ずいぶん長いタイトルになりましたが、フィルムAPS一眼レフカメラのミノルタベクティスの交換レンズを、最新のミラーレス一眼のソニーαで使ってみたというレポートです。用意したレンズは、ミノルタVレンズ22~80㎜F4-5.6、Vマクロレンズ50㎜F3.5、Vアポレンズ80~240㎜F4.5-5.6、Vレフレックスレンズ400㎜F8の4本ですが、ミノルタの流れを汲むソニーαで使ってみるといっても、基本的にフィルムとデジタルでは画面サイズがまったく異なるのです。24×36㎜の35㎜判フルサイズに対し、APSでは24㎜幅のフィルムに対し、1画面1パーフォレーションで、画面をAPS-C(クラシック):25.1×16.7㎜で約1.5倍、APS-H(High Definition)は30.2×16.7㎜で約1.3倍、APS-P(パノラマ):30.2×9.5㎜という使い分けをしていました。このサイズをデジタルの時代にも流用したので、細かくはメーカーによって異なりますが、撮像板のサイズにAPS-CやAPS-Hが使われているのです。

《ミノルタベクティスS-1とソニーαRⅣに、ベクティスVレンズを装着してみました》
ミノルタからベクティスS-1が発売されたのは1996年。APSで一眼レフを発売したのは、ミノルタ以外にキヤノンとニコンがありますが、両社ともマウントは従来のキヤノンEF、ニコンFマウントだったのです。つまりミノルタだけが新画面サイズに合わせて、まったく新規の完全電子式の交換レンズを用意したのです。そのマウントは、ミノルタαマウントがレンズ駆動にAFカプラー方式を採用していたのに対し、ベクティスマウントは完全電子マウントを採用していたのです。ご存じのようにカメラがミラーレス機時代になるにしたがって、各社ともすべて完全電子マウント方式となり、現在に至っているのはご存じのとおりです。なお、1999年に発売された「Dimage RD3000」にも同じVマウントレンズが採用されていました。
●モンスターアダプター
ベクティス交換レンズをソニーα7シリーズに使うアダプターは、たまたま交換レンズをレンズを数本入手していたことから、あるといいなと思っていて、KIPONの社長さんに10年以上前に話してみたら、数が少ないのは作るのは難しいですよ!と笑われてしまいました。そのあたりは、十分承知のうえだったのですが、やはりそうかということで、あきらめていましたが、しかしそこが中国パワーのすごいところで、5年ほど前に6万円弱で発売になったのです。写真仲間で新しい物好きな人は即買ったようですが、私としては高価なためあきらめていました。ところが、そのベクティス用「モンスターアダプター」がいつの間にか35,000円ぐらいに値下がったのです。これは、買いだといういうことで焦点工房から購入してみました。
調べてみるとMonsterAdapter(モンスターアダプター)は、2020年に設立された「深セン魔環光電テクノロジー」社のマウントアダプターブランドで、今回のアダプターは単なる値下げでなく、LA-FE2からLA-VE2へと新しくなったモデルのようですが、旧モデルを手にしたことがないのでそれ以上はわかりません。
そのような経緯で焦点工房から購入したのですが、マウントアダプターとはいっても工業製品ですから、量産効果で安くなったのか? それとも売れないから安くしたのかなと邪推しながら使ってみましたので、その使用感を報告をしましょう。

《モンスターアダプターとベクティスレンズマウント部》ベクティスVマウント登場は1996年ですが、V400㎜F8レンズのマウント部が金属であることを除き、ボディ、レンズ側マウントがすべて樹脂製というのが先進的です。もちろんボディ側もです。アダプターにレンズを付けた状態では、嵌合はぎゅっとしまり、ガタもなく良い感じです。

《ミノルタSRマウントとベクティスマウントのフランジバック》
ベクティスマウントのフランジバックは画面サイズで35㎜ライカ判(24×36㎜)と比較するとフィルムカメラAPS(IX240)はかなり短く、それだけボディの厚みは短く作れるはずですが、そもそもフィルムとデジタルを比較するのも難しいですが、ソニーEマウント用にミノルタSR、ベクティスのマウントアダプターを比べると、約7㎜の違いがあります。これは、ミノルタSRマウントのフランジバックが43.71㎜でベクティスS1のフランジバックが36㎜という違いから6.69㎜が長さに違いがでるのです。なお私の場合は、SRマウント用には専用でなく、SRマウント⇒ライカMマウント⇒ソニーEマウント用と2段重ねにしてます。これは専用を買えばベストなのですが、私はライカMマウントを介して複数社のミラーレス機に対応させているからす。

