
徳川三代将軍
(天野河リュウセイ/人造昆虫カブトボーグVxV)
__,,,.....,,,,__
_,. -''"" `ヽ、r'⌒L
,. '" ___ ___ノi ヽ/ 」
lく\「'l-、r__ニ..-─-rゝ、_ノ__イ__,.> こうした公式の規定でも、よくある俗説と違って、条件付きで越訴(直目安)を認めてるわ。
ゝ,.>'" ̄ ___ i `ヽ、>ン」
(イ ,' i イrfー-!,」ハ i , i | そして前述のとおり、実際の運用では規定よりもかなり甘めに越訴(直目安)を受け付けてるの。
| Lハ_」 ハ__rノ !,r-f ハ_」
.| i ハi "" ヒハi l | 公式の規定でも、慶長では「御成敗(死罪)」だったのが、寛永では「訴えを扱わない」と
| | i |、 ー 人 | かなり甘くなってるわね。
| i .| .| |> 、...,,,. イ | |
. | / ! i |7 ゝ_Yイ、_| | |
..| ハ/ゝ ンイ i : i| | | ただ将軍への目安は、四代将軍から江戸城内から余り出なくったので、代わりに老中へ
.| γ (/ヽ rイ .| ! .|ゝンi 訴えることになったの。
| ,' .,'____ | : [><} i
|/ / |ll| | : .(/ン iハ
519 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:01:35 ykCfMgr20
`ヽ:::Y:::/::::::::::::::::::::';::ヽ//
r─-'--=== 、..,,,_:|::::::i':/____
_,,!_:::!]:::::::lコ:::::::::r-、`"'':::::::::::::::`ゝ
/ `ヽ,.-、_;;:: -‐- 、::/〉:::::/::::::,'
/' /::::::::ヽ. `ヽ.`ヽ/::::::,' だた幕府や大名といった領主側が、百姓などから
i ! /| ハ_;:::::::::::i ', ', ',` ', ヽ 訴え放題にしていたかというと、そうでもない。
i /::/ |/´_ ',:::::i::::ハヽ、!_ i i i ',
i i:::ハ,r;ァ-!、ハ:::|/ ! ハ | | | | 領主側が強く警戒して禁止し、しばし死罪にしたのは
i レ|:::| ! r} |/ 'ァ='-!、ハ | i | 「徒党(組織化)」行為による抗議闘争だった。
ヽヘ|:::!"  ̄ !__,r!/ i,へ! |´ |
|从 , " /::::| ! | 集団での百姓一揆(強訴)で代表等が死罪にされる理由も、
|:::::|\ r-、 .//:::;' ,' | 政治に異議を訴え出たこと自体ではなく、徒党を組織して
ノ|:::l:| .i`ヽ.,__ ,. イ |7:::::/ ./i | その集団による圧力で要求を押し通そうとした事だ。
/_,.|:::l:|,.ァイ´ヽ、 _ |>':::::/ / | |
/´ ';:::ヽ:;:ヘヽ、 `ハンi:::::i`ヽ/ ! |
/ 〉::::i::ン\>7 ハ ',|:::/i` 7`ヽ! |
〉ン、_ レ'Y:::ゝ-'/ / | 〉:::::Y 〉 |
520 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:02:05 ykCfMgr20
キャー! ワー!
ワー! パチパチパチ
ウォー!
MVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、MVvvMvyvMVvvMvyvMVvvMVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、MVvvMvyvMVv
Λ_ヘ^-^Λ_ヘ^-^Λ_ヘ^Λ_ヘΛ_ヘ^-^Λ_ヘ^-^Λ_ヘ^Λ_ヘヘ _,.ヘ ,.ヘ ヘ _,.ヘ ,.ヘ
ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λヘ _,.ヘ ,.ヘ ヘ _,.ヘ ,.
ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ__,/ヽ_ /ヽ__,.ヘ /ヽ__,.ヘ _,.ヘ ,.ヘ ヘ _,.ヘ ,.ヘ
/\___/ヽ /\___ /\___/ヽ _/ヽ /\___/ヽ /\___/ヽ /\___ /\_
/ \/ / \ / \ / \ / \
| | | | | | | | | |
| | | | | | | | | |
| | | | | | | | | |
\ /\ \ / \ / \ / \ /
/`ー‐--‐‐―´\ /`ー‐- /`ー‐--‐‐―´\ /`ー‐--‐‐―´ /`ー‐--‐‐―´\ /`ー‐--‐‐―´
_,..- ‐ -.._
iγ‐ソ ,..、 ヽiシヽ
,.i ̄ミミi´ ,、/ フヽ_ >コ
i.└</~ il :: / ::/>ァ'´ ヽ )ーァ
ヽ_/ノ / :::: | ̄ニ=/ レ| :::: iヽ‐' 『直訴をするだけで死罪になる』というのも、実際には集団による強訴の
 ̄フ / :::: ⊂)  ̄ ̄ ,. ニァi 代表が、徒党の罪で死罪になるのと混同されたことによるようね。
/ :: i':::::::::::|ヽ、 ./ ̄ミミヽ.っ'-ァ
l :::: >_:::::::::レ' `''/''´.;'
! :::: <_ ~~i=-ッ、 / / ;'
ヽ:::::::i::::i=<~ /-ァ' / /_ノ
ヽ,-'´' ヾ'iノ`ヽ、,.../_ソ''i
< l><l i i il><l |
ー、 i__i_i_i_i_>_,./
`~~ヽ-'∨ ∨
521 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:03:44 ykCfMgr20
_>r-、,>'::::::::::::::::::::::::::::::::::';ヽ,/ //
∠_ンY7=r'─--- 、:;;__________!__ヽ//-‐ァ なぜそういう混同がおこったかの保坂智氏の論を簡単に挙げると以下のようになる。
,ハ:::::|l:::::::::r-┐:::::::::::::::::::::7::二7,/
,.:'" ヘ.,_!!______::::::::::::[]:::l]::::::/::::::::/、 大ざっぱにいうと
,:' , /  ̄ ̄"''' ー-'-‐ ''"^ ヽ.
/ / / / ; !:.:.:.:.:.:.:.:! ', ヽ. 、 ':, 『現実の出来事から年月を経て、代表一人が全てを背負って活動し自己犠牲の末
,.イ ,' ,' 、,_!_/」,.ハ:.:.:.:.:.:.ハ _!__ ', ':, ',. 刑死や自死をするという話に自然と改変されて伝承化したらしいケースが多い』
| ! ! /|/ |./ ';.:.:.:/ |.´ハ `ハ ', i
! ! レ'r‐'ァ‐-=、 !:.:/ !/_,」_/_ ! i. |
', ,.! ハ ヽ ! Jリ レ' 7´ i´ Jア'ァ ,' i !
V`'レ'|:.:.:! `ー ' '、_,ン イi ,ハ | !
! .|:.:.!'"'" , ,.,.,. ハくタく! |
| .|:.:人 ___ /:| | ! |
. .! .|:.:.:.| `: 、 ` 二フ u ,ィi:.:.:| ! : !
,' |:.:.:.| | .>.、, ,. イ |:.:.:.! i i |
/ ハ.:.:.! ! /r'|、_`ニ_´ ,ィ|ヽ.|:.:.;' | ! ',
,.'‐'" ̄';.:.!イ"く /__ __/|:::::::レ'_____!_ ! ',
/ レ' /、!::::::ヽ、 ン:::!7"´i / `ヽ、, i
,:' 、/:::;ヘ:::::::::::i-イ::::::::::|]::::::!} ヽ. |
rく !/::::::ヽヘ/ムヽ!:::::::::!7::::::::i/
・元々、17世紀後半(江戸幕府50~100年目)を中心に村の代表が訴え出て村を救ったが越訴の罪で死罪にされたという義民伝承が多くあり、
そこから「17世紀に主流だった代表越訴」という通説が成立していた。
・しかし現実の当時の越訴の多くある記録と明らかに矛盾しているし、領主側などの確実性の高い記録による伝承の裏付けもほぼ見当たらない。
・義民伝承の代表である佐倉惣五郎の話も、元々は藩に訴え出て敗訴して処刑された惣五郎の怨霊が祟ったというあやふやな話だったのが、
18世紀には将軍に直訴したという話などに変化しまとめあげられ、19世紀には芝居として上演され大ヒットするなど、時代が下るにつれて大きく
変化したものだった。
・1746年の伝馬騒動という集団による一揆(強訴)と明確に記録に残っているものも、代表兵内の百回忌には「兵内が代償として単身将軍に
訴え出た」という伝承に変化していた。他にも集団での活動と明確に記録に残ってるはずの一揆などが、代表単独による越訴に変化して
伝承化した例がいくつも確認されている。
・17世紀の義民伝承の信憑性は怪しく、その時期の代表越訴という手法も存在しなかったのではないか。
522 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:04:36 ykCfMgr20
|\ /\ / | // /
_| \/\/ \/\/ |∧/ ///
\ /
∠ 革命の乙女だ! >
/_ _ \
 ̄ / /∨| /W\ /\|\ .|  ̄
// |/ \/ \|
〃 / \ \ \
/ 〃 \ ヽ \ \ えっ?ええっ!?どうしてそのような話になってるのですか??
. / . :/{ | ヽ ‘, V ∧ ヽ
′ .: :/:i| i| \ 、 ‘, } ‘, ∨∧
| .: / i| i| 、 丶 \ :} | i| } ∧ ‘,
| . : :′从__ト、\} \ 斗=¬_从 i/} / ∧ ‘,
i| / 托==ミ / 托==ミメ ∨ | ハ ‘,
{: :. i|-={ 伝ぅ { "伝ぅ 〉} 八j :|
. { : :. i|⌒乂ゞrク 、 ゞrク^ /: : } :|
{: : :. 八 、 、 、 イ 、 、 、 ′:/ :/ | i|
: : :. \ (⌒ヽ { : / :/ .: |
∨ : :. ヽ <⌒`'*。コ\ \ ノ 〈 :/ .:∧ i| <--『鉄血のオルフェンズ』のクーデリア嬢
V : :. / “''*、 `'*。_\ `'*。∨ .. :∧ :. |
. ∨ : :. / ≧s.,__`'*。 `'*。/: : :. |
V: : :. ∨ (_____ / `¨¨ ニ=- .」_
∨ : : / }_≧s.,___) / ニ=- /⌒ 、
V: : ′ (______ ノ ニ=-
523 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:05:12 ykCfMgr20
|\1 |_/ , -≠─ァ
\ \f_Y´__/
>+ <
_「二二「二二}ト、 なお、綱吉から吉宗の時代である18世紀に入って、徒党を
\______/ゝ 組んでの大規模な強訴が目に見えて増えていっている。
, - ヘ_____/ ̄}、
/ \ ただし一般的な、困窮で追い詰められてというイメージと違い、
/ 全般的には豊かになっているのに、だ。
,′ /_| i ∧ ! ヽ
! l ,ハ「∨}、 / ナメ、| i | l
ト、!∧rf心 ∨ r=テミx| ノ |
>´くr弋リ、_r==tり l //1 |
/-┐ヽゝ--'、 ー─'Nイ l !
l {7了>、 r_、 __/∧ ! |
l ノ | ` r─ ´l / l 1 !
/j 「 !_|__ イ !} / ノ、 ト、
/, ´ /:::| |∨! 7:l 7 ̄`丶 ! ∧
/ / /:::::,| |f{| /Y/ /::/::::::::| ∧
, ′ / /::::/::| |ゞ1´Zソi /::,'::::::::::::::l ∧
∧ ,′ /:: /::: | |_(__)、_ 7 /:::::!:::::::::::::::\ ト、 1∧
∧ / ∧::::|:::::::\:|、 1| \/´:::::::/:::::::::::::::::::::〉 l ト、丶
, へ ,. -――‐<ヽこr-、
,ノ⌒ _,.\'´ ヽ { Y´ `ヽ
,/ i ゝ┤ '. ……おかしい
./ ヽ | { ヽ }
.l | | `r‐〈 ノ 百姓たちは、昔と比べればむしろ豊かになっているのに
ノ i | i | | ヽ _〉_ _ ∧ どうして徒党を組んでまで抗議闘争をするのでしょう?
ヽ | ! ヽ ヽ| ト、 ∧__〉 ソ
、 ト、斗<ト-| レ/ / /! ヽ \
` ヽ弋ッ | |レヘイ / | ト、 〉
ノ | | /〈__/! ! 「
ヽ _ | / ̄ ̄`ー | ト、「 ̄ ̄ \
`ヽ / \ \! \
`1 / ヽ ヽ
| / V / \ !
/ / レ' ヽ〈
/// { |
〉 ' / 〉 ∧
/ / / \ \
524 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:05:43 ykCfMgr20
/! /|
ト、 / | / !/|
_| > ┴─-< /__ このあたりは後々の『百姓一揆編(仮題)』で扱うが
\/::::::::::::::::::::::::::\/ 簡単にいうと、村の意思が名主をトップとした伝統的な
_/:::::::_____|__\__ 身分秩序でなく、小百姓たちによって決定されるようになり、
r_,,.. -‐::'''"´::==:::::::::::::::::::::::::::「 それまでの代官と村の代表によって成立していた秩序の
|::::::>''"´ 7´ ̄ヾ´ ̄ ̄`"'<|: 枠組みを取り払って、意思表示をするようになったからだ。
|/ ,ハ:::::::::::ハ
, ' ./ ./ |::::::::::::|_ \ ヽ. \:::/
/ | / -‐ |:::::::::/|__ 、 ヽ ',. Y
,' ! ./ ァ=、八::::::7´ ァ‐‐、ヽ | !. |
,' ./ |./'7 l´ハ \| |ノ ,リ〉∨ / |
レ'| ./:;ハ. j__ソ ゝ‐゚' !:::|/ !
.| /|::::7" ' ""|:::'、 ',
「| ∨ |:::八 r´ ̄`ヽ 八::::\ '、
|_| /::::/\ 、_ _.ノ /| \:::ヽ. ヽ.
_,rァ 7´| /:::/ . |>、,_ _,,. イ| / ,ハ:::::::| \
r〈_|_/_/ ! /::::::::|/ |__/「 /:::>‐ァ'"´|:::::/、 ' 、
Y ( / |:::::/-─rイ´:::::/ /::::::/ /:/ |/ ' 、 |
ヽ.,_ |. レ'/ |/:::| |::::::!_/::::::::::/ /:::| \. / ___
| | / ./:::::ゝゝム7::::://:::/ .〉./ | // ̄ ̄ \
< ̄`ヽ
. `ヽ !_.... -─- .._
, -一, 、`''ヽ,,_, へ
/ / /ハ i 、i ヽ \ ゙i
/ / / ハ ! 、 ゙| ! ヽ人 原因はよくわかりませんが、とりあえず訴訟を
/ 〃 ,.ィ´/ 小x.、 |! ∥ ゙、 冫 公式に受け付ける制度や、将軍直通の目安箱
i /i k=レ 弌ヽ、\ | i | レ'、 などを整えて、秩序を逸脱せずに訴願できる
V ! 芹j 乍≡气、`| ! |_ -─ i ようにして落ち着かせましょう。
/ ∨ヒン !じ ノ 〉| ! |-─ ´ /_ノ
/ ノr` ┴─''´ | ! iへ_ / /´! それに百姓たちが何を考えているかも知りたい
,' , { u | i | /,彡 /__」 ですし。
i / ハ i ⌒ヽ | i ト'彡/ ´/
|i 人 ヽ 丿 イ i //:::::\´ ……ただし強訴の禁止や厳罰化も進めます。
卜 i ヽ _ /, リ'::::::::::::::::::ヽ 徳川政権以前や初期に認めていた「逃散」も
,ハ ! `一 7´1r‐ /,' ノ'¨`ヾ:::::::r、::::::', 厳禁厳罰にしていきます。
ヽゝ'⌒''ー∠イ::::ヘ ' '"´ ヾ:::」 `一′
/, /::::::ノr:::ヘヽ / ̄`\
! i ぐ:::::/ |::::::::ヽ\/ `ヽ
525 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:06:32 ykCfMgr20
_ ト、 /!
