情シスセキュリティ担当の城咲子です。
今日もアラートの鳴らない夜を祈りつつ、キーボードを叩いています。最近、経営層から「ランサムウェアに遭ったらどうなる?」と聞かれるたび、私は「防ぐのは当然として、数分で元に戻す『ルール』を作っています」と答えるようにしています。2026年の今、防御だけに頼るのは、穴の空いたバケツで水を汲むようなものですから。
今回は、私が現場で夜な夜な比較検討している「国内ベンダーの質実剛健なソリューション」と「クラウドネイティブな即時復旧」について、ボヤき混じりに整理しておきます。
1. 国内大手ベンダーの「即時復旧」陣容
日本の「止めることが許されない」現場において、国内ベンダーのパッケージは依然として強力です。彼らは海外の最先端バックアップソフトを、自社の堅牢なストレージ技術と統合させています。
| ベンダー名 | 主要ソリューション | 即時復旧の核心 |
|---|---|---|
| 富士通 | ETERNUS × Veeam | ボリューム単位で最大1023世代のスナップショットを取得。感染しても数クリックで即時復旧が可能。 |
| 日立ソリューションズ | データ回復ソリューション | 独自監視で感染を早期検知。安全な隔離領域からデータを書き戻すプロセスを一貫支援。 |
| 三菱電機 (MIND) | ランサムウェア対応バックアップ | 感染ファイルの特定から復元までをMINDの技術者が代行。人的リソース不足を補う「最後の砦」。 |
| 富士ソフト | Riviiv (リバイブ) | Rubrikベースのマネージドサービス。テラバイト級データも数分でマウント可能な「即時リストア」が武器。 |
2. クラウドネイティブへの置き換え
オンプレミスの物理制約から解放されたクラウド(AWS/GCP/OCI)では、「即時復旧」の概念がさらに進化しています。
AWS: Elastic Disaster Recovery (DRS)
- 数秒単位のRPOを実現し、低コストなステージングエリアから即座にインスタンスを起動。
- AWS Elastic Disaster Recovery (AWS DRS)|AWS
- 物理ストレージの「Snapshot」をクラウドの「自動プロビジョニング」に変換した形。国内ベンダーのような専門の技術代行がなくても、スクリプトで自動化できるのが強みです。
Google Cloud: Backup and DR Service
- バックアップデータを移動させずに直接マウントする「インスタント・マウント」を搭載。
- Google Cloud Backup and DR の概要|Google Cloud
- 物理環境や仮想環境で Rubrik が先駆けた「バックアップデータを移動させずに直接マウントする」という思想を、Googleがクラウドネイティブなインフラ上で最適化した構成と言えます。
Oracle Cloud (OCI): Full Stack Disaster Recovery
- 【ファクト】 インフラからアプリまで、スタック全体をワンクリックで切り替える。
- Full Stack Disaster Recovery|Oracle Cloud Infrastructure
- DB層の不変性(WORM)に関しては、Oracleの「Recovery Appliance」が国内金融機関の求める基準に最も近いと感じます。
3. 現場が陥る「即時復旧」の罠
専門家として、導入時に皆さんが見落としがちなポイントを指摘させてください。
「復旧速度」だけを見るのは素人
どれだけ「数分で戻る」と謳っていても、感染したウイルス(実行ファイル)まで一緒に戻してしまったら、5分後にはまた画面が真っ暗になります。
2026年の現場で勝敗を分けるのは、リストア中にウイルススキャンを自動実行する「セキュアリストア機能」です。この自動化が不十分な製品は、有事の際に使い物にならないと推測されます。
クラウドの最大の敵は「管理者権限」
国内ベンダーのNAS(SynologyやQNAP)なら、物理的に線を抜けば守れますが、クラウドはそうはいきません。
【専門家のアドバイス】 「不変ストレージ(S3 Object Lock等)」を使っても、ルート権限を奪われたら終わりです。バックアップ専用の「隔離アカウント」を作成し、そこへのアクセスには物理MFAを必須化するという、アナログなルールこそが最強の壁になります。
4. まとめ
結局のところ、ツールが国内ベンダーであれクラウドであれ、「壊されることを前提とした仕組み」へのマインドセットの切り替えが重要です。私は今日も、誰かがうっかり開いたメール一通で、この城壁が試されるのではないかとそわそわしながら、バックアップログを確認しています。
さて、明日の設定変更(IAM)のレビューに備えて、今日はこのへんで。