35㎜フルサイズのマウントアダプターと比べると短く、ハンドリングも良好です。
●いつものようにあちらこちらで撮影してみました
やはりここは定番の英国大使館で行きましょう。ふだんはフルサイズ画面で焦点距離35㎜で撮影していますが、同じ画角を得るには、23㎜となりますのでVレンズ22~80㎜F4-5.6で、22㎜の最広角ズームポジションで撮影しました。
■Vレンズ22~80㎜F4-5.6

このVレンズの中では標準ズームといえるもので、商品名としては22~80㎜F4-5.6となっていますが、撮影後のExifにでている焦点距離を表記します。つまりこのレンズで22㎜は21㎜とExif表記されています。以下、同様に記していきます。

《いつもの英国大使館正門前》α7RⅣ、Vレンズ22~80㎜F4-5.6、晴天のいつもの時間に同じ場所から、焦点距離21㎜(31㎜相当画角)、S-AF。F5.6・1/800秒、ISOAuto 125、手持ち撮影。画質的にはほとんど問題なく、ピントはスポットAFで屋根直下のエンブレムに合わせました。露出補正はしてませんが、わずかに明るいためかフレアっぽさを感じました。なお、拡大していくと向かって左の建物わきの避雷針にわずかにフリンジの発生を確認できましたが、一般的な使用では問題ないでしょう。AFはやや緩慢な動きですが、30年前、α-7000時代の交換レンズとしては立派なものです。

《夜の新宿ゴジラ通り》α7RⅣ、Vレンズ22~80㎜F4-5.6、こちらの夜景もいつもの場所です。焦点距離21㎜(31㎜相当画角)、S-AF。F5・1/60秒、ISOAuto 800、手持ち撮影。本シリーズの他機種でも同じ場所を撮影していますから、気になる方はご覧いただければおわかりだと思いますが、手前の左右街灯の光の部分に光芒を感じさせます。やはりこれは光学系からくるフレアが発生していると考えてよいのでしょう。またはレンズ設計というよりコーティングの問題かもしれません。
■Vアポレンズ80~240㎜F4.5-5.6
いわゆる望遠の3倍ズームです。その名の通り色消しのAPOレンズが使われているのでしょう。

《オオジュリン?》α9Ⅲ、Vアポレンズ80~240㎜F4.5-5.6、焦点距離241㎜(361㎜相当画角)、C-AF。F5.6・1/1000秒、ISOAuto 250、手持ち撮影。すぐ後ろに葦が生えているところがあり、暖かさに誘われて、チョコチョコと動き回りでてきたのをキャッチ。

《冬の菖蒲畑Ⅰ》α9Ⅲ、Vレンズ80~240㎜F4.5-5.6、焦点距離135㎜(229㎜相当画角)、S-AF。F8・1/250秒、ISOAuto 250、手持ち撮影。6月ごろの季節になると水を貯める花菖蒲畑。冬季は水を抜き、養生させているようです。点在するのが花菖蒲の切り株で、その周辺は水生植物ですが、もふもふと柔らかな毛のように見えます。

《冬の菖蒲畑Ⅱ》α9Ⅲ、Vレンズ80~240㎜F4.5-5.6、焦点距離80㎜(200㎜相当画角)、C-AF、H連写。F10・1/800秒、ISOAuto 250、手持ち撮影。
■Vマクロレンズ50㎜F3.5

ミノルタα用の50㎜と100㎜のマクロレンズはもともと写りの良さで定評ありましたが、ベクティス用のVマクロも素晴らしい描写を示してくれるだろうとの期待を込めて撮影しました。

《自然のカラーチャート》α9Ⅲ、Vマクロレンズ50㎜F3.5、焦点距離51㎜(76㎜相当画角)、S-AF。F8・1/500秒、ISOAuto 250、手持ち撮影。記憶色として誰でもがイメージできる色を見るための自然のカラーチャートです。1/2倍マクロレンズですが、76㎜相当の画角で近寄れることになります。ホワイトバランスはオートですが、夕方の西日にあてての撮影でしたので、少し赤みを帯びたように見えます。

《モデル、LUNA》α9Ⅲ、Vマクロレンズ50㎜F3.5、焦点距離51㎜(76㎜相当画角)、C-AF。F8・1/80秒、ISOAuto 2000、マクロだということで、そのままモデルさんを撮影しました。C-AFで、モデルさんに適当に動いてもらい追いかけましたが、瞳認識もばっちりでした。
《Vレフレックスレンズ400㎜F8》