>―-- 、/ /`7
,---------- ヽ //
r--------------- i_`フ
',  ̄ 「L-」  ̄ 、/ \\
r>''"´ ,:'`ヽ`"'' ー'ヽ. \ ! ここまでは、政治に問題がある場合の訴訟について説明してきたが、
/ /:::::::::ハ `ヽ \ 続いて、より積極的な政策や事業の領主への提案や、事業の受注に
/, /::::::::::::::i \ `/ ついて解説しよう。
./ ./ / !::::::::::::::::! ヽ Y
/ ./ ァ=、/|::::::ハ - ハ- 、 ', .} 17世紀末の元禄時代ごろから、訴願・陳情の形式をとる、民間からの
ノ / 〈 iノ i |:::/ ァ‐‐‐‐、 ', i | 「献策」が増加した。
 ̄ i ,'.弋ソ レ' iノ i 〉 Y } |
!ハ i .,, 弋_ソ } .| |
/ レ ハ ,, ノ_ イノ |
| |:::::|ヽ r 、 /::::/ レ' ヘ/!
', .|:::::| i >、,_ _,,. イ::::/ \
r==========!,ヘ r く / イ:::/ 7 \
1716年(正徳6年)の献策禁止の触書によると、元禄から正徳までに、江戸や各地の役所にこのような献策が多かった。
・公儀御用を請け負いたいと願い出るもの
・公儀の利益になる事業案を願い出るもの
・人々の助けになる事を思いついたと願い出るもの
・訴願者本人を救済できると思いついたと願い出るもの
なおこの時の触書では、幕府から意見を求めたならともかく、民間側から提案することは不届きという理由で禁止をした。
526 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:07:07 ykCfMgr20
_>r-、,>'::::::::::::::::::::::::::::::::::';ヽ,/ //
∠_ンY7=r'─--- 、:;;__________!__ヽ//-‐ァ
,ハ:::::|l:::::::::r-┐:::::::::::::::::::::7::二7,/
,.:'" ヘ.,_!!______::::::::::::[]:::l]::::::/::::::::/、
,:' , /  ̄ ̄"''' ー-'-‐ ''"^ ヽ. 単純に考えれば、民間からの提案があればどんどん聞いて
/ / / / ; !:.:.:.:.:.:.:.:! ', ヽ. 、 ':, 使えるのを採用すればいい……と考えがちだが、
,.イ ,' ,' 、,_!_/」,.ハ:.:.:.:.:.:.ハ _!__ ', ':, ',. 実際には問題がいろいろと発生していた。
| ! ! /|/ |./ ';.:.:.:/ |.´ハ `ハ ', i
! ! レ'r‐'ァ‐-=、 !:.:/ !/_,」_/_ ! i. | それがこの禁止令の理由だ。
', ,.! ハ ヽ ! Jリ レ' 7´ i´ Jア'ァ ,' i !
V`'レ'|:.:.:! `ー ' '、_,ン イi ,ハ | !
! .|:.:.!'"'" , ,.,.,. ハくタく! |
| .|:.:人 ___ /:| | ! |
. .! .|:.:.:.| `: 、 ` 二フ u ,ィi:.:.:| ! : !
,' |:.:.:.| | .>.、, ,. イ |:.:.:.! i i |
/ ハ.:.:.! ! /r'|、_`ニ_´ ,ィ|ヽ.|:.:.;' | ! ',
,.'‐'" ̄';.:.!イ"く /__ __/|:::::::レ'_____!_ ! ',
/ レ' /、!::::::ヽ、 ン:::!7"´i / `ヽ、, i
,:' 、/:::;ヘ:::::::::::i-イ::::::::::|]::::::!} ヽ. |
rく !/::::::ヽヘ/ムヽ!:::::::::!7::::::::i/ ':,
527 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:07:53 ykCfMgr20
正徳の禁止令の前提となった元禄年間の状況について述べる。
『元禄世間咄風聞集』には元禄15年、南町奉行 松前嘉広にこのような提案がされたとある
/::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
. .'::::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::. ..::ヽ
/:::::/:::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...:::::::::::'、
. /::/::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ
ー=≠::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..
. /イ:::::::::::::::i:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::}::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:::::::::::::::i|::::::::/:::::/:::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::i|:::::::::::::::::::..
. /::::::::::::::::::l|::::::::::::::i{::::::::::::::、::::::::::::::::::::::}::::::l|::::::::::::::::{ヽ{
/イ::/  ̄ ̄ ヽ:::::{::::::::、::::::::::::i::::::::}::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
>' ´ ̄ ヽ }:::::∨}イ \:::::::|::::::::::::::::::::/'\{:::::::::::ィ{
} _ ィ 、∨::::::::| -trッ7:/ \::::::::::::/ }::::::::/
「 ___ l /}イ::::::| }イ /::∧イ i /:::/
/ }._」' V/\{ 厶イ r‐ イ:::∧
. { Tく. 」 ', / ∨ \
ヽ i ヽ - 、 ヘ } 〉.イヽ
.∧ / \_ / zイ /::::::i|
. r‐=イ} イ ___,≧ァz 、 r=‐'':::::::::::::::::::|ト...、
/::::{ \ =- {:::::::::::::::::::::::::::::i\、 「 ̄i:::::r.:y::::::::::::::/::::::::\
::::::::\ \____.ム::::::::::::::::::::::::::::| | | l|:::::Yリ:::::::::/::::::::::::::::`::...、
::::::::::::::\ >-イ::::}::::::::::::::::::::::::::| | | l|::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::\
松前嘉広(まつまえ よしひろ)
元禄期の江戸南町奉行
(折木奉太郎/氷菓)
528 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:08:24 ykCfMgr20
ある財力のある町人が、勘定奉行 荻原重秀の後押しを受けて、米価を一石一両に公定し、
凶作の年でも公定価格を変更しないようにするなら、相当額の運上金を差し上げる
と提案してきた。
, -───‐- 、
/,. ─- 、.__,. -─ 、ヽ
l | ─-、 _ , -─ l l
. l | -─-、 ,.-─- | |
r=、ヽ ,.-‐- -‐-、 .}.r=:、
{.F,|.|. ー-‐i iー-‐' :|.|ヨ |
ヾ=||. ,..二ニl lニ二 、||= "
│|,,,,,,,,,└‐-‐┘,,,,,,,,,| |
,.1  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ト、
, イ `ト 、  ̄ ̄ ,. イ `r、
-‐''"´ .l ト、 ` ー-‐ ' ,.| | `'''ー-
| | \ / | |
| |、 `r‐r く | |
,> | ヽ !f.Tヽ| /| <
| |. ヽ. |.|r:h.|.|、./ | |
| | |.||│||.| ' | |
! | | 1∥:!│ |. |
. l | | ;' | ; ;| | |
_,L.. -┴ ''|. | `l`ー'- 、.L_
-‐‐'''"´ l 人 | `'''ー-
提案の具体的な内容は書かれていないが、本来米価が下がる豊作の年も不作の
年を基準にした公定価格にしておけば、長期的には多くの利益が見込めるという案
だと思われる。
529 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:09:00 ykCfMgr20
ー=ァ: : : : /: : : : :..:.|: : : : : :、: : : : : ゚ 。
/: : : :.:/..: : : : : :..|: : : : : : :\: : : : : ヽ
-==彡: : : : : /: : : : : : : :.| : : : : : : : : ヽ: : : : : \ そんなものは却下だ、却下!
/: : : : : : :/ : : : : : : : : |: : : : : |: : : : : : : : : : 弋
⌒7: :/ : : : :′: : : : : : : : |: : : : : |: : : : : : ゚。: : : : ハ そんなのお前らの利益優先なのは見え透いているぞ。
/..:/: : : : :{: : : : : /: : : :..|: : : : : |: : : : : : : ゚。 : : : : \
/ィ:′: : : : : : : : :/:./i|: :..:|: : :}: :..l: : :|: : : |: :.。: : |: :|`ー‐ 実際には、一般庶民の負担になり難儀をさせるだけだ。
/ |: : :|: : : : : : : /}ノ}:j|: : :乂 ′:小、{: : : |: : |..: :|: :ト- そしてそれは公儀の利益にもならないという事だ。
/}: : :|: : : :|: :.:/≧ュ|:ハ: : : : :{: :/≦乂 : : |: : |..: :|: ノ
八: :|: : : :|:.:/斗zzレ'`} : : : {i/斗zzミト:. :} : ‘/:小 …それにしても重秀の奴を筆頭に、武家の上の方も
{ }ノ}:.: : | {″込ツ `,八: : :{( 込ツ ∨: /∧: トヘ こうした事にのっかって自己の権益を追及してるようだな。
,ノ{人: : :ハ` `¨¨ \_{ ¨¨´ ノ:.// }リ
ゝ、、):リ 彡イ /
リ\__}、 ′ /_/{
}小. ,、 /{ {
-=| |...\ ` ====″ / | |=-
-=ニニニニ| |....{ \ / }.....| |ニニニニ=-
-=ニニニニニニニニい....ゝ ` .,__,. ´ /....//ニニニニニニニニ=-
_ -={三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三}
だがこの町人は再び出願してきて、嘉広はその町人よ任を縛り上げて一日、奉行所門前で晒し者にしたという。
これは荻原重秀へのあてつけとも噂されたという。
530 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:09:58 ykCfMgr20
さらに同年、こうした提案もされたという。
__ , -- 、
r',ニ二¨ヽ、/∠ニヽ\
j l r_三ニ r三ヽ }
rリ ' ,ィ'ミ ハ 彡'ヘ ヽ.\ 裏長屋の住人まで含めた江戸中の町人から、
{(( i j,.ィ1{--ヽ.ト, ,、 j } } 塩を食べることについての運上を取り立てましょう。
))' ノ 力ト、} ̄´j.{」レヘ.i ' <.く
{ ! ' .ノ ,リ jハ r'い}. jハ j リ (そしてその聴衆を請け負う我々が利益を得るのだ)
Y,ニ!l r.=== ===.、 |に゙Y
/{に゙|| ヽ._゚,ィ .l、゚_,〃.|lこj.ト、
{i_,ゝニl| ┐ ̄_」 |__ ̄┌ |lニ.イj_}
ニ¨-‐7 : : l ト、.___ー、_, ‐'_, イ.l : ヾー-¨ニ
: : : : l: : : : l.l.lエエエエエエエエ1|.l : : : l : : : :
: : : :.|: : : : ||.l.lー─‐r──l.|.l|.: : : :|: : : :
: : : :|.: : : : |:l.l.lエエエエエエエl.j.l:| : : : :| : : :
: : : l : : : : l:::l_` ̄二二 ̄´_l:::l: : : : :|: : :
: : :.| : : : : |::::ヽ ̄ ̄ ̄ ̄/::::|: : : : :| : :
: : :l : : : : :l:::::::::::\ /:::::::::::| : : : : |: :
:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:|:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | :.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:l :.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:∨
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.i:.:.:.:.:.:.:.:. i:.:. ! :.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.\ _,
:.:.:.:. : /:.:.:.:.:/i|:.:.:.| :.:.:.:.:.:.:. |∧!、:.:.:.、:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ┌- ´
:.:. :. /|:.:.:.:./ヽ!:.:. |:.:.: /:.:.: vー|‐\:. \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨
:.:.: /. |:.:.:/ !:.:. i : /:.:.:Ⅳ ! ` :.:.:.\:.: !:.:.:.:.: |:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: }
:.:./ //_ ̄`|/!:.: /:.:.:.:.:.| ′ ̄_ |.\:.:.:.:. |:.:.:.: /:.:.:.|/ :.:.:.: |/ }/
イ爪り¨¨` .}:./ :.:.: l:. |\イVfjソ¨¨`\:. |:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
`¨¨¨´ /\:.:.:./!ヘ! `¨¨¨´ .|从:.:.:.:.:.:.:乂 :.:. ∧!
. ′ 〉へ! |:.:.:.:./|' |:.:./ \
/ ! }从/ ∧' だから却下だと言ったら、却下!
', j u / _, ′
′ ` ,、_ }:7 下々の者が難儀するし、それは公儀の利益にもならない
. ′ u ./:./ .|'
}∧、 _ ..イ>'
\ ‘ ̄ =‐- .イ:. !
|へ ⌒ . :`!l:.:ハ|
| \ . 今 :|ハ!
rぉび| `ー '’ : : : : |ミ....、
|ニニニニl lニニニニニニニ |
531 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:10:38 ykCfMgr20
ところがその町人は、今度は評定所に願いでて来た。
嘉広は「にくいやつめ」と言いつつ、提案を述べさせたうえで改めて却下。
/: :: /: : : |: /: : /: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : |: : : \: : |: : : : : ∨
/⌒7.: : : : : : :|/:./ : : : : : : :/: : : /: : : : : : : : : : :!: : : : : : : !: : : : : : ∨
. ー令: : : : : : !l: : : : : : /: :./: : : : /: : |: : : : : : : : : !: : : : : : : : : : : : : : :∨
/: : : : : : : :|/: : : :.:/: : : : /: : : /: : : !: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \_,
. |: : : : : : : :.:|: : : : : : : : : /: : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | ̄
. |: : : : : : _/!|: : : : : : : : /: : : : :/ .!: :.|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :./
_入: : : : 7..l: : : : : : : : :/ |: : : :/`ヽj: : |: : : : : : : : :ーl|: : : : : : : :|: : : : :\ ,
. |Ⅵ::7 .!: : : : : : : :,' . |: /-―:∧: : : : : : : : :.:リ |:∧: : : : : l: : : : :| ̄ それにしても柱が二本欲しいものだ
j/〈 !: : : : : : :,' . ァ|/ュ.、__j/ Ⅵ: : : : : ::/_―| Ⅵ: : : :|: : : : :!
ヽ |へ: : : :〈 . !:._弋ん`` |: : : : : : :|弋歹 7 j: : ::八/ \{_,
ーィ∧ ヽ: ::ハ `¨¨` j/`寸: :.∧ .イ: :レ \
. _/ }ヘー |ハ{ / ノj/j /1り' { .:|'.,
< /:!ニニ', .∧ / _/ / .〉
<ニニニ/ニ|ニニ::', 、 ,:’ // ./ ′
ニニニ:/ニ.lニニニ:', \ _.:` //> .
ニニニニニ!ニニニ:', \ _ - ―/ . ´` /ニニニ> .
ニニニニニ',ニニニニ>、 \ , ´ , ュニニニニニ,ニ',
ニニニニニニ、ニニニニ>、 ` 、 _/ /ニニニニニ /ニ ',
ニニニニニニ\ニニニニ>、 ァ' /´ /ニニニニニニ/ニニ ',
_ __
,. -'´::/::::`ヽ:::::`丶、
/:::::::_::::::/::::::::::::::::::::::::::::\
,.'::::::::/::::ヽ:!:::::::::::::ヽ::::::::::::::::::\
. /::::::::/:::::::/::_::::::::::::::::::::',:::::::::\:::::::`::......_
, ':::::::::/:::::::::::::ハ厶:::::!::::::::'.::::::::::::ヽ::::ヽ ̄
∠イ::::::/:::::::::|::::厂 ',::ト、::::::ト、::::::::::::',:::::ハ それは……どういう意味ですか?
|::::/:::/:::::_L::l._ ';l ';::::l ヽ:::i::::::',:::::::.
厶'-:';.r|::::::|∨ `丶 ' '斗-‐';┼:::::|::|:::|
 ̄|::::{ |::::::| 'Tツト ';}ゥT'';|.::::::|∧:|
l∧ヽ|::::::| `¨´ i  ̄ ハ::::| :|
ヘ:',::N } |:::ハ: !
_,.イヽ!ヘ ′ /l/ l;′
_,..- ´ ! | ',\ ──‐ , 'ヽ、
,. '´ |. | ヽ \ / | ` ._
/ | ! \ ` -イ .|. | `ヽ.
