
80点
白石和彌監督作品。私は白石監督の作品は基本的には追っていこうと思っているので、鑑賞しました。11月に観たのに感想を書くのがこんなに遅くなってしまいました。これもひとえに私の怠慢が原因です。なので、感想はあっさり目になります。
本作は最近世界で流行り、日本のお家芸である「家族」の物語です。現在の潮流は『万引き家族』のように血縁で繋がってない人々が疑似的な繋がりを以て家族になるという物語です。しかし、本作は逆を行きます。家族が本来持っている、「血縁」で繋がっているが故に陥ってしまう苦しみを描くのです。
本作に出てくる家族は、皆が「ひとよ」に囚われています。その1つとして出ているのが父親からのDVの被害で、長男の大樹は吃音から来る屈折した感情から父親と同じように暴力を振るい(ここで奥さんが理解しようとしているのが辛い)、長女の園子は父親のようなDV男とばかり付き合っている模様。そして次男の雄二は、一番遠く離れていて、最も客観的に見ているようなふりをしつつも、一番囚われている人物です。この幼年期のトラウマが大人になっても影響しているという点は、同年公開された『IT』と共通のテーマです。
また、この家族の関係性が凝縮されているのが食卓のシーンで、これが本当に素晴らしい。家族が集まって最初に食事をするシーンでのあのバラバラっぷりとか、次々に家族がいなくなっていく食卓とか、あの場所だけで関係性の移り変わりを描いています。
関係性が崩壊しても、赤の他人ならば、縁は切れるかもしれない。けど、家族ならば崩壊してもまた集まってしまう。血が繋がっているから。そんな中でも家族はやり取りを重ね、ラストで、子どものときに捕まえられなかった母親を兄妹全員で捕まえに行く。対照的に描かれている佐々木蔵之介演じる男が、「血」で繋がっているが故に息子を悪の道には知らせてしまった描写がある分、「繋がり」をギリギリで保ったあの家族には、一筋の救いがあるように思えました。
本作では、本質的には問題は何も解決していません。寧ろこれからです。しかし、崩壊していた家族が母親という劇薬でもう一度再生への足掛かりを得たともいえる作品で、少しだけ希望が見えました。
白石監督作。こちらも素晴らしかったです。
白石監督のアウトロー映画。