400㎜のミラーレンズ、APS-Cだから600㎜相当画角になるのです。その昔、フィルムカメラ時代にシグマ600㎜、トキナー500㎜のミラーレンズを使ったことありますが、ファインダーをのぞいただけで、手振れがすごくて使いこなせませんでしたが、最新のデジタルカメラボディだと手持ち撮影が可能となるので気楽に、手持ち撮影が楽しめました。なお、このレンズだけはAFがうまく作動しませんでしたので、その多くはマニュアルフォーカスとなりました。AFは、ときどき上手くいくのですが、なぜかジージーとフォーカス動作を繰り返すのです。ミラーレンズのAFはミノルタαの時代にあり、ソニーのαシリーズ機にも引き継がれましたが、いつの間にか消えてしまいました。AFは一眼レフ時代の位相差検出方式と、ミラーレス時代の撮像面を用いたコントラスト検出/位相差検出方式と何か違いがあるのでしょうか、このあたりはユーザーにとってはブラックボックスでありますが、ソニーもその後ミラーレス機のAFミラーレンズのは、販売がなされていませんので、そのあたりに鍵がありそうです。
モンスターアダプターと400㎜F8の不整合について:去る3月1日までパシフィコ横浜で開かれた、CP+2026の焦点工房ブースにて、その開発者が日本に来ていて、その不具合を指摘すると、うまくミラーレンズが作動しない時は、MF・AFボタンを2回押せばリセットされ、AFはうまく使えるということでした。改めて我が家の個体を試したらそうでした。もし同じようなことを感じている方がいればと追記しました。2026/03/02

《遠景の描写》α9Ⅲ、レフレックスレンズ400㎜F8、焦点距離405㎜(607㎜相当画角)、MF。F8・1/1600秒、ISOAuto 250、手持ち撮影。晴天ではありましたが、少しどんよりした天気での撮影でした。三脚に載せて、しっかりピントを合わせればもう少しピリッとした画像が得られるのではないかとも思うのです。

《東京のカラス》α9Ⅲ、レフレックスレンズ400㎜F8、焦点距離405㎜(607㎜相当画角)、C-AF。F8・1/500秒、ISOAuto 250、手持ち撮影。渇水期の水無川にわずかに流れる、JR武蔵野線の湧水を揚水して放流したわずかな水たまりに、カモなどの水鳥はいなく、カラスが餌をついばんでいました。

《ミラーレンズ特有のリング状ボケ》α9Ⅲ、レフレックスレンズ400㎜F8、焦点距離405㎜(607㎜相当画角)、MF。F8・1/500秒、ISOAuto 250、手持ち撮影。ミラーレンズ特有のリング状ボケをあえて作り出してみました。
●30年前のフィルムカメラ用交換レンズが甦る楽しさ
あくまでも個人的な印象ですが、30年も前の交換レンズが、マウントアダプターを介してAFで使用可能になるのはちょっとした驚きで、楽しみでした。当然、ミラーレス機になり各社とも前交換レンズシステムを使えるようにと、それなりの技術でマウントアダプターをだしていますが、今回はベクティスマウントという希少なレンズが使用可能になったのも驚きでした。それも新出中国企業のリバースエンジニアリングによって可能となったのも注目点です。ソニーは、ミノルタα時代のボディ内モーターAFカプラー方式のマウントアダプターまでだして、過去のミノルタユーザーを繋げましたが、いくら完全電子マウント同士でもAFマウントアダプターをだすほどのことはなくて当然でしょうが、ユーザーにとってはうれしいことです。
私がもうひとつ感心したのは、モンスターアダプターのマウント面金属加工の仕上げです。写真に示しますが、細かく細い円が同心円状に刻まれているのです。しかも、触ってみると、テフロン的な表面加工が施されているのです。このためでしょうか、ガタもなく、きっちりと固く嵌合できる反面、取外しはすんなりと行えるのです。このあたりの加工は過去に私としては見たことがなく、かなり高度な加工機で作業されているなと思うのです。

《モンスターマウントアダプターの嵌合面》かなり細かなピッチで加工されているために写真ではモアレが発生しています。撮影は、2400万画素のCMOS採用のリコーGRⅢで行っています。
いずれにしましても、まったく使えなかった交換レンズが30年ぶりによみがえったのですから、うれしい限りです。