. / l. | \ / | | ヘ
荻原重秀
綱吉政権での勘定奉行
(古泉一樹/涼宮ハルヒの憂鬱)
532 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:11:04 ykCfMgr20
//|: : : : : : : : : : : : :|: : : |v: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::::::. : : : :
//|: : : : : :|: : : : : :..:|: : : | ∨: : : ト 、: : : : :: : : :. : : : : : : : : : : ::::::::::::. : : :
//|: : : : : :|: : : : : :..:|:..:| :|_v:: : :ハ_∨: : : : ::: : ::. : : : : : : : : : ::::::::::::::::.. : :
//ト、 |: : : |: : : : : :..:|:.::| :| ̄__、:: : ‘, 、::: : : :::::. :::. : : :..:| : : :.::::::::::::::::::::::::
//| }/:..:.|: : : : : : : ::::|i | ノ__ \:::‘, \:::: ::::::::..::::. : : :|: : :.:::::::::::::::::::::::::: 一本は訴訟人を磔にするため
//| / \::::::. : : : : : :| l| ィ=示\ヘ、 ヾ:::::::::::::::::. : :|: :.::::::::| ⌒ヽ::::::::
//| \:::. : : :..:::|、 丶_乂少″ \::::::::::::. ::l: .::::∧| ⌒:, '::::: もう一本は我らのように訴訟人の申すところを叶えない者を
//| 人;::. :.:..:.::トヘ |:「ヽ::::::.::::::::/ i| 、 } }:::: 磔にするためだ
//| / 乂\::.、 jノ \::::::, ) } ′,:::::
//| _/ `¨¨ }八{ ノ /:::::
//| 、 ´ ̄ /:::::::::::
//| \ r―…:::::::::::::::::::::
//| } / V::::::::::::::::::::::::
//| 〈 ____ ′ ∨:::::::::::::::::::::
//| /┴―‐` / |:ハ:::::::::::::::::::
//| ゝ / リ‘。::::::::::::::
f : : : :ヽ ,' : : : : : : : : : : : : : :、
_| : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
/:::::::| : :、 : : :l : : : : :、 : : : : :l : : :、 : : ヽ
/:::::::::::::::| : :! : : : ト : : : : | : : : : :`、 : : ! : : :`、 は…はあ……
}:::::::::::// | : ヘ : : i ヾ : : ヽ : : : : : | : : | : : : :ヽ
/:::::::::l::/ | :{ ヽ : :l \ : ヽ、: : : :| : : | : : : : :ヽ
/::/:::/:/ |:| _ヽ : !___\ :ヾ : : : :! : | : | : : : :|
/::ル:/|::i_,.イ:| ` ヽ氏刀フ \|:\: ! : | : :| : : : : |
// |:::||/:l弋勹! | ヽl ̄ i : : :ヽ:!:|二ヽ : : : : |
/ }::/|:::::|  ̄ノ | : : : ヽ:| ソ/ : : |ヽ:|
|:| |:::::l ヽ、 /| : : : |ヽ// : : :|:| ヾ
| |:::ヽ ___ ノ ,l : : : r´/| : : :/}:l
!::::ヽ  ̄ ̄´ .ォ : :,/ |`:´| : :/ |
|:::i:::ヽ ´` ./ | :/ | :/|:/
|ヘ::} ヽ. ./ |:/ |/,、{
i } `ー イ _./´ 入
,ヘ _./ / ヽ
,/ | ./ / |ヽ、.
./l ,ゝ< / | `ヽ
嘉広のこの発言も、この町人の後押しもしていたであろう荻原重秀への当てつけであろうと噂された。
533 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:11:36 ykCfMgr20
__,,,,....,,,_ _
,.ヘ.__''"´ 、 .ト`>)`ヽ
く \|-─< ̄ ̄八 ー' ノ、 /\
|\__./>-─''"´ ̄ ̄`' ー< ,ハ /]
__ノ-‐へ/ / /|__ .! , \|‐ァ' 『元禄世間咄風聞集』によると、幕府に採用された提案も多くあったが、
. |__/| ,' /´| __/| /! |__ | ヽ| ほとんどは、幕府と人々のためにならない結果になったともあるわ。
`! | | /‐r‐‐r└' !、」__ !`| |'
| | .!/|、弋_,リ |_lj |/ ,' 要するに献策の大半が、提案者の利益第一で内容自体にも問題が
| | ⊂⊃ ' ⊂!__/ 多く、使い物にならないのが多すぎたの。
| | | ∠ ] ,ハ || 正徳の禁止令にも使い物にならかった献策が多すぎることも述べられ
| | ト 、., __,,.. イ ! !!. てるわ。
| | |ヽ-、\_|`ヽ、| ||
| ∧ !7\__/ム /| ,'|
| |/ ヽ..レヘ.__く_八)」`! / .!
', | .,' [>l]く]ハ }| ll |{ [>l]く]
ヽ| .! \」 | {| |} | ハヽ!
`|, |、 }| ll |{ |__」 ヽ、__
__/ |___{| |} ! / __`ヽ.
|:::::::/ .!::::!lll|| ll |{ | ,' /r‐-、 ',
|:::::,' |::::|lll|.! |} !. ! | {二 | |
|:::::i .|::::|lll||. ll |{ ハ | | ヽこノ/
534 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:12:26 ykCfMgr20
また、事業提案を通すための『ワイロ』も横行した。
この禁止令を主導した新井白石もそれを主要な理由とし、自身も
持ち掛けられて断ったと書き残している。
/ /´ `ヾ、 _, \
/ / ∨ ヽ
ノ , / ,.,., __ _ _ |
´:::: / , // _ _ `ヽ、、 | 『去年(正徳元年)の事だ。ある寺の役僧を使いとして
:::::: |::: |;: / ヽ`ニ==, Yノ -‐'´ | 話を持ち掛けてきた』
:::|::::: |;: / ‐-',、ニ=、`ミ i/_-== }
\::: |:::: / \ヾ夕ンノ `´rュ` /、
\::|:::: { ヽ / |::`ソ | ヽ、.
\::::: ヽ `、 ,, | |:: \\
\::: ヽ ヾ / ` ̄''::::ノ、 /:::: \\
`丶:::| ,_ _ _ ` //:::::: \ \
::: r‐´ `} , , ,-‐=´-‐― ―ヽ /:::::::::: ム、 \
ヽ:::::: 〃::::::::::: }'i ' -‐´ :::::::丶 ,、}::::::::::::r-‐´ ハ \
`ヽ:::::{::::::::::::::::/└、 /| /\ i\l ゙イ::::::::〃::::::::::::: ヽ \
r-‐ヘ::::::::::::ノ 、 `' '´ └┘ ヽ_lヽ /ヽ:::{: : : : : : : : ノ 冫
/ l::::::ノ r´`i ヽ、 _ l ム、: : : : : : ノ r' ' ´ `
新井白石
(ブリタニア皇帝/コードギアス)
535 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:13:05 ykCfMgr20
以前にも紹介した出来事を再録する。
白石の下に、長崎貿易の利権を求める業者が僧を使いとして話を持ち掛けてきた。
_ , -─- 、
/ ニ `′二_`ヽ.\
/ / ヘヽ -‐、 \ ヽ
/ / , l f'``"" | ト l l | 白石殿が実現のために運動してくださるなら、まず金500両
! | 〃 , | l | l |、 | |.| 成功すればご子息二人にそれぞれ300両毎年贈りますよ
| l /イノー-、 rヽ!'ヽ!ヽ |
. | /l''==a= , =a==''|r、! いかがですかな
|,イ| ` ̄ 〈|  ̄´ ||'イ
. ド||. ,__ヽ__、 l'イ|
l l.ト、 __ イ l |
-‐'''l ! l.\ /:| ! |`:ー-
::::::::::l,ル ト、 ` ー '´ ./!ル':::::::::::
:::::::::::::::N \ / |':::::::::::::::
::::::::::::::::| ,>< |:::::::::::::::::
_,.‐''"´ ̄ ̄`` ‐、
/ _,. ‐ 、 _,. ‐- 、 \
/ / \ ヽ
/ / 、 , _ヽ ヽ 断る!
, イ , "- _ l / _ ‐'`` 、 ト、
/ l l ___二ヽヽ/,-´____ l l :、 ……それにしてもワシのようなものでさえ
,l´ :. 、 > < (::::)ヽ-' '- ´(::::) } ,! , ' :: ヽ このような声がかかるという事は、権門の者には
l´ :. ::. _ヽ、  ̄  ̄ >、 .::: :: `、 どれだけの働きかけがあるのか。
/::: :::. ::l´:::::) | |(:::::::l::: .::: :: l
l:: ::: :::: ,..:::::、' ,-―――‐-、 ll:::::::.、.:::: .::: :l
l::: ::::.. ::l::::::::/ヽ‐, 、_' ---- `_,l 、‐,(::::::::):: .:::: .::l
`、:. ::::l´::::、´ll\`ヽ /l_/ ヽ__l\/ / ll`l:::::ヽ:::: ..::/
\:., ´::__/_| | \_______/ ∥ 、_::::l、..:::/
,\__/―ヘヘ ∥ ll 、 、 ∥l ̄ ヽ__ イ
536 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:13:45 ykCfMgr20
また、幕府財政が苦しくなりだした寛文年間(四代将軍家綱の時代)以降に、幕府の事業を町人が競争入札で
請け負うことも本格化し、元禄時年間は一層盛んになったようであったがたようだが、これもワイロの横行する
環境になっていたという。
へ、、
/ {_ ク 入札に参加する業者は「たてもの」と名付けて担当の奉行に
,=- く__,,/ 百金、千金と贈り、公儀から代金が支払われたなら、
/ / _ 「礼物」という金を贈る約束をする。
/ / _〃― ヽ
/ /ヘ _/ | | =!|= }lヽ その金額が少ない者は入札に参加すらできない。
r' く彡 \r'´{ ∧ rっ / |ヽ-、
\ ""''''`l /ヘ`,二´ミ、ノ丿丿) その結果百両もかからないような工事が一万両もかかって
/\ | ´ | | | |\_ノF== しまい、先代(綱吉)の財政難の原因になった。
/;:;:;:;:ヽ / l | | | | \|| | | |
/;:;:;:;:;:;:| r―''\ ,'⌒i| || | 朝鮮通信使来日の際にあらゆることが入札で行われたのも、
/;:;:;:;:;:;:;:;:| || ヽ__ノ || || 奉行らが賄賂を手にしたいがためだ。
/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| q====||ヽ==o || || /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| || || ヽ || || \
537 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:15:23 ykCfMgr20
>>536 訂正
また、幕府財政が苦しくなりだした寛文年間(四代将軍家綱の時代)以降に、幕府の事業を町人が競争入札で
請け負うことも本格化し、元禄時年間は一層盛んになったようであったがたようだが、これもワイロの横行する
環境になっていたという。
へ、、
/ {_ ク 入札に参加する業者は「たてもの」と名付けて担当の奉行に
,=- く__,,/ 百金、千金と贈り、公儀から代金が支払われたなら、
/ / _ 「礼物」という金を贈る約束をする。
/ / _〃― ヽ
/ /ヘ _/ | | =!|= }lヽ その金額が少ない者は入札に参加すらできない。
r' く彡 \r'´{ ∧ rっ / |ヽ-、
\ ""''''`l /ヘ`,二´ミ、ノ丿丿) その結果百両もかからないような工事が一万両もかかって
/\ | ´ | | | |\_ノF== しまい、先代(綱吉)の財政難の原因になった。
/;:;:;:;:ヽ / l | | | | \|| | | |
/;:;:;:;:;:;:| r―''\ ,'⌒i| || | 朝鮮通信使来日の際にあらゆることが入札で行われたのも、
/;:;:;:;:;:;:;:;:| || ヽ__ノ || || 奉行らが賄賂を手にしたいがためだ。
/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| q====||ヽ==o || || ヽ
/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| || || ヽ || || \
538 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:16:03 ykCfMgr20
入札制度の多用では、商人や日雇労働者たちにしわ寄せが来ていたという問題もあった。
__ , -- 、
/:::::::`′:::::::::\
/::::::::::::ノ'''^l::::::::::::::ヽ 昔は役人と懇意になるだけで受注できたのに、今では幕府も大名家も
l:::::::::i::/ニニヘNヽ:::::::l 安さを求めての入札制で、利益をぎりぎりまで下げないと落札できなく
|::::ル'レ'ニ> r',ニニゝ::::| なったじゃないか!
l^「゙(⌒。TニT。⌒)゙丁゙l
|f|ト .二.イ u ヽ二 ノ|リ|
ヾl r一L、_,J --、 lレ′
ハ |⊂ニニニニつ |∧
_/ |ヽ. , , ,一 , , , /l ヽ._
_,, -‐'''"´/ l `ー──‐'´ | L_``'''‐- 、.._
_,, -‐''' ´l ト、.____..ノl | ``'''‐- 、.._
. | ヽ;:::::::::::::::::::: / |
. |. /へ\::::::::::/へ、 |
|/ |o|::::::::|. | \_|
. ヽヽ::::/ /
商人
、-‐- 、r'7-‐;z.._
<⌒ ⌒>
∠´ ≧
. / NヽNヽ!ヽl\ヘl\トゝ
1 ,ゝニ_ー-:U_,, u /,ヘ
| ヽ ,二=-ll l∠、l ダンピングのしわ寄せが、俺たちの給金にも来て下がってるんだぞ!
| .r‐、|u(__゚_ " /_゚__,ノl
| |.h.| | u `i. !
| ヽ._|.! U r __ l l
| / 1 (二二ニニY´'
|__./ \ ___ ,'
/ `'‐、 \  ̄ /
, '\ \ ` ーr-‐'
. / `‐、 \ |
日雇
539 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/06(月) 00:16:30 ykCfMgr20
商人側のこうした問題が、 賄賂や談合、手抜き工事の問題、日雇い労働者に賃金低下につながったと思われる。
\ /: : : : : :ハl\; : ト、: : : : : : : : : :.:\ / /
\ /: : : : : :> \l \ト、: : : : : : : : \ /
/^ヽ: : : :/ \ト、: : : : : : :\ /
\ \ / ヘ |: : :/ \: : : : : : /、 _ -‐ ´
\. / /ノ: :/ ヘ | `\:\ーヽ -‐'"´
___j |/: ノ __\. | ./ /:;\i
|: : :.| . /:.:/ ´ tテ‐≧__ノ / //´
/: : : し': :/  ̄_>, r≦___、 /
\: .ソ厶/ /<tj ヽ. ′ノ -‐‐‐‐ "´
_/^7 .// / \ ` ´ / とにかく俺たちはいろんなことを
//レ′{ / 、 / / 強いられているんだ!!
____/ |. ヽ/ ._ -‐ _ - ´ ノ
/ 八 l \ |^l ヽ ` -、_ ./ `゙ ー- 、_
{ \ '、 \\__ 〉/ / \ `゙ ー- _
| ヽ ヽ\`‐---‐'´ ,. ィ´} \
| \ \  ̄ / / .|\ \ \
~へ、
>\ー= ‐ t
/ Yn
/ , ヾ ヽ~`}
/ / / ヽ .jミ.ゝ) 経済発展などしてきた民間の事業者や提案を用いないのはもったいないので、
/ イ ハ ハ ノ、 ; .jミ ハ 献策受け入れ態勢を公認し、事業者も活用するようにしますが……
i \ レ i ノ彡イ仆'\i j 7.|〈
| /j弋=y´ ぅ大タ 》 j |シ.|)´ こうした事への対策も同時に設けないと……
人,| 乂ノ ゙ 乂_イ_, u| |,)ソ
/ j .| |.:.丶 ……ああ、頭が痛いことです
j ( f~ヽ、 r―ァ u | , i::i:ソ
.t ハ_ `, ............. <j .ノ V乂.:.:ゝ
\i .〉二{ノヽv⌒` ゝ; レ= `
' / レ\/ヘ._/ , ヽ
j , /:.:l|.:.ヽ ;,、 l
| j ト ヾ_ソじ'' ナ 、 j
ヽ__ノ`ト―==~´:.\〉 ノ
ノ.:.::.:.:.:.:.:.:.:.: _ノヽノ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ l⌒冫:. l
555 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:01:49 REV.yjoQ0
/!_/!,.へ、ー/|/! /!
/!/ ./:::::::::::\::::`ヽ/ |
.〈 /_,,..-::r7' ̄ ̄ 7`"''ー!、_
_>''"l::-‐::'::::::::::::::::/::::::::::::::/
!::!:::_;: -''""  ̄ `""'''ー- 〈 まずは一般的な刑事・民事訴訟の改革についてだ。
>' i´`'ー.、ヽ ヽ、 `ヽ.
