
80点
『ロード・オブ・ザ・リング』は映画しか見ていない弱者な私が本作を見ようと思ったのはひとえに監督が神山健治だから。ここ最近は不調気味だったけど、本作は久々の快作だと思った。
騎士の国ローハンはへレム王の統治により平和な時を過ごしていた。エドラスでの評議会の日、小さな諍いからへレム王は西境のフレカを撲殺してしまう。その息子・ウルフはヘラへの求婚が断られたこともあり逆上し、へレム王の一族に強い恨みを持つようになる。年月が経ったある日、ウルフ率いる一派が暴動を起こす。へレム王は軍を率いてこれを向かいうとうとするが、策略にはまってしまい、エドラスは陥落。息子たちはみんな死に、自身も重傷を負い、砦に籠城することとなる。今、ローハンの民の運命はへレム王の娘、ヘラに託された・・・。
脚本にツッコミどころは多い。そもそもの発端がアホっぽい(一応原作通りらしい)、全ての原因が王にある上、味方を危険に晒すことしかしてないなど。しかし、中盤までのへレム王一族が追い詰められ、エドラスが陥落し籠城を強いられるまでの流れが容赦がなく、定期的にストーリーに動きがあるので見ていて飽きない。また、盾の乙女の回収の仕方などもかなり上がるし、ラストのベタな展開にもこれまでの絶望が効いているから妙に気持ちが高揚する。つまりはかなりちゃんと王道のエンタメをしている。2時間超あるが、全く長く感じなかった。
面白かったのは、本作において、へレム王に代表される通り、脳筋に政治を任せるとろくなことにならない、というように描かれている点。へレム王が失敗するのはだいたい自身の力を過信したときである。こんな奴のせいで民が皆難民になっていて、やはり王政はよくないなと思った(でもラオウみたいな感じで死んでたのには笑った)。
また、本作はアニメーション的にもかなりの労作だと思うし、神山健治が追求してきたものが表現できているのでは・・・と思う。押井守いわく、神山健治はポール・グリーングラスに憧れ、アニメーションで即興を表現するためにモーションキャプチャを採用している(採用し始めてから作品が面白くなくなったような気がするが・・・)のだけど、本作はかなり工程を踏んで作成をしており、結果、動きはモーションキャプチャを取り入れたと思われるが、2Dっぽい動きも取り入れられているというものになっている。また、美術も圧倒的で、最初実写かと思った。ある意味、神山健治完成形かもしれない。もっと見られてもいいと思う。