
78点
製作が発表された頃からこの大規模な撮影や、近年の東映から感じる往年の勢いを取り戻そうとする姿勢、そして春日太一氏の熱烈なプッシュもあり、期待値が高かった本作。実際に見てみたら、気になる点は多々あれど、応援したくなる映画なのは間違いなかった。
1461年の京。大飢饉と疫病が同時にこの国を襲った。民は飢え、日に日に死体が積み重なっていく。しかし、お上は有効な手立てを打とうともせず、のうのうとふんぞり返っていた。蓮田兵衛は己の才覚と腕で生きている浪人。彼は悪友である骨皮道賢の依頼で一揆の機運が高待っている場所へ赴き平定をする依頼を受けていたが、その裏では人を集め、着々と大規模な一騎の準備を進めていた。彼は旅の途中、才蔵という少年と出会う。武術の才がありながら身を堕としていた彼を蓮田は鍛え上げ、一人前に育て上げる。才蔵をはじめとし、蓮田の周りに集まった人々の力と怒りが、一揆として爆発しようとしていた・・・。
全盛期の東映には、千葉真一とかが出ている、荒唐無稽だけど面白い時代劇があった。本作は間違いなくその系譜に連なる映画。室町時代を舞台にしてはいるが、世界観は「北斗の拳」である。また、隠す気が一切ないレオーネのオマージュや、功夫映画のような特訓シーンもある。春日太一氏は、時代劇というのはエンタメであり、基本的に何でもできるのが強みだと言っていたけど、本作はそれを大真面目にやっている。だからこの点で非常に応援してくなる。
また、アクション面でも見応えがある。大泉洋がきちんと見応えのある殺陣を披露しているし、堤真一と何よりアクションの才がありながらそれが全く活かせていない武田梨奈がちゃんとアクションをやっているのがまた素晴らしい。最後には一騎打ちもあり、それが『椿三十郎』みたいなのがまたいいね。そして何より、才蔵を演じる長尾謙壮である。六尺棒の使い手として成長する過程をきちんと演じ切り、何より、終盤の長回しの大アクションは圧巻。これだけで本作を見てよかったと思った。
また、時代設定こそは室町時代であり、一応は史実ベースなのだが、現代社会に対する批評みたいな側面はある。それはもちろん、国民の生活が苦しくなっているのに、裏金で私腹を肥やしたりいらん万博に金をつぎ込んだりして、増税ばかりしているこの社会である。本作はこれらに対する庶民の怒りの発露として一揆を描いている。一揆のシーンは近年まれに見る大掛かりな撮影が行われていて、この大群衆のスケールは映画のスペクタクルだと思った。また、この一揆の準備の下りは少しだけケイパーもののような趣がある。
正直、テンポが全体的にかったるいとか、柄本明の演技が酷すぎではとか思うところがないではないのだけど、時代劇というジャンルをベースにして、いろんなジャンルを盛り込んだ欲張りセットみたいな映画であり、このような映画をもっと作ってほしいと思っているので、応援したいと思う。