. / / ハ ハ ハ_,.ィ ハ ', ', 以前述べた通り正徳年間も評定所などの訴訟を扱う部署の怠慢が
i イ i、!_ヽ、| ,ィ' ̄'iヽ! ! ! | 問題になっていたが、その時の新井白石などは主に諸役人に対する
. | i i ;:=- ゞ-' ´ |,ヘ | | 訓戒で対応しようとしていたが、吉宗政権は具体的なシステム化的な
. | !ヘハ| ,, _ " ! !/ | 制度改革とデータベース化を進ることで改善をした。
Vレ'.| !、 ヽ ̄ノ ,.イ | /´ ,
. | | |.`>r-=.<!7 i'"! 、ヽヽ、
,.、 | | |イ:::!ヽ/:::::::/ / iヽ、`ヽヽ.ン´
| | | |>、|く7、ハ::::::::! / !ヽ、>-'´
,.イとヽ|. / /ヽ/ムヽイレ'ヽ、___ン´|
l ノ` i !、_,.!:::〈/Y\〉::ヽ、/ ハ |
`'く ヽ' 〉::;::::::::::::::::::::Y::! / レ'
556 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:02:19 REV.yjoQ0
享保5年(1720年)正月、吉宗は寺社・勘定・町奉行にこのように指示した
, ‐=  ̄^f⌒x- 、
/ >y_
/⌒`ゝ \ヽ ヽ)
ノ ./ :\ ハ〉
// i j ト い 彡|`)
.)´ ハ j ハ , i _ |〈 予め犯罪に対する罰則を定めるようにしなさい
i i / 、 ノキヲ ∨j | jノ
| ハフ二'、ノ 彡毛~》| :|`iイ:.\ これまでは体系だった法典はなく、個別の先例や法令で
|人 升弋゙t ´ l 乂uシj :レ /:.〉、:) 裁判を行っていましたが、今の複雑で大きな社会では
ゝ 乂u' j i /.:.l:ヘ_/ 裁判が滞る原因になっています。
/ | ノ 人l.:.:/|:.:.:ヽ また、裁判基準の統一も必要です。
.l イ .> ......  ̄...::´(,/_  ̄ .{.:.:.:.」
ソ \/ , へ_ノ゙ ̄ゝ´ ヽ
/ ,\ハノ / |
j ;, {彡ミ:」 ヽ 〉
} ゝ /:l|.:.:ゝ/ ソ^
i ト ⌒´/ ./ i
j .| ./ / .〈
>‐Y ヽ_ノ三三彡シヽ
同享保5年には、時代劇などでも有名な「十両以上の盗みは死罪」という基準が設けられた。
法令の統一と体系化の問題は、荻生徂徠も『政談』にて指摘している。
557 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:05:25 REV.yjoQ0
_r 、_
__,r''´ ̄  ̄ ヽVニフ‐ァ
/ ヽ i l、 .l
. rj | , <ニ'__ノ/ .l 吉宗は、徳川政権で徐々に進んできた中世的か慣習法
i! / '´ ., ー-、/ _,r‐=、 <=二 優位の世界から、近代ほどでないにしても統一・体系・
__」>‐ァ<ソ _/ア ̄ >ニニコーヘ<ニ、 ./ 成文化された法への移行を大きく進めていったの。
≦ソ / >アゞj: : /` ヽz/: : :.ノ_: :|: :i ハ<_
レァ ji i : : : : 代ア;フ  ̄..,rァ;ァ _ノl_ 」 r‐` なお、近世(江戸時代)以前の慣習優位の中世法の
´ヾ'::ハ: : : : :.i!.. ̄ `¨ /: : : :| ̄ 手法だと、「処罰したい相手がいて、罰する法が無い
|::::ハ: : : : :iハ、 _ _, ィf: : : :.:iハ なら、他の使える法を探し出してきて処罰する」と
|::i!: : l: : ヽ l ハ`>z < i: :l: : :.__」 いうことも横行していて、『政談』によるなら近世に
ii!_/l: : : :V: : ヽ__<_ ゝーz(__ なってもそうしたことを行った事例もあったようよ。
lリ: : 弋__: : :./ V.ハV == ∧ニ<
l `Yァア) >ii!< l ・ ハ :ハ`¨
|: : :.:V  ̄フi コ_ V'‐,Yl、.l: :.l
l: : : : j ハ :l: l | |='
. |: : : :/ / ヽi:/ | ,.iァトz,_
558 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:06:02 REV.yjoQ0
そして吉宗の指示で、日本の律令国家や外国の法典の研究が行われた。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`
/ / {
/ / /}
/ / / /`
丨三三三三三三三´ ./ // {
,L三三三三三三三../ // /{
{三三三三三三三三// / /
(三三三三三三三// / /
〔三三三三三三三" / /
{三三三三三三三./ /
〈三三三三三三三/
享保6年には、林信如、人見美在に『令義解』『令集解』の漢文への加点を命じ、
吉宗自らも『延喜式』を妙出した。
559 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:06:31 REV.yjoQ0
さらに中国の法典やその他漢籍の研究も命じたが…
_
ト\
ヽ \ ___ , - ―,イ
__〉 `ヽ. . ´: : : : : : : : : . . . / /
. ': : : : : : `Y´: : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ-‐…‐-
/: : : : : : :=ニⅦ)ミ=‐: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヾ
. /: :/::/ ̄/ }ミミ/: : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : : :\: \
//: / ./ 人ミ/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : ヽ: :}
,'/: : / / /|: :./:./: : : : : :./: : :/j: :ハ:.: : :.}: : : :l: : ヽ:.:.:.lメ、
|: : :イ //|: :.l: :|:.,': : :.,': : :/: ://: / |: }: : l: : : :l: : : :',:.:.:l
|: : : l ',:.ィ=ヽ!:l: : l: : /===‐:/ イリ|:__j : :.:,': : : : l: :.!
|: : : l . ヽ{ /{l{ l: : |: x≦不ミj/ ノ l: :lミ:.:/j: : : : .l: :}
ヽ: : :{ \{:l人: |:《弋zっタ 7テミチ: :/: l: : : :./乂 う~ん
\ハ リl: : :|メ、`‐-‐' 込ソ'レ': : /: : :./
ヾ`丶 ノ.ll',:.:.l , //}: /l: : :/
| ヽ;ハ __ _ ノ|/ l/ l}ハ/
} !`ヽ、 , イ リ 〃
ノ { ´ ̄ ′
室鳩巣
幕府儒者
(高町なのは/リリカルなのは)
, ィ''´千丁 ̄`7 `ゝ、
人 ゝ 土上二土丈/ 入
__ ___ くヽ/ '´ \ ヘ
_// ` 、 y'7 ハ:.:.. !、 .ハ :.Y }
,.イ/7" / \ 〃/./ /;小:.:. ',ヽヽ_:. .! :.:.:マ
//;;;;;/ / / 、ヽ ヽ /:/ ィf´丁 ヽ:.:ハヘ:.ヽ`ト、:.:.:.l いかががされたのですか、鳩巣殿
〃´::;;;;; ∧. | ./:/ :l.:.l .:l:.ハ :.ハヽ l :.! 'j:rィテ乞` ヽイ乞テ、! :.:.l
ヽ:::::::;;;;;;|、ヾ | .:.|/: .:.:l .j/:lL:.l .:.:l:.! ヽ八リ`tぅ::ノ tぅ::ノイl/ :. |
ヾ :::;;;;;ト ゝ、| ‐:7,,乞、/:〃ノ'ヘj:.:./リ. ! :.:ハ.xxx xxx./| .:.! |
` ー/|`{ f`| <f:::Jイ '"}/ル7レ' | ! :.|ゝ、 ー一 イ/| .:.! |
. / ;| !ヽー! :.:| ̄ ! /!| | ! :.|ム :_>,r-r<:ノ__,|:.:.j:リ
l ;;!:l:.:l:.!|! :.:.ト , _ ‐_ィ . !| ヽXf /,ゝ千f仟⌒ く /:X/
| ;;;;リ!:.:l:八 :.:| 冫 `Y〉:.:.!| / `ト 〉 '´八.ヽ 〈〃 \
`~ヘ:.:ヾ_:ヽ:∀ :.:小、.;ヘ / ::| ゝ´ |V|`ヽイ |: :::ヽ
,〆⌒ヽ、/ :.:|ヽ∨、 〈:::::::::::::l ヽ__,j l、__,/ ::l::::::::::::::〉
(~/'¨`~/ ::レ' l | ヾ:::::::::l ::::!:::::::::/
有馬氏倫 加納久通
(琥珀/月姫) (翡翠/月姫)
御側御用取次 御側御用取次
560 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:06:56 REV.yjoQ0
__ ト、
/. : : :`ヽj . -─- .
イヌ´. : : : /. : :ノ: : : :.\ r≠=x
. /. : : /:/:/: :レイ:_: i: : : :∧ .! Ⅵ〉〉
r{: : : :i:.ィ j´:/ 从: :ト、:〈__.〉| ///_ よめないの~
. 八: : : !:.l:!ル' )ハハ: :!イ:!iイ´: _: :`ヽ
/: :V⌒ル从○ ○j イ:メノ从 `ヾハ
. 〈: : 〈 j/:/} /j/j/j/j/j/ Y|`Yリ.ハ l:リ
人: ::\ :/入 i⌒⌒) .ノ:|イ jレ' ー=彡'
>- ':./ }> --r <!:リ
〈 |H| Y
/\ jHj _ メハ
. ∧ | j Ⅵ
、 r=v 、,
. . r Y } } / ヾv
/: rfY> ,. .ニニミュ、/ ヽ
γ: : : }ィ r ´: : : : : : : : : :`ヾY ゞ
./ : : ,: : ハ: : : : : : : : :/!: : : : :∧
/ : : : ! : !ー - ,, _: : / ハ: : :| : :∧
!:: : : ::| : |ji : :イハ: イ/ ' j- 、 |: :| : }
. i : : γ| : |〃だ示 ' リソノ : |: :i は?
|: : : {.|:ハ {じリ r=抃 : 从:リ
. γヽ 从: : :>.! : :i ,└'’´ノ/ /' まさか漢籍を読めないなどと言われないでしょうね
| Yイ;ハ: {ヽ!:: :ハ _ /: : '|
γニニ/´うヽヽ |: : :i}ヽ イ: : : :|
./ニニニニ{ ゞ |: : ソ>、><从ノi : : ::|
/ニニニニニニヽ)ヽ !ノソ ヽj Yヽ ' ハ : ソ
561 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:07:24 REV.yjoQ0
'⌒l}了ヽ: : /: : : // : : /: : |: : : }: : :ヽ: : \: : : \: : : ヽ
x-ァ'_/: :/: : : : // -‐/ :‐/|、: :ハ : :|: : }: :\: : : ヽ : : l
/ ノ | : l: : : : /イ: : :/斗=ミト: / -}‐ 、|: /: : : : ヽ: : : l\|
,' | : |:: : : : : |:/〃 f:゚j / ァ=ミ|/: : : : : : :',: : :|
| /: ハ: : : ヾ:| ヾ ¨ f゚j } / : : : : ハ : j
| ,イ: : : _:`ト\: :\ .... ¨ リ:/ : イ: :∧l: / それがこの『六諭衍義』(明の洪武帝が発布した教訓『六諭』の解説)
|/ ∨:./⌒|: : :| ̄人 ヽヽ ../イ< j:イ : ∨ 明代の口語で書かれてて完全に読解できないの……
ヾ{{ .|: : :| (0::) │ │ | : : l
\ム: :小 __ 八: | | : : |
ヘ: :.ヽ \ `´ /l: : : | | : : |
\: \ 、. __/ │: :│ / : :,′
r-=ニニ.土\:_ヽ_/____ /: : :/ /: : /
ヽ __  ̄`ー──- ニ二≦:/ / :/
/ ̄ ¨二._ ∠、 '´
,. -- 、
. / ヽ. \ _ _
/ \ > '´ `´ `<´ ̄`ヽ
. i / / . 丶 i
ハ / , ' / \ |
/ ∧ , ' , ' , ' `ヽ
/ ∧ ∨ / / / / / . ',
〈 /∧∨ /_/__/_. / /il ト. l l ',
`ー‐ァ'∧ V il / /リi///`ヽ./ l| l i ! i .i では、それを読みこなせる者に心当たりはないでしょうか
// //´| li |r====くリ ハl l| l l ! l !
/ / /八.{| li |{r';:;:;::// リ リ `7メ./ / /
. / // // l`| li |ゞー ' /=く/ ハ , ' , 'i
/ ん'/ //il il l| li | /r';:;:'/ , ' , ' l|
. レ'' ん ん!! il l| li | , ゞ-'イi / /レル'
从リ l| li | r.ァ ""彡' イレ'´
. / リ li |\ __ __.. イ li i|
「 ̄ ̄ `ヽ.八 li | / ̄ \ リ il i| f´i
. | \トv \ \ ルl l| ___/´〉 / /
. 〉、 \ ヽ. ヽ i!. リ , '´ _ (´ ̄ `Y
562 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:07:57 REV.yjoQ0
/ __. `ヽ \ ヽ __
'´ , -―‐`==--、 \ }´ ̄ ̄  ̄ `ヽ、
/ _ \ , -─―‐- 、
/: ; -ァ¨´: _: : : : : : . . : : : : :\イヘ____ \
/: ://: : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :〃く~ヽー-、 `ヽ、: \
///: : /: /: : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ∧ \/ \: \
/: /: : /: : :/: : : : :,: :./ : : : : :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : :.l\/ \: :ヽ
. /: : /: //: : :/: : : : :/: /: /: :./:/: /: : j: :.l: : :l: : 、: : : : : : ヽ:ヽ: ::::l
/: : /〃 ,': : :/: : : : :/: /: /: :./、l: :.l: : ハ: |: : :l: ; _j: : : : : : ',ハ: :V:::|
/: : :/ l: : :/: : : :.:/: :.|: /.:.:/| ハ`メ: :/ l: {ヽ:イ',: :i: : : :ヽ: :l :|ヘl::::,
/: : :./ |: : :l: : : : /: ::: レ:|: :.l レァ=ト∨ ヽ V=ヽ:{ヽ: : :|: :li: |::リ:/ う~ん、するとあの人なんだけど…
l: :/!,' |: :.l |: : :/{: :::::: :::l: :! {! i} {! i} \j: ;イ/::::/
: / !! l: :l |: :.l l: :∧::八{ `=" `='" レ |⌒!′ でも白石さんと仲が悪いけど…
/ リ V l: :| ',:.{ハ::::}⊂⊃ ⊂⊃ jリ| でもこのあたりを読みこなせるのは、あの人しかいないの
ヽl ヽ |ヽ{ /: :!'´
|: :lヘ f二二 コ , イ: : リ
l: :| `丶、_ _, '´ l: :/
V:ゝ `}>‐ <{__ j:/
_rイf’ ̄ ̄’`┐ヽ
563 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:08:34 REV.yjoQ0
そうして享保6年に召し出されたのが、漢籍の現地でのその時代の読み方、ニュアンスを
掴むために「古文辞学」を確立していた、荻生徂徠であった。
-==二´....::::::::::::::::::::::::::::::i' , ヾ、 ._-―'´ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::" _i-― ̄ヽ___ ヽ
ノ´::::::::::::::::::::::::::::::::::::i'_|_,-| ̄ |.-―:'| ̄ ヾゝ、
-‐'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i--¬―‐i::| ̄:|::::::.::::::| l、 | `ヽ、
 ̄|:::::::/:::::::::::::::::::::i' i:::::: | i::::| |::::::::::::::| |::ヽ | |^ヽヽ、
|::/::::::::::::::::::::::i' i:::::::::::/| |:::::|ヽ、,ゝ-:i‐!::::| |::::ヽ|i::! ヽ、
|::/:::::i !:::::::::::::i' !:::''i::::/| !::.::l |::ヽ、i:|__!」:::| |::::| |::| |ヽj
l´/:::ノ| !:::::::::::i::::| -i::/― | |::::| |:::ャ'。=='ァi::| |::::|、| |ヽ|
/--'´ |!:::::::::::i!| i!ェ=ェ、 |i::l i:! |゚_::: i |!::::| |::::|| | i|
| !:iヽ::::::| {´゚。:::゛!`i| | ヽ'ニィ'|:::::| |:::|iノ:::l、 |
|i! |::::::::ヽ゛ヽれニ'ノ |::::::::| |::| i::::lヽゝ 私は政治を扱いたいのであって、小さな
|i |::::::::::::i.ヽ. ' |::::::::::|i:::|i:::::| 文筆の仕事や、道楽の学問文芸のお相手
i| |::::::::::::::`::ヘ、 ‐- |:::::::::::|!:!i:::::| など、さほどありがたくもない…
i |::i ヾ:::i::::::::ヽ、 ィ'|::::::::::::i:!!:::|
| ̄`'ゝー-L_::::::::::`i:‐- 、_ _,ィ' ´::;;:|:::::::i_:i:-‐' ̄i
ヽ  ̄ヽ、|:::iヽi|;;;;;;;;::::::::::i 」-‐' ,-―'  ̄`ヽ、
r――`ー――-- 、 ヽ、i'i!|;;;;:::::::::,ィ"´ ニ二-―――ニ二二l、
/_______ `ヽ、ヽ、,r-‐'  ̄_,-‐' ̄ ̄ ̄ | ヽ
|` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ、 ヽ/ r-‐' ´ | |
| ヽ===='| | |
,| | | .................................| |
〈 | ..............................n、 | f^ヽ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |
/ |::::::::::::::::::::{x::::::::::::::::i ヽ十、| |'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |
| |:::::::::::::::::::::x::::::::::::::::| |:::::::| |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
荻生徂徠
儒学者
(長門有希/涼宮ハルヒの憂鬱)
564 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:09:16 REV.yjoQ0
その後徂徠は書籍の研究のみならず政策諮問も受けるようになり毎月三度
有馬氏倫の屋敷に出勤して、それを通じて幕政に関わるようになった。
_...._
_,.-':::::::::::::`ヽ、
,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
__ /:::::::::::::::::::::::::::::\:::::::ヘ
l::::::::::::::::::: ̄::::::ー.../::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
ヽ::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ィ::ニ'::::l
ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ `ヽ:::::::l
\::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:、 ';::::::| そう
,ン、:::::::::::::::::::::`:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::\ ';:::|
/ | |`ト 、_:::::::::::::::::::::`:::ー-......__/::::::::::::::\ヾl 政治への意見を求められるのなら、勤務する
l ト ト. ト、ヽ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
`ハ_|ヾ 弋弍f'ー、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
'´く. 'ーイ l j、7ァt、__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
rヽ 、 lー'-'ノ_ノ∠Lゝト弋ー-- :::_:ノ
ヘ ヽ--j..-<}::::::::::::〈.`
,レ-'⌒:、 ヽ:::::::::::ヽ- 、
,. -‐、 ヽニ.:::::;r‐ '´ l::::::::::::::::::::ヘ
,r'::::.,.-' r'´ ::::ヽ __'Jノヽ::::::::::::::::::ハ
/:::::/ | l::: ` ヽ、_ ヽ_,l:::::::::::::::::::::l
. | :::| | lヽ、__,. 、 ';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
. | | | |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
l. l ヽl. ..|::::/::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
____
/. . . . . . . . . \__
/. . ./ . . . . . . . . . . . \
/ . . . /|. .| . . . . . . . i . . |、__
ノ|. . 」L| . . L.」_. . .|. .| . . |\___) }
|人八| \{V|人ミiト. .|__| /
/ . .}=ミ ⌒ぅく_,リ. .┝冖〉 {
. . . /. . '' ,. {__'ツ/. . .ハ. .|\__丿
/ . . /. .八 、__ '' /. . ./_丿..|、 \
l/|. /. ./. ,心. /. . ./. . . . .| 〉
|//⌒V.| .个ー┬=7./. ./i . . . . .|/ ̄厂|
| ....:}人八,ハ∧ {/|. /八l\人L.斗く_し┐
〉,..ノ/⌒V 厂|〉/|/ /| .___しヘ __,ノ
// 〕iト |/ /ニ/ 斗くニニ  ̄)
565 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:09:48 REV.yjoQ0
また、徂徠の弟の荻生北渓も最初は吉宗に侍医として仕えていたが、明王朝の律令法などに明るい
ことから、法典研究に動員された。
- ―― - 、
/ \
, ' ヽ
/ j __/_ ハ
/ 、ヽ ハ /// `// }
レ ィくム从 /イtァテ</ !
