「荒川さん、ツーリング用のインカムは持ってないんですか?」
「持ってないよ」
「ダメじゃないですか!」
「ど、どうしたんだいカオルくん、急に。何度も一緒にツーリングをしているけど、不便を感じた事はないと思うんだけど」
(奥様のCC110と荒川さんのCB750)
「私の時はいいとして、奥様とのツーリング時に困るじゃないですか!」
「妻と一緒の時に困ることも特段…むしろバイクに乗っている時くらい一人で自由に…だいたい妻が勝手に付いてくるんだから」
「荒川さん、そこまでです!ここ日本愛妻家協会の聖地である群馬県嬬恋村の『愛妻の鐘』を前にして、よくそんな世迷言を口に出来ますね!」
「日本愛妻家協会なんてものがあるんだねぇ…」
カラーンカラーン
「どうです?この音色」
「あぁ…うん、いい音だね…うん」
「なんでも日本愛妻家協会は、愛妻家テミルの原則というもの提唱していてですね
①やってみる(妻が喜ぶ家事ひとつ)
②出してみる(気づいた時の感謝の言葉)
③聞いてみる(世間話と今日の出来事)
④捨ててみる(見得、照れ、建前、世間体)
⑤なってみる(恋した頃の触れ合う気持ち)
さあ、一緒に復唱しましょう。やってみる!妻が喜ぶ家事を…」
「だ、大丈夫…大丈夫だから」
「帰ったら、ちゃんとインカム買ってくださいね。ソロの時は音楽だって聴けるし」
「カヲルくんはインカムを持っているのかい?」
「もちろん持ってませんよ。なに言ってるんですか。ヤダ〜」
「僕が間違ってるのかな…」
「私はバイクに乗っている時は、もっぱら音楽が脳内で再生されている派ですから」
「お、奇遇だねぇ。僕もだよ。今日はどんな曲が流れていたんだい?」
「出掛けにいなば『CIAOちゅ~る』のCMを見たので、それがずっと流れてます」
「珍しいケースだねぇ」
「でもカヲルくんは大量のCDを所有しているだろう?」
「ええ。5000枚くらいから数えてないです」
「たくさん音楽を聴いているんだから、なにもちゅーるが流れなくても良さそうなもんだけどねぇ」
「その時その時に、心の琴線へ触れた曲が流れるんでしょうね」
「琴線ね…今のシチュエーションで流れそうな曲はあるかい?」
「そうですねぇ…やぱりバイクでワイルドに走っている最中なので、ここはAC/DC…」
「ああ、AC/DCは知っているよ」
「いえ」
「AC/DCっぽいAirboneの『Runinn' Wild』ですね!」
「知らないバンドだなぁ…しかしカオルくんは、なんだかすぐに上半身裸になるボーカルが好きだよね」
「それから、奥様のもとへと帰る荒川さんの心の中の逆風を表した曲となると…」
「勝手に吹かさないでくれる。逆風」
「Supersuckersの『Rock-n-Roll Records』ですね!」
「逆風はこんなもんじゃないから」
「あと、荒川さんにはいつまでもカッコイイおっさんで居て貰いたいので…」
「おっさん扱いはひどいね」
「白塗りのおっさん達が中学生みたいなバンド名で好きな音を鳴らしているHELLの『On Earth As It Is In Hell』です!こんな大人になりた〜い!」
「羨ましいような羨ましくないような…」
「いかがでした?」
「いかがでしたかって、その…ああ、僕のことより、カヲルくんはどうなんだい?ツーリング中、よく頭の中で流れる曲といえば」
「そうですねぇ…やっぱり定番といえば…」
「爆転シュートベイブレードの『Fighting Spirits』ですね‼ WOW WOW WOW WOW YEAH YEAH!」