i ハゝ 仡i Y-{ ゞ'┘/:/ ,′
l !ヘ\__,ノ' ` ー‐7 / /
リl 八 . /イ ///
ヽヘ > 、 ,.ィ//ル′
` \N、l`71-‐〃´ ̄ヽ
〃 ̄ V }{ヽ/ _>
___ /\_,.ィ=ヽ/_.. -‐ヘ
l\ミミヽ、 ,ィ≦三彡'´ ̄「ヽ ヽ
| `ヾミヽイ彡'" | \
j_ l≡l !_ \
{ ヽ | ! _ とニヽ ヽ
ヾー;ヘ l l ヾー- !\` 、 }
荻生北渓
(タバサ/ゼロの使い魔)
566 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:10:11 REV.yjoQ0
そして、室鳩巣や荻生北渓も吉宗の政策諮問を受けるようになる。
__ _
,,-‐===ミy'´ ィ⌒´
. ,,-‐…‐-v' ´ ̄ ̄ミ:.、
/, -‐…‐ォオ弌 ,, ⌒\
′′ イ/L「`ヽ 〃 | / l ii i \)
¦ i |l ⅱ¦ レッ7} ii j iト、 jj´
│ | |l __」i |i jィf抃| jj,ハ | )′
!! 八 ( 圦_j_j代 kj v/ jり
, 、 \ )x | i i| 八 j
\` ‐-ァ,, \ノ`│i i| 7 )'
` ‐-=ニィ __|==ミト、_厂¨´
广ィ==ミトト、
/》'/^⌒ヽ\ 》=┐
/》'/ \\│
. /》'/ \ vヘk、
それまで林家や、柳沢家に仕えていたころの徂徠などの儒学者に求められたのは
もっぱら道徳の判断であったのが、正徳の新井白石ほどではないにしろ、吉宗は
具体的な政策の意見も求めた。
こうした事は後の『文教政策・学者編(仮題)』で、あらためて扱う。
567 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:11:15 REV.yjoQ0
法典研究も、『六諭衍義』は室鳩巣に『六諭衍義大意』という解説書が書かれて刊行。
民間の寺子屋の教材にもなる。
荻生徂徠は『明律解典訳解』を著し、荻生北渓は『唐律疏議』の校正、高瀬喜朴は
『明律釈義』を著し、深見玄岱・有隣親子は『大清会典』の和訓を行った。
,斗-、
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Y≦三三三三三三≧厂
ただ、こうした古典や海外の法典研究は、直接的な法整備への影響はあまりなかった。
568 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:12:00 REV.yjoQ0
より実用的な法典編纂を行ったのは、もっぱら南町奉行大岡忠相だった。
i ̄ ̄ ̄/ }∨{ /|_ ..... ...... _ / `ヽ
へ | .:/ /:::::Y////:,::::::::::::::`ヽ.____ / \
. / ヽ | .:./ .,/ :/:::///:/:::/:::,::::::::::::::::::::く/ ./ / /ヽ
. \ ヽ |____:/ , '/ :/:::/小、/:::/:::/:::∧ハ:::::::::::Vヘ / / / ヽ
\ .> / / :/:::厶斗く|::!:|:!::|:!/``''"|:!::i :i:::Ⅵ! \../ / i
. \../ . ´ / :/:::::::/:/ハ乂从リi!| |:!::|: |: :i|::| / |
i ̄ … ─┐ . ´ //:::::::/:/:.彡 代必'从 从リ八j:リ::| i __ ─ ′
| ____| ./__ ...:.:.:´:::::::::::::::;: /^Y´ `ー ′ イ必'乂У!::|  ̄
.  ̄ ̄ / :::::::::::::::::::::::::::/:八 と、 ゝ `ー'ハ:! : !::| ┌────ー┐
. /:::::::::::::::::::::::::::::/::::/::::::>ヘ | ー┐ 八:.|!:.:.八 _,-- 、 i_ |
{:::::::::::/  ̄ ̄/::::: / ::::/::/::::|ヽ ヽ ノ /::/::!|!::::::::r " ト、  ̄ ─ '
):::::::} /::::: / ::::/::/::::: |_\ __ .イ::::::/ :::!|ヽ:::::{ j jー..、
. -=彡:::::::ノ /::::: / ::::/::/:::::::「: : : : : : : : : i:/ ::::::!|\\ 、 __人:::::::\
. 〃:::>‐─''′ .イ::::: / ::::/::/__r′: : : : : : :./.:::::::::/⌒ヾ、ヽ><: : 0:.|:::::::::::}
八( /:/::::::/:::/: : : : : : o: /7:o: : :/ ::::::::/: : : : : :.Y〈: : : : : :0 |:::/:::/
\ /://::::::/ :/{ : : : : : r─‐ ‐─ュ:/:::::::::/: : : : : : : : :|:::i: : : : : : :.∨::/
. { {:{:::::/:::,′V/: : : : : ://: : : : :{:::::::::::{: :/: : : : : : Y|: : : : : : : :| 人__彡'⌒
/7ー‐/7V: : :.:/: : : : : ://: : : : : :.\::::::∨: : : : : : : : :!ハ: : : : : : : ',乂::::::::彡'⌒
// .:.:///∧: :/: : : : : ://: : : : : : : : : :Y: :ヽ: : : : : : : : ヽ!: : : : : : : :!_ ̄
// .:.://///∧{ : : : : : : : : : : : : : : : (..ノ八リ \: : : : : : :.:|: : : : : : : :|:`ヽ:`ヽ
// .:.://∧///∧: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:ハ: : : : : : リ: : : : : : : :.',:::::: Yハ
. // .:.:///Ⅸ////∧: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:/:::::|\: :イ/: : : : : : : : :.|`ヾ | ノ
// .:.:///Ⅸ///////i : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:/:::::: |::::::\ハ: : : : : : : : :∧ リ
. // .:.:///Ⅸ////////| : : : : : : : : : : : : : : : : : /:::::: 八::::::::: \: : : : : : :∧i:i
// .:.:///∨/////////| : : : : : : : : : : : : : : : : : !::::::/::::::\:::::::::::\__ _人川
大岡忠相
江戸南町奉行
(遠坂凛/Fate)
当初は評定所に処罰の分類整理が吉宗から指示されたが、各人多忙で忠相が引き受ける
こととなり、忠相も多忙な中、部下の与力の上坂政形と加藤枝盛に命じ、自家用人の小林
勘蔵にも手伝わせた。それが享保9年(1724年)に吉宗と評定所に採用され、庶民に対する
14類86条の『享保度法律類寄』として完成した。
569 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:12:35 REV.yjoQ0
さらに上坂政形に命じて、享保10年(1725年)には、江戸町奉行所の裁判・行政関係の判例・法令や
関連書類を分類編纂した【撰要類集】全九冊を完成させた。これはその後も増補作業が続けられた。
さらに後代には明和、天明、天保、嘉永版も編纂された。
__
´ ` 、
/ \
´, , } ヽ ヽ. ヽ
. / ,// ./{ ハ ‘,. ‘,
/ ,/ ′―/-{ 、 ハ{ },, -― ' ' ム
`7,├ー '' r≠ミ‐┘ゝr≠ミ‐{
. ゞ┴{ { 〈 辷} } ,{ ,辷リ 〉 .i{ i}
i{ 乂___,ノ´乂__,ノ{ .i{ i}
i{ 〉‐'´/`Yヽ ,{ { i}
八,/ / ,/ }ヽ _,.イi{ {_,八
/ / /==ミ、 { { \ \
{ { { / / /≧=彡'人 八. ヽ
人Y⌒/ヽ_/{/,} {\ 、ヽ
/>'⌒ヾ 、 //,} ∧ ゞ'´
{} ≦≧,,}ノ {//} ノ ヽ
{ ‐‐-イーr '' Vー-一 ' /
ゝr r ィ ノ V o∨ {
上坂政形
南町奉行所 与力
(氷室鐘/Fate)
570 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:16:11 REV.yjoQ0
こうした流れの末に、幕府の裁判基本法とも言われる『公事方御定書』が完成するのは
吉宗政権も終わりごろで、後日あらためて扱うことにする。
__________
r´ ´\ \
( \ 公事方御定書 \
\ \ \
\ \ \
\ \ \
\ \ \
\ \_________\
\ r´=========r´
\ 《 三三三三三三三三三=
ヽゝ==========ゝ
`ヽ:::Y:::/::::::::::::::::::::';::ヽ//
r─-'--=== 、..,,,_:|::::::i':/____
_,,!_:::!]:::::::lコ:::::::::r-、`"'':::::::::::::::`ゝ
/ `ヽ,.-、_;;:: -‐- 、::/〉:::::/::::::,'
/' /::::::::ヽ. `ヽ.`ヽ/::::::,'
i ! /| ハ_;:::::::::::i ', ', ',` ', ヽ ただ『公事方御定書』は現代の成分化されて公開もされている
i /::/ |/´_ ',:::::i::::ハヽ、!_ i i i ', 法律と違い、本来は公開しない幕府側の基準統一と効率化の
i i:::ハ,r;ァ-!、ハ:::|/ ! ハ | | | | ためのマニュアルというのが本来の目的だった。
i レ|:::| ! r} |/ 'ァ='-!、ハ | i |
ヽヘ|:::!"  ̄ !__,r!/ i,へ! |´ | それが吉宗以後、次第に一般にも内容が知れ渡り、
|从 , " /::::| ! | 幕府側も基本法扱いすることによって、実質的に
|:::::|\ r-、 .//:::;' ,' | 近代的な成文法のはしりとなった。
ノ|:::l:| .i`ヽ.,__ ,. イ |7:::::/ ./i |
/_,.|:::l:|,.ァイ´ヽ、 _ |>':::::/ / | |
/´ ';:::ヽ:;:ヘヽ、 `ハンi:::::i`ヽ/ ! |
/ 〉::::i::ン\>7 ハ ',|:::/i` 7`ヽ! |
〉ン、_ レ'Y:::ゝ-'/ / | 〉:::::Y 〉 |
571 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:16:41 REV.yjoQ0
享保6年、吉宗は江戸城内吹上にて三奉行による裁判の視察も行っている
`ヾ、\\_ ,.:-'” _ ”'-:、 _// ,.ィ'"
\ ヾ、\_]_i"´ /´ _ `\ ``i_[_/ ,ィ'" /
`===´ / 〃_工_ヾ ヽ `===´
`ー- 、__ | ll、dIIb ,ll | __,. -一´
、__] [二ニl゙ー-‐''lニ二] [__,.
ハハr--ァ| | ̄|`,'⌒',´| ̄| | _r-、ハハ
゚д)'-);;:::... ___|}{|_d゚m゚b.|}{|___ ...:::;;(-'(∀`
====‐- , -,、,、 `l──‐',---+--+---,'──‐l´ __,rュ _ ___ -‐====
i i 〈,,((^, 7 | __i'i,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,i'i__ | lli、 ヽナー、ζ ! !
i i リ(i、 -' | |. l |.!-h-i i-n-!| l .| | (-‘dく゚_ ヽ| ! !
i i ハ 爪゙!. ___ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄___ @ / , ̄ヽ ! !
i i |__! 'l:,l'" / | | \ とィl |'´ ! !
i i O┌♀──ェi" | | `iェ──♀┐O .! !
i ○ i ,外~}{ |i / ________ ヽ. i|. }{~外、 !.○. !
i 外゙~}{ |i | l |i. / {´{___ ___}`} ヽ i|. l | i| }{~゙外、 .!
~'"}{'´ | l |i_| l___j/ ||'´ii. ̄ ̄.ii`゙||. \i___l |_i| l | `'}{゙`~
/ | l | l └' _||_iill.__.llii_||_ '┘ l | l | \
|_l └' └‐'´ `'┘ '┘ l_|
rー '>, -―- .
┌‐' 〃 `,.< ̄`ヽ
ゝー ハ / { / ∧ `ヽ \
ヽィ':ハ ! ! '/l__ハ/ }__ハ } }
. レト、| |/__レ__ _レ'_`} / ′
/.::トr.| |f{r'フj「` ir'フl「il' ふむふむ
/.::/|:ゞ! i| ゞー'' `ー'{ i|
ヽ/ !_j:! l|ゝ、'_'_-__'_'ノ i|
vリ \/ V、r '`ヽ
/ ヽ ',ゞ(__)
{ } i__,ノ
r-f >ニニニ}
乙{ヽ./ `) ___\ ___
/  ̄´///⌒;‐//⌒;
{ /7/___/7/___/
ヽ.____/-LfフーLfフj
572 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:17:12 REV.yjoQ0
同享保6年、訴訟手続きの成文化と若干の改正・簡素化を実施した。
r‐- .,
ヽ ̄ ̄`-‐Z-‐‐ ┴ .┌‐- 、
>´ ̄`´ ,.-‐ | \‐-v
/〉 / / 、 ヽ。 ) ト -┐
/ / / / ∧∨へヽ ヽヽ 、Y~く ト‐'´
_ r〈 ヽ、 / / 〃 ! ハ| | | i i i | | ', |
〈〈〈 ト 〉 Y / ハ | Y´「 /‐-L// / ハレ~ゝ !
ヘ人/ / Y ハrぅ、 レ/〃メ、ハレ i これまでは、町奉行管轄の江戸町人を、寺社や勘定奉行管轄の
i ´ / i L_;ツ ィて^ヾ、 イ/ / 住人が訴える場合は、原告を統治する奉行の裏判をしたうえで、
| / i | , `ー'゜ / /| 評定所で審議することになっていたけど。
L` } i: : : :ヽ. _ __ , ' /i i
|  ̄ ̄ | i : :r― \ _,.. イ ハ i :{ 今後は評定所の月番の奉行が直接審理して、その判決を評定所が
Y`ー― ´Y /! `Ti-‐/ .イ : :i :i 承認すればいいだけにするわ。
| | / i ト/ / ヽ: . :i :i
| | / 〉 / ,. '´ ヽ: .i :i!
| 'j_/ / / / ,. .. ., ヘ: i :}
| i / 〃 / , ´ `j!: : :|
| i ,:' リ // / ii: : : i!
{ { ハ // / /. : : ¦
573 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:18:40 REV.yjoQ0
同享保6年、百姓・町人といった庶民階級に限定してだが、縁座刑を廃止。
追放刑の適用も限定し、翌年には諸藩にも他領への追放刑をみだりに行うのを禁じた。
入墨追放という刑罰も設けたが、これはそれ以前の耳鼻そぎ追放よりは軽い刑であった。
その他にも獄舎の改善、拷問の制限、犯罪の時効の制定などの改革も享保年間に
行われた。
____
∧_∧ ヽ=@=ノ
(; ・∀・) (,, ´∀`)
( (つ(つ∝∝∝と )
ノ r ヽ 人 ヽ
(_,ハ_,) (_ヽ_,)
574 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:19:14 REV.yjoQ0
以前述べた通り幕府領の訴訟も扱う勘定奉行所を享保6年(1721年)閏7月に
公事・訴訟関係を扱う「公事方」と、年貢・普請などを受け持つ「勝手方」に分けて、
分業により機能向上を図り、増員も進めた。
∧_∧
________.(゚Д゚::)__________
_| ̄ ̄|:::::)__
/ .|__r,,-,-,-i /|
/ | l | l|/ /./|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|/-'
|_| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |_|
∧_∧ _ /|_______/|_ ∧,,,∧
r( ゚Д) /_| .| / | |_ ミД゚ 彡
| l つ .品_|/ ___ / |/_品⊂ .ミ l
| (_ ./ /二/三三/| / /三三/| / / __,l .|
|_r― ./ /三三/lll / /三三/lll /|./_-―、_l
/ |___ll/./ |___ll/ / /
/―――――― /―――――‐/ /
∧_∧ /| / / /|三/|∧_∧
(;;;゚д)_| .| /二/ / ./二/|_| |_l/(д゚=)_
r(#;;;;;;;つ,_|/ ./ /二/|/品 ⊂ =l l
| (_ / /三/| /  ̄ // __,l l
|_r―/ |_,|/ / /二/ // /,--、l
575 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:27:03 REV.yjoQ0
政策や事業の一般からの陳情・提言については、享保4年(1719年)2月に公認に方針転換し、
触書で公示した。
∧∧ ミ _ ドスッ
( ,,)┌─┴┴─┐ 『今後は道理にかなった訴えであれば取り上げて吟味し
/ つ. │ 道理の通らないものであれば不採用として願書を返却する』
~′ /´ └─┬┬─┘
∪ ∪ ││ _ε3
゛゛'゛'゛
さらに享保6年5月には、具体的な出願・審査手続きが公示された。
1・訴願人は訴状を町奉行所に提出
2・奉行所は訴願人に出頭命令書を発給
3・訴願人居住地の町名主に出頭命令書を渡す
4・町名主は訴状の内容が町方に支障が無いか調査
5・支障が無ければ町名主が訴願人を連れて奉行所に出頭
なお、その後の実際の運用は、町ごとの町名主でなく、奉行所と訴願人の間で
江戸全体で三家の「町年寄」と一年交代の「年番名主」で処理していた。
576 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/12(日) 16:27:47 REV.yjoQ0
なお、訴訟とは関係ないが前述の入札による請負の問題については、吉宗政権より少し前の
正徳3年(1712年)在方(都市郊外)の御普請工事を競争入札で請け負わせることを禁止し、
現地の百姓に請け負わせるようにした。
専門業者が必要な場合も勘定奉行所への申請と許可が必要とした。
ただし抜け道のような方法で業者による請負が行われることも以降あったが。
/ ̄ヽ
〔==±=〕
(( ( ・ω・) ))
(( (o┳o ))
ガガガ (( し[圓] ))
⌒Y⌒Y⌒ ┻┻
一方、享保7年から本格化する新田開発政策では、町人請負を積極的に活用することとなる。
これも政権中期以降で解説する。
593 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:01:14 FIflD/W60
__,,..,,/ , `、
`、 り ノ チ"フ
<三}コ三二ン
/ `ヽ、
.,,_ /___,,,,..... .--'-‐‐‐フ
` 、"''"~___,,,,..... .---‐‐‐イ
',"~L ! o_'_,,,┘,....',
,ィ'''""~~ ̄ `、 そして吉宗の業績として一般にもよく知られているのが
/ , | i i ', `、 ', 『目安箱』の設置だ
| | 人N N人_ | , |
. | | | ノ─- `、 / '''""ソ,ノリソ 享保6年閏7月の日本橋での高札で設置が公示された。
ソ、N | ,乞弍 ' 歹气Vソ ',
|`ハ ' 之ノ 込ノ '| i ',
,' | ヘ * ' *ノ| | '、
. / | i'ゝ ..,,,ー,.. イ | ', `、
ノ / |,i"''7/"R',-ノP{"'| ノ `、 ` 、
/ / ハ <7( ~レ゜ソ ) |ノ | '、 `,
/ ,イ , '、 ソi '´`' | `、`、|レ, |、 |
__________
/ / /|
/ / / |
/ / / |
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ..|
| | ..|
| | ..|
| | ..|
| | /
|. | /
. .|__________|
この制度は、室鳩巣の献言によるとも、元々吉宗が紀州の大名時代に和歌山城門前に訴訟箱
を置いていたことによるともいわれる。
設置された箱は75センチ立方の大きさで、上は銅板張り、六センチ四方の投入口が開けてあり
前部に鍵かかけてあった。
594 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:02:45 FIflD/W60
//_/__//_/__//_/__| |_ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽ
二二二ニ/二二ニ/二二二//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
//_/__//_/__//_/__///_/_//_/__//_/_ | |___ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//_| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|__|_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
○====○====○====○===.| |││││││││││││││││|| ||===○===○===○===○===○
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""" ̄ ̄ ̄'''''''''''''''""""" ̄""" ̄ ̄''''''''''""""""""""""""""""""""""""" ̄ ̄'''''''''"""" ̄ ̄ ̄ ̄"""""""""
そうして8月から江戸城龍ノ口 評定所門前に訴状を受け付ける箱が、毎月2日、11日、21日におかれた。
享保12年(1727年)には、京都・大坂の奉行所前にも月三度置かれるようになった。また甲府と駿府にも
置かれるようになった。
元文元年(1736年)には五機内の百姓向けの箱を、京都・大阪の奉行所に年二回設けた。
なおこの箱が「目安箱」と呼ばれるようになったのは明治以降で、当時は単なる「箱」であった。
595 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:03:45 FIflD/W60
目安箱への投書の規定はこのようになっていた
/:::::〃:::::::::::::::|:::::::l::|::| \|::トヽ:::::ヽ:::::\ 訴えてよいのは
.::::::::::l:::::|::|::::::l::|:::::::|:|:::| /|::lハ:|::::::: ', :::::.│ ・政治一般で公儀の利益になること
. //::::/::::|:::::|::|::l/|::|l::::::|| ノ/ j/| |l :::::::: l::::::::.ヽ ・公儀諸役人の不正
//:::::::::::::|:::::ト|、{ j::八::::リイ ≫テ气セリ::::::::|::|::::::::.│ ・訴訟が受け付けられたにもかかわらず
〃 l::::l:::::l|ヘ::::|八|_≧|::\ 〃 ヒン彡:::::::::|::ト、::::::.ヽ 放置されている事案
ll |::::|:|::||::::ヽトィ灯う|::/ /::::::::::::_|)}::.:::.│
|| |::::|:|::|ヘ:::::::ヾミ ゝ |〈 /:::/:::〈 ::::::::::::.│ 町奉行所や勘定奉行所等の役所にまず
|| |::::|:|∧:::\{\ //|::l::::|:| ::::::.│ 出すべき事は、そちらに出すように。
|| |::::|:|:::::〉、::::|ヘ ,...、 |::|::::|:|:::::::::::::::.│ 住所氏名は必須で、匿名の投書も扱わない。
l| ∧::|:l//::\|::::\ /|::|::::|:|::::::::::::::::│
/:: ヘい /l:::::|::|::l::::/> 、 _ l::|::::|:|\::::::::::.│ また投書を許すのは幕臣以外の百姓・町人・
// ヽ〈 |:::::|∧∨::::::::::._〕T´ / l:|::::|:| .>、.__ 浪人に限る。
l| |:::::|::∧'、::::/ | /ヘ、 l|::::l:|:////::.:: (最初期は旗本御家人などの幕臣のも受け付け
/::|| |:::::|/|:::\::|「\ ∨ \Ol:::l:|////::.::.:: ていたが、間もなく禁止された。それについては
/::/l|/ ̄ ̄`V::リ/r=厶-<:::::: ヽヘ:::l|::::::: /::.::.::/ 後述)
//´ / \┐├く_,//lロく | |/ ̄ ヽ| ̄ /::.::.::∧
〃 / \_ `l ノ/〈〈ノハこノ‐< ̄ ̄`< ̄\/::.::\
/ / 、 ヽノ:://`7/ | ト、 \::.::.::.::.:\ ヽ::.::.:: ||_H_|_h」. |
/ / \ノ// 〈/ |_| \ \::.::.::.::.:ヽ ∨::.:: ̄ ̄ ̄.::.:\
特別出演 黒神めだか(めだかボックス)
596 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:05:13 FIflD/W60
享保6年の高札での設置理由の説明では、以下のような非合法な訴願が多かったために設置した
とある。江戸時代前期の訴訟や陳情の手続きが、発達した社会に合わなくなっていたために
おこっていた。
目安箱の設置は、合法・非合法の線引きを明確にしたうえで、直目安を受け付けるためでもあった。
そしてこれまで述べたように、直目安以外の訴訟・陳情の手続きや受付の分担も並行して明確化
していった。
,ィ===x .-――… ー- .
/ `>.:.:¨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.> 、
. / /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:へ 「近頃は、仮名や住所記名無しで老中や奉行の
/,イ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| ヽ.:.:.!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘ 屋敷へ投げ込む捨文や、その他の非合法な
///.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:.:.:.:.:.:.:.! /ハイ、.:.!.:.:.:.:.:.:.:.:ハ 訴願が多い」
// /.:.:.:.:.:.:.:.:.ト、.:./ !.:.:.:.:.:ル' / iノ ∨.:.:.:.:.:!.:.:.:.l
i/ /.:.:./.:.:.:.:.:.:l.:/メ、 !ハ.:.:.i ム二ニ、ノ.:/.:.:. l.:.:.:.i 「受付の箱を設置したので、以後はこのような
{ /イ.:/i.:.:.:.:.:.:.iイ,二ニ !.:リ 弋ソ ム/.:.:.:.._i.:.:.:.l 非合法な手段はとらないように」
/ !/ ム.:.:.:.:.:.杙 弋ソレ' /.:.:.:.:./ 斤.:.!
!/.:.マ.:.ハ:∧ ' (つムイ.:.:.:/ノ.:.:.:.:.! / ノ
. ∠.:.,イ.:.マi.:.:.:∧(つ /.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:i/ /
/.:.:.:.:.:.::\!.:.:.ゝ l> /.:.:.:/i.:.:.:.:.:.:.:/ /
,イ/.:.:./:∧.:∧.:.:.:.:.:> イ/!.:/-‐=7ーr/ /
/.:/ムイ V ゝ.:.:.:r―-=|__//:/ /イ> ´ メヽ、
,'.:/ r――/ へ 「 ,イ !ソ //.:/ ーy \i
i/ __/ 〈7/ 《>ロ<》io,イニイ/ ヽ_V i Yヽ、
{ /.:.:i>‐< У __ヽ { ー、.:/ハ ! i ∨:i
597 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:06:09 FIflD/W60
訴状が入った箱は直接将軍のもとへ送られ、御側御用取次が管理する鍵によって開けられた。
なお匿名の訴状は、読まれることなく無条件に焼き捨てられた。
そうして訴状を将軍自らが読んだ。
,. -- 、
. / ヽ. \ _ _
/ \ > '´ `´ `<´ ̄`ヽ
. i / / . 丶 i
ハ / , ' / \ |
/ ∧ , ' , ' , ' `ヽ
/ ∧ ∨ / / / / / . ', 上様、こちらが今回の箱への訴状になります
〈 /∧∨ /_/__/_. / /il ト. l l ',
`ー‐ァ'∧ V il / /リi///`ヽ./ l| l i ! i .i
// //´| li |r====くリ ハl l| l l ! l !
/ / /八.{| li |{r';:;:;::// リ リ `7メ./ / /
. / // // l`| li |ゞー ' /=く/ ハ , ' , 'i
/ ん'/ //il il l| li | /r';:;:'/ , ' , ' l|
. レ'' ん ん!! il l| li | , ゞ-'イi / /レル'
从リ l| li | r.ァ ""彡' イレ'´
. / リ li |\ __ __.. イ li i|
「 ̄ ̄ `ヽ.八 li | / ̄ \ リ il i| f´i
. | \トv \ \ ルl l| ___/´〉 / /
. 〉、 \ ヽ. ヽ i!. リ , '´ _ (´ ̄ `Y
/ `ー 、 \ ヽ リ / _/ (´ ̄ `>´i
. / \ ヽ ', V//i /7 ´  ̄`ー‐'´ |
, へ ,. -――‐<ヽこr-、
,ノ⌒ _,.\'´ ヽ { Y´ `ヽ
,/ i ゝ┤ '.
./ ヽ | { ヽ } …ふむふむ
.l | | `r‐〈 ノ
ノ i | i | | ヽ _〉_ _ ∧
ヽ | ! ヽ ヽ| ト、 ∧__〉 ソ
、 ト、斗<ト-| レ/ / /! ヽ \
` ヽ弋ッ | |レヘイ / | ト、 〉
ノ | | /〈__/! ! 「
ヽ _ | / ̄ ̄`ー | ト、「 ̄ ̄ \
`ヽ / \ \! \
`1 / ヽ ヽ
| / V / \ !
/ / レ' ヽ〈
/// { |
〉 ' / 〉 ∧
598 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:12:15 FIflD/W60
ただやはり、政治向けの提言の大半は参考にならず、私的な利益を図るのが多かったという。
それでもまれに有用な意見はあった。
< ̄`ヽ
. `ヽ !_.... -─- .._
, -一, 、`''ヽ,,_, へ
/ / /ハ i 、i ヽ \ ゙i
/ / / ハ ! 、 ゙| ! ヽ人
/ 〃 ,.ィ´/ 小x.、 |! ∥ ゙、 冫 ま…まあ、そんなものですよね
i /i k=レ 弌ヽ、\ | i | レ'、
V ! 芹j 乍≡气、`| ! |_ -─ i }
/ ∨ヒン !じ ノ 〉| ! |-─ ´ /_ノ
/ ノr` ┴─''´ | ! iへ_ / /´!
,' , { u | i | /,彡 /__」
i / ハ i ⌒ヽ | i ト'彡/ ´/
|i 人 ヽ 丿 イ i //:::::\´
卜 i ヽ _ /, リ'::::::::::::::::::ヽ
,ハ ! `一 7´1r‐ /,' ノ'¨`ヾ:::::::r、::::::',
ヽゝ'⌒''ー∠イ::::ヘ ' '"´ ヾ:::」 `一′
/, /::::::ノr:::ヘヽ / ̄`\
! i ぐ:::::/ |::::::::ヽ\/ `ヽ
|, l / 〈:::/ ト:::::r┘ / |
/!ノ V !_」 ゙,,! ! イ
599 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:13:59 FIflD/W60
こうした一般から募った意見の「ハズレ」の多さについて、過去の正徳の頃に新井白石と室鳩巣が
論議をしていた
__
. ァ -‐‐- 、`丶、
´_,ノ´ -‐==ミ、 \ 、 ヽ、
/ / -‐rf≠ミミ、 } } 、
, -‐‐…ァ′ イ ⌒ ≧込}、}ルレ' /∠厶 意見を求めても下から出るもので上の参考に
{ // -‐ ´ {=≠=ミミ、
\{´ / __r' 〉ト弋} } なるものなど、ぬぁぁぁぁい!
-‐‐- 、 //, -‐ ー / ハ`ーイ
`ヽ}〉 { / 厶-‐─‐‐- 、 ⌒ヽ }
∨/{ |iル'´ ̄ ̄ ̄`丶\ i ,
}′ {|K⌒ヽ、_ 〉 〉} | 厶_
.イ |ト、_ `ヽくイ / / _≧x
`ヽ / ノ ヽー‐-- 、__ ヽ/ / / / `ヽ
マニア─く/{,ィ,イ_ >ァ=≠ミ≧′ / // ',
}/ }.イ } / { {′ ( ̄/{ ‐-ト、 rfイ { {
/ /: | j { | / ヽ{ \_j ヽi } 从 }
.' /: :/ /⌒Y´{ ‐┘ _ノ 从_/⌒ヽ /`丶、
イ /: :/ /⌒Y⌒1 _ -‐‐- _ ノ个: :{ { } / . -=ミ、
:ノ , ' : / / l └≦三三三三≧、 |: : :| トi ト- / ヽ
/: : / / } `ヽ、 斗: : | |:| | / }
600 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:14:29 FIflD/W60
へ、、
/ {_ ク 綱吉公が亡くなられた際、多数の落書が出て老中が禁止しようとしたが、
,=- く__,,/ 家宣公は「下々のいう事を聞いて利益になることもあるだろう。無益の事
/ / _ は捨て置けばいいからそのまま言わせておくように」と言われその時は
/ / _〃― ヽ 感心したが、その無数の落書の中何一つとして役に立つものはなかった。
/ /ヘ _/ | | =!|= }lヽ
r' く彡 \r'´{ ∧ rっ / |ヽ-、 そこから考えれば、広く意見を求めても有益なことを言うもの
\ ""''''`l /ヘ`,二´ミ、ノ丿丿) などいない。
/\ | ´ | | | |\_ノF== 、__
/;:;:;:;:ヽ / l | | | | \|| | | | | ||
/;:;:;:;:;:;:| r―''\ ,'⌒i| || || |
/;:;:;:;:;:;:;:;:| || ヽ__ノ || || ヘ
/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| q====||ヽ==o || || ヽ
/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:| || || ヽ || || \
それに鳩巣はこのように反論した。
-- 、_ , イ .イ
`ヽ、 ` ヽ、 , イ .イ
ヽ、 `ヽ、 / /
\ ,>---- .、 / ./
.\/, イ´,斗:.:.:.:.:.:.:.`--- .、 ./ ./
冫´ / :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、 | /
./ ./ / /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`.V / 上に諫争するものと落書・狂歌を作るものは別なの
.,γ/ / ./ /:.:.:.:./:.:/:.:/|:|.|:.:.:.:.l|:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:`v´--.....、
/ .//.| ./ |:.:.|:.:|_/__,.イレ ヘ:ト、__:.:.|;.;.|;.;.;.;.;.ト- 、:.:.:.: 落書は無益であっても、正義の人がいないとは
./ /| | |:.:.|:.:|/,二 ミ 彡ミミヽ:.:.:.|:.:|ヽ `ヽ、 言えないの
/ / .| ト、 .ト |レ了lっ:::l´ .|し:::冫:.:.:/:./ ヽ
| / | .| ヘ |ヘトゝ乂::::ノ 乂::ノ ゝ:./.ヽ 丶 |:::::::|
| .| .レ ゝト、ヘ  ̄ .' /::レ \ | .|:::::/
| .| レイ .| ./ ⊂⊃ /::/ ヘ .|:::/
.ヘ | レ \ .イ|/ //
ヘ| `l_ヽ-_イ_l´ /. ̄.\ 彳
,斗- 、斗´っ r-フ  ̄/ ,-、
/ /// / フ.r`/ .// ,.ゝ、 ゝ'
/ |.|| JJ-/==// ./ 斗-- `、===彡
r '=、、 |.>>> .| / ノ | ̄ | // /
γ ヽヽ lヽj| 彡レミ//| γ/ /
だが結局、白石主導でいったん、正徳6年の献策禁止令が出ることとなった。
601 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:17:20 FIflD/W60
`ヽ:::Y:::/::::::::::::::::::::';::ヽ//
r─-'--=== 、..,,,_:|::::::i':/____
_,,!_:::!]:::::::lコ:::::::::r-、`"'':::::::::::::::`ゝ
/ `ヽ,.-、_;;:: -‐- 、::/〉:::::/::::::,' >>1 の私見ではあるが、ハズレの多い一般からの献言を
/' /::::::::ヽ. `ヽ.`ヽ/::::::,' 白石は無用のものとしたのに対し、吉宗は根気強く募り続けて
i ! /| ハ_;:::::::::::i ', ', ',` ', ヽ 有用な意見を適切に得た差は、白石は理想が高い代わりに
i /::/ |/´_ ',:::::i::::ハヽ、!_ i i i ', 他人にもそれを求めすぎる書斎のインテリだったのに対し、
i i:::ハ,r;ァ-!、ハ:::|/ ! ハ | | | | 吉宗は雑多で大半は凡人である現実世界の多数の人間を
i レ|:::| ! r} |/ 'ァ='-!、ハ | i | 扱う「政治家」だからと思っている。
ヽヘ|:::!"  ̄ !__,r!/ i,へ! |´ |
|从 , " /::::| ! |
|:::::|\ r-、 .//:::;' ,' |
ノ|:::l:| .i`ヽ.,__ ,. イ |7:::::/ ./i |
/_,.|:::l:|,.ァイ´ヽ、 _ |>':::::/ / | |
/´ ';:::ヽ:;:ヘヽ、 `ハンi:::::i`ヽ/ ! |
/ 〉::::i::ン\>7 ハ ',|:::/i` 7`ヽ! |
〉ン、_ レ'Y:::ゝ-'/ / | 〉:::::Y 〉 |
602 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:18:14 FIflD/W60
|\1 |_/ , -≠─ァ
\ \f_Y´__/
>+ <
_「二二「二二}ト、
\______/ゝ
, - ヘ_____/ ̄}、 また白石やさらに綱吉と、吉宗の決定的差も、吉宗が理想よりも「現実の
/ \ 人間」を前提にしている事だと思っている。
/ \
,′ /_| i ∧ ! ヽ ハ 白石は綱吉は、朱子学を中心にしたインテリであり、人は皆学問などで
! l ,ハ「∨}、 / ナメ、| i | l 努力をすれば道徳も能力も高みに上がると思っているが、それは反面
ト、!∧rf心 ∨ r=テミx| ノ | その高みに至れない大多数の凡人に厳しいということでもある。また
>´くr弋リ、_r==tり l //1 |仕事の向上も個人ごとの能力や道徳に期待することになる。
/-┐ヽゝ--'、 ー─'Nイ l !
l {7了>、 r_、 __/∧ ! |それに対して吉宗は、ある意味大半の人間の能力や道徳にそれほど
l ノ | ` r─ ´l / l 1 ! 期待をしていないからこそ、大半の凡人に対しても寛容であり、個人の
/j 「 !_|__ イ !} / ノ、 能力や道徳のみに依存しなくてもいいようなシステムを熱心に作り
/, ´ /:::| |∨! 7:l 7 ̄`丶 ! 上げたのではないだろうか。
/ / /:::::,| |f{| /Y/ /::/::::::::| ∧
, ′ / /::::/::| |ゞ1´Zソi /::,'::::::::::::::l ∧
∧ ,′ /:: /::: | |_(__)、_ 7 /:::::!:::::::::::::::\ ト、 1∧
∧ / ∧::::|:::::::\:|、 1| \/´:::::::/:::::::::::::::::::::〉 l ト、丶
/ 、 / /7´\:::7 ノ ∨ ヘ,\::::>、__/,! 1 '. \\
|!| l _/ /:::::|/:::::::::\| ̄:::/{{__ノ 、_}} /1 l '. \ 、
| ! l、 ̄ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::1 | | / | l 1 '.
∨ ヘ ,1 、 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} / / ∨ | 7 | }
\ ト、|i、 ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨ ./,/ l/ !/
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\/´ / /
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
603 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:19:30 FIflD/W60
/ >'´ / .i!
/ ,.- ,,r=ソ`ヽ、i!
. _ ./ ,.-ァ イ ,_r'=シ:::::::ヽ :::: ヽ、
/ フ / (_ノ.i:::::::::::l :::::::::ヽ :: ヾヽ 吉宗は裁判・訴訟に限らず、政治・行政に関わる公文書の
/ l ゝ、_.._ノi:::::::::i |:::::::::i>i:::::::,> 整備や、国土や人口・産業などに関する国勢調査などの
ヽ_i!ソ .iイ:::::::::::l: :l :::::::|iヽ :: 」 , イ いわば「データベース化政策」を進めていき、それによって
</ /レ,イ::l ::::::::: l>|__l __  ̄r''} | 統治の効率化と強化を図ったの。
/ /.(./|: :l_二イ ニ,rxiト'' ヾj l
. ,<`ー=' ./.7::::::::::::::::::代z ソ , /、 綱吉が「聖賢の教え」で専制君主としての立場を確立しようと
ヽ、ヽ/`ヽソ.ノ ::::::::::: l:::::::'`ヽ、 ,/ :: ir 、 したのに対し吉宗は「データとシステム」でそれをなそうとした
ソ´./ソ' ::::::::::::::: l ::::::::::::: `<´:::::::<`i),コー'/ と思うわ。
/,'//::::::::::::::::::::ヽ, ::::::::::::::: `i>ヘーレi :::::::::::
_.i!=' ァ':::::::::::::::::::::::: ヽー=' ̄ ̄>ー=>ーl`ヽ:::::::::、一
/ .i! ./:::::::::::::::::::::::::::::::ヽヽ r ,.> ̄¨゙´ /、:::::::::::l
. l .l ::: l :::::::::::::::::::::::::::::i!ヽ ( ヽ (∨ `ヽノ
i.l : :i.l .l :::::::::::::::::::::::: l ',',. |,.二__,ヘ |r'一
_r'、,.i :∧'; l :::::::::::::::::::::::: l、i! i=)) `<
,i i . ∨ ヽヽ:::::::l ::::::::::::: / __i_ヽ `ヽ、 l_______
|ヾー,__l .|ヽミ、: l!.::::::::::::,'|l::l|:;o:;;:;| `ヾ、,:;:;:;:;:;:;:;:;o |
ヾ_ ヾヨメ._.|::|ニl`ヽi、:::::::/:|l::l|;:;:;:;:;:;ヽ l :;:;:;:;:;:;:;:;:;|
. ,/´`ヾ=i=|l/ ∨.| ::: /'´|l::l|;:;:;:;:;:; |ヽ ヽ, ;:;:;:;:;:;:; |
. l />、 i | .| /|,r'| :/ . ,r|l::l|;:;:;:;:;:; | ヽ .r'ヽ_r'ヽ,__ :;:;:;:;|
. ' フi iノ ,/ レ' '....|l::l| ;:;: _r'' レ'´`ヾ' >;:;:;:;|
'´ i!| l |l::l|;:;:;:;i!、 ,イ _ .,__ζ´;:;:;:;|
',. \|:;:;o;:ヽ,=ノ )二彡ノ'ソ;:;:;:;o;|
604 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:20:13 FIflD/W60
目安箱への政策献言で有名なものとしては、享保7年の養生所設立の訴えがある。
これについては後日『小石川養生所 編(仮)』で解説する。
___
/ .\ 施薬院設立のために
|wwwvwww|
(|:::;;;;;;:::::;;;;;;:.|) せっかくだから、俺はこの赤い扉を選ぶぜ!
|;;: ;;L;;;;: |
l\;;:= /l
.. _/|;::: ̄ ̄ |\_
... / ̄|;;;:::;;:;:\ /;;:;:;:;::;:| ̄\
/:;;:;:;:|;;,,.:.::;;:,:;;;\/:..ecole.|;;:;:;:;;|
/;;;;;;;;;;;|::;:;:;;::;;:;;;:;:;|:;:;:;;:;:;:;:;:::;|:;.;;:;:;::|
<:;:;:;::;::;;;;|;;;:;:;:;:;:○:;:;:;;::;:;○:;:;:;;::|;;;;;;;;:;;;::>
|;;::;;;;;;;;∥;;;;;;;;;:::○:::.:.:;;:;:○:;:;:;::;∥;;;;;:;::::::|
|;;;;;;;;;;;]..[]二二二[]二二二[]二]|;;;;;;;;;;|
小川笙船
(コンバット越前/デスクリムゾン)
また、瓦葺による耐火建築化を赤坂に住む伊賀八郎次という浪人が訴えたが、
元は元禄の頃は幕府の役人で、上司に何度も訴えようとしたところ止められて、
俸禄家財まで没収されていた。彼は目安箱への投書後、十人扶持となった。
605 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:22:56 FIflD/W60
また、享保6年には、紀州出身の浪人軍学者 山下幸内が吉宗の政治への
批判も多く含む意見の投書を行った。
吉宗は採用はしなかったが、吉宗は意見を堂々表明したこと自体はほめたたえ、
諸役人にもそれを見せることによって、筋道に則っているなら批判意見も受け付ける
ことをアピールした
l.:./ /: :`:、 __
!/_,. .-: :'':":´: : : : : : :ヾ`''"_ _,.二=ー…-
,. :':゛: /: : : : : : : /: : : : : i: : : :`:`:ヽ.、
/: : :.; ': : : : : :/: : /: ! ゙! ヽ `ヽ、
/: : : : /: : : : : :./: : :,l: :/: : : : i |. .i.. . . .、 \ ` 、
' . :/: : : /¨7ヽ:,:'゙!.:/: : : : :j,.オ-、:: : : :゙、: . ヾ丶、
' . : :,': : : /: :.:::;l: :/ '/ !: : : : l.:,ハ.:lヽ: : : :i: ヽ: `、 「紀州一国を治めている気質がまだ抜けていない。
. |. : : :,': :/: : : :.:::j:/ 〃 !: : : :,!:/ l:.|::::: : : :i: : i. : :. 天下を統治する人の心とは全く違っている」
!: : :,': イ: : : ;;;∠ム≦/ l: : : /;/≧ッキ|V:: : : j: : :l: : :.
l: : ,':/:l: : ッ''オ示乏! l: :./ノ 伐片ヵV:: : :l:: : :|: : :i.
. l: :j:/::|: : :.V !vヘ ノj j:,.' トヘ ,ノリ V: :.l::: : j\:.:l
l.:|,!/'|: : /::l ∨つ」! / レつゾ /::!: :ハ:: :.l ヾ|
!j!{ !:.:/:::::! ´ 、 `` . !::::l:/ 'l: /
i!.:゙J∨:::::::l " ,、 ,!::::|{ l/
j: ::.|: : ::::::::ト、 ,-、 '┘ __,.ィ´::::/ !
. ! ::.|: : : ::::::l:|:ト、 ヽ、__,.-''"´ _,ノ::|::::::.: : |
i: : :l: : : : :::::|/゙ヘ く::|:::::!::::.: : : |
l: : :.゙、: : : : : }'⌒`丶、 ノ\:l: : : : : :j
l: : : ::|、: : : :./==、、 \ | l: : : : : /:!
/: : : ;rミ:、: : /==、、``、、 `く ,!: : : : /: :.l
山下幸内
軍学者
(泉こなた/らきすた)
『山下幸内上書』については、吉峰政権前期の最後の総括編で扱う。
606 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:23:52 FIflD/W60
享保7年には、浪人の小林平六と野村時右衛門が新田開発可能な土地が上総国東金領にあることを
投書して、荻原乗秀の調査の上で新田開発が開始された。二人は荻原の元締手代に配属されて働いた。
このように有益な新規事業の提言も受け付けた。
_ヽ(、_
/´:::::::::::::::`丶、
/::::::::::::{::::::::::::::::::::ヽ
i:::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::::. 新田開発に興味はありませんか?
ノ:j::::::i::::|::::::::::::::::::::::::::|
ヘノイノ∨ヘ:::::::ト、:::::::::::ゝ
{ ti! ‐ti- -ti‐Yノイ
> _ ´ | ` ノ
_,. ィニ{ {∧ ′ /_ゝ、
_,. -=ニニニニニ| 丶 ,_ ̄`_.イ {ニニニ- .,_
r≦ニニニニニニ/ニニ| `T ‐ 、 `ーヽニニニニニ- _
/ニヽニニニニニ/ニニニ!、 ,イ::::}ヽ、 |ニニニニニニニト
. /ニニ}ニニニニニー‐ァニ ∨ ゝ::ゝミ Vニニニニニ/ニ|
ニニニ{ニニニニニ/ニニ{ |::::| lト、 __,ノヽニニニ/ニニ
|ニ/ニニニニニニニヽニニニ, |::::| j!,ィ〕f//}ニニニニニニ|
|,/ニニニYニニニニハニニニ., j:::::| rく _ ./ニニ!ニニニニニニ
荻原乗秀
荻原重秀の息子
(武内P/アイドルマスターシンデレラガールズ)
607 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:28:30 FIflD/W60
また、代官、役人などの不正の告発も受け付けた。
こうした事の代表は、吉宗の後ではあるが、九代将軍家重の時代、長期化していた「郡上一揆」での
百姓側による目安箱への投書で、これにより将軍家重は側近の御側御用取次を評定所に出席させ
て処理させ、最終的に当地の大名金森氏のみならず、老中、若年寄、大目付、勘定奉行まで処罰される
大事件となった。
その際、将軍直々の意向を受けて事件の裁定を処理して、その後の大きな出世につなげたのが…
____,....
,. ‐';ニ"´ニイ:i!:、ヽ:.:`ヽ、_
/.:///:.イ:.|:|:|i:.:ヽ:.、ヽ:、ヽ、
:.:/:/./://:|:.:|:!:|:|i:.:.:゙,:.:.:.リ:.ヽ\
./:.:/:/:.:.//ハ:.:i:.:l:.:.i:.:.:i:.ヽ`:|:!:.:ヽヽ
:.:/.:/:.:./:.l!::.:.ハ:.V:.;、:i:.:.|:.:.ヽ|:.i:.i:.:.',:.゙:,
/l!:/.:.:/|!.|:.:./ハ:',:|:ヽ:、|!:.:.:.ハ:.||:.',:.i:、:',
!|l,:!:.:.:.:|.| |レ/∧:l:メ!:.ヽ:.:|:.|/:.i:.リ:、',:|:.i:.i
:|l.|:.:.:.:|!.:|:.//¬i:.{‐、.:|.ト、:l:|、:.!:.:.i:ヽ|:.|:| この僕だ
i:.:| |:.:.|l:.:.l/ィ示ヽミ !.メ| 〉ヽ!:|_!:.|:i.:N:.|
:.:.l!:l、.:.:l、:l`ヽ::ノ_, ' リ |i |.,.ィl、.|::!||:.メ:リ
、:.l!.N、:い!. !く:::ソ } |:.:|/:/
!:i、.i!リ ヽ! , `~ /|:ノ:/
:.i|:iN ` .: ノ /:!レ/′
:、l:|ハ 、____ /::i/'′
小| ヽ `''ー‐`'' /|/l
:.:トヽ \ / r‐-、r‐-、r‐-、r‐-、
N|`ヽ ヽ、 , '´ ┌───────┤ || || ||_..._|‐───────┐
``'''‐- ..,_ iT"´ | 幕閣────‐ |_...._|| ||_...._|ヽ_,ノ. ─────── |
、_ ``''‐N、 | DEATH NOTE .ヽ_,.ノ|.-‐.|ヽ_,ノ |
`ヽ、 i | ─────────. `ー' ー‐─────────‐ |
、 `ヽ、 | | : |
、`ヽ、 \ | | ──────────‐ :. ──────────‐ |
\ \ ヽ.|ヽ | : |
ヽ ヽ | \ | ──────────‐ :. ──────────‐ |
田沼意次
(夜神月/DEATH NOTE)
608 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:30:15 FIflD/W60
目安箱の意義とは、こうした幕閣、諸役人に不利な物も含む様々な情報を、自身のみでは江戸城外の
情報からほぼ隔絶された将軍が、直結の情報源で把握することにより、将軍の権力を確かなものと
するためでもあった。
またこうした直目安の受付先を将軍へ限定することにより、民衆に対してもトップとしての権威を確かにする
意図もあったとされる。
そして吉宗は、取り上げた訴状の内容に基づいて、それぞれの担当の奉行に指示を与えて対応させた。
/ ̄ ̄\
| と |
/ ̄ ̄ ̄ ̄\ | ま. |
| い 恐 | / ̄ ̄ ̄ あ. |
| っ れ | | 感 こ _/
| た. | | じ ん |
| か. | | だ な |
| ?. | \____/
\____/
,、rへヘへr-、、
,.ィク´ ̄ ̄ 二二ヾゝ
. //// へ \\
//// / / / ヽ へ\ ヽ ヘ
i/// / / / ∧ヽ\ \i_ ヘ!
! l丁≧トハ! ヽ|,斗<\ リ
∨|! 三三` "´三三 リハj !
| i!  ̄ ̄ ,  ̄ ̄ | |
| ii、 ,;| |__
/| iヽ △ ,イ;i l;;;;;;ヽ
∨:| |;;;\ イ;;;;;;;| ;!;;;;;;/
_ゝ! !/;;;ト、.ー_.´,.イ\;| :リ;;;;/
/;;;;;;;iハ :リー〈;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;!ー;;|:/;;;;;;`ヽ
/;;;;;;;;;i!;;;〉;;;;;;;;;;;;;;;;{;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i';;;;;;;;;;;;;;;',
. /;;;;;;;;;;;;∨;;;;;;;;;;;;;;;/∨;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;/;;;;;;;;;; i
i;;;;;;;;;;;;; /;;;;;;;;;;;;;;;〈 〉;;;;;;;;;;;;;;;;;j/;;;;;;;;;;;;;;;}
j;;;;;;;イ二ヽ;;;;;;;;;;;;;∧/;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;/;;;;;;;;;;'
,;;;;;;;;;ヾニニヽ;;;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;//;;;;;;;;;;;;i
,;;;;;;;;/ヾニニヽ、_{_____∠ム;;;;;;;;;;;;;;!
. /;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;}};;;;;;;;;;;;!
{;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;ソ`ヽ;;;;;;
609 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:31:05 FIflD/W60
また吉宗は、目安箱への投書の内容の調査もふくむ、将軍直属の秘密情報収集役も設置した。
,. ´  ̄  ̄ ` 、
__ / \
,. イ´7V , ヽ
/ / /V / , ´ / ! ヽ
/_/ /V ,.ァ -ォ 、 / / / i ',
く ´ jiV / / ∠7 /〉./ / l l l i !
\ _ ノV. /ム イ /レ' / /ヽ. i ! l i l ではみなさん、上様からの指示です
\ノハl /⌒ヾ. / / / !ト、./ / . l ! |
/ !il| i| レムイ / /〉 / i ! | 調査をお願いします
i 从! il| ´⌒ヾレ' / /i / ハ ノ
. l ハ il ハil ゝ.,__ i}彡イ ハ/i/ イ
レ' リ从 |iリヽ. _ __ _ __// i イ | レ'
!/介i!\ | レハノ リ,ィ'il !/ リ /
ノi 从| ヽ |ヽレ' iリイレ' i/
. r‐‐ vへ´. {、 ヾヽ j トく⌒ヽil/レ'
Y /l \ \ ヽ`il | ハ ヽ
く / ハ ィヽ `ヽ \ ヽ .| i i
610 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:31:35 FIflD/W60
それが、紀州から連れてきた薬込役を中心とした17人の『御庭番』であった。
これも後日『御庭番編(仮)』で解説する。
, -- 、
マ 、,__、 f' Y
ヽ`ミ i!_ レ' ̄ ̄ヽ|
\ {__ __6! ^ ..^ ノ!
Yス ̄  ̄ ̄`iヌ竺/ |_, -ォ、_
Yス ̄ ̄ ,_ノ;1 ,.ィ( !( }
. Yス、 r'  ̄`ヽ .′ ! iv‐- 'YYYヽ> ´
. Y⌒Y 厂 `ヽ } / i | 〈 tm'´ ̄ ̄ /
l 八 (^..^ ノ 9 ! / /ミYノ _ノ !
, ‐‐ 、 l  ̄`ー‐- 、 竺二ノ 〈 f'r'´ ミ/ !` 、 ノ
! 厂 ̄{m、ヽ _ `ー─=ニ、 `ー 、 ( ィ〈_ i _ | ,′
6〈 ^..^ノ l!__ ‐- _ ` 、  ̄ ! ノ ! | /
. トミ竺) / ̄ ̄ ヽ ! | ノ ト_ノ_ { /
ノ '´ ミ彡 ̄ ̄. ヨ}` j j! ノ ̄二ニニ=──-{
ム/ / ,く、 ! /ミ /|':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::7
|' 〈 ヽ `! /ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
レ、 〈 ヽ 〈:::::::::::::::::::;;;;;::''''::::::::::::::::::|
' , ヽ ..>.....::::::┐ ヽ:::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::j
ヽ _', _ >.: - 、::::::::::ト――=ニニ::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::/
', /:::::::Y:::::::,' ヽ> 、ニン⌒ヽ 〕',:::::::::::::::> -‐t て(二ー←っ,
}´::::::::::::/:::::::::{__ 7/ヘ_)_ -<::::ヽ:::>'´ ( ( <ゝ..、  ̄ ̄ ̄
|::::::::::::::!::::::::::::〉 __ __〉 /9 /::::::::::::::::::::::ノ:::', ヽ/:::::::::::::\
|::::::::::::::!::, - ' ー、_/ ´ |:!::::::::::,,,,;;;;;;/:/|::., - 〈::::::(:::::::::ー、一
|:::::::::::>  ̄ ! j::!:::::::::::::/:::\/ Y:! ヽー:::::::::: - 、
}:::::/ , 、 、 ノ ̄ !:!::::::::::r'::::::::::::\ |〈 ', f'´ ノ ̄ヽ
/Y/ , <:´ Y / ! {:!__:::! \:::::::::::::\ヽ. ∨ ! { ^ 〉
/:::/ /::::::ヽ ノ ト 个/:::::::::(`ー 、>、::::::::::\; ∨| 6、 ヽ _,_ケ
/:::::::/⌒ヽ/::>'´! /:::::::::──'.:::::::::::::|_:::ノ \:::::::::::.;. Y! ー_ノ:\
/_n_:/Yス/:::ノ::::::::| ':::::::::::::,,::::::::::::::::/:::::::j─< \::::::::; ! ー-、:::::::::〉
611 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:33:12 FIflD/W60
このように広く意見や情報提供を求めて目安箱を設置した吉宗であった。
その際は幕臣の投書も制限せず、有馬氏倫も室鳩巣へこのように語ったという。
/ / ヽ ヽハ
/ /i ヽ. i彡i
. ,' / Z ,イ / ! ハ‐、‐- 、 |彡|
i / / i i i i/ .| i l 、、 `ヽ |彡|
i / /.i il i i.ilハ | l i ヽヽヽ.i. ハ. i~' 私でも箱に意見書を入れてもいいのですよ
レ' i / ! lハリ__i_ヽi V,.===く | l |
| / i iv'´ ̄ ` | i ト、
リ! Kノ | l | ヽ
| il、 ___ ! i il |
__ .| li ヽ、 「 ! ィ ! ll |
ヽ ヽ | ハ ハ> _i、 .ノ .イ i! ハ リノー‐
ヽ ヽ レハj レ' ヾ i__ ! ̄ ir レハ/ ! /
ヽ ヽ ! ,.-'´ |i .ノ / 〉ヘ レ
r' } ___,.イ .|i ! //. ヽ
_ノ´ ̄`ヽY´ ノi .|l l // 〉、
.ノ./ .| .|l レ'/ / ヽ
612 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:35:18 FIflD/W60
だがやがて旗本・御家人が投書すると罰せられるようになり、享保10年には明確に
このように申し渡された。
/////////////// l//////// l// ヘ ///////l//ヘ////
////////////l/// li/////// l// //////////l////
/ィ//////////,_l/ li l///// l/l /イ j//////l//// 「この箱は百姓町人のために出すのであって、
∥,'/////////l li -- ^∨//,^ --- ''´ ///////l//// 旗本らが投書するのは心得違いである。
l/ l///l////从 ====== ∨l ========= /イ//////l//// もし進言したい時は上使に申し出よ。
li l/li/ム////l /:::::::/ ヾ{ /:::::::::::/ /////// ∧/// 万一上司に申し出にくいときは目付にでも
l/l :l/lヽ///l, ゞ_ノ ゞz_.ノ //////////\// 申し出るように」
lム マ{ >//l ' - =彡//////////ト=-/
ヾ ヾ///ヾミ /////////ハ//∧//
///, , 彡イ///////////////
////ゝ _ _ ////////イ///////
//l///\  ̄ ヽ ////////////////
///////≧ _ _ //// /;;;;//////////
//イ/////////{//l_,,. -‐''/////;;;;;;;;;;;;;/////////
//l/////l////l/- 二二 二二 <;;;;;;l/////////
l/////l/l:::::/ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ \;;l////////
l////l l/l:::l /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ \///////
吉宗は幕臣の献言を抑える気はなく享保4年などには、役人一同に政治改革についての
献言を求めている。
ただ現実問題として、上司の意にそわない献言や告発は遮られることになり、あえて行う
には職を賭すレベルのリスクとなって、実質的にほぼ封じられた状態になってしまった。
613 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:36:08 FIflD/W60
これは自由な意見の上申よりも、幕府の組織や手続きの序列を守ることを重視した
ためであった。
庶民に対しても、訴訟や直目安の受け入れ口を整備した半面、非合法とする訴えは
排除するなど、あくまで現代の民主制とは原理が違う、将軍を頂点とした幕藩体制
維持のための制度整備であった。
/´  ̄ `ヽ
レ'´ ̄ `ヽ}
. -─┴<  ̄ `マ≦へ
/ \ ヽ、ハ\
. ' i ヽ ∨V∧
/ { } } !∨∧
/ ∧ 、 / !い 从 ∨ハ
.イ / ∧`X. \ X }ィ 升 ト.ハ/⌒ |Yメ
⌒人 ィ iY´.Ⅳハ \j\j { {rJ} 〉! }リ
∨{ 从{ |rJリ `≠' l! |i
} \x.`≠' ' """ l| !i\
| }""" l| 从: ::\
| 八 ⌒ リ / ハ: ::.:::>
| / /\ . イ / j|: :レイ
从 ' {> . _ <{ .リ / |: :|
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614 : 1 ◆jSbj2zyy3Q :2016/06/19(日) 21:37:09 FIflD/W60
だが民衆はこれで満足はせず、むしろ百姓一揆などの非合法とされる闘争が強化されていく。
そして「百姓一揆の作法」というべきものまで確立していくこととなる。
この事は後日『百姓一揆編(仮)』で解説する。
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,イ: : ,: : : : : : : : : \ こんなのじゃあ、まだ満足できねえ!!
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満足タウン 町長
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│ | , | ト、_ ,ヽi> な…なんで…
ヽ_メ ー┼‐ヘ´ \ヽ  ̄/ |、
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