2009年に出した本書は、タイトルが暗すぎて受けないだろうと思ったが、就職氷河期世代に読まれて3刷になり、中国語訳まで出た。中国ではまだ希望を捨てる必要はないと思ったが、中国語のタイトルは『失われた20年:日本の長期的な経済停滞の本当の理由』。日本経済の失敗に学ぼうというわけだ。
このタイトルは「日本経済をだめにする悲観論だ」と批判されたが、中身を読んでもらえばわかるように、これは財政バラマキや金融緩和などの小手先の政策で雇用を守り、古い企業を延命すれば何とかなるという希望を捨てないかぎり、長期停滞を抜け出せないという意味だ。
日本経済のボトルネックは高度成長期から受け継いだ古い雇用慣行で、これを変えない限り量的緩和なんかいくらやっても無駄だ。これをリフレ派は「清算主義だ」などと批判したが、安倍政権の量的緩和で成長率も実質賃金も上がらず、日本経済は長期停滞から抜けられなくなった。
それから16年。私の予想した通り、日本経済は「暗いトンネル」を抜けられない。高市政権の補正予算には、自民党の支持団体の要望した補助金や投資減税などのバラマキが並び、各業界に利益を分配する構造は変わっていない。野党も減税のバラマキを求めている。もう本当に希望を捨てて出直すしかないのではないか。
第2次安倍内閣でも、当初は経産省主導でこういう規制改革が提案されたが、その法案を準備していた2016年秋に電通社員の自殺という事件が起こり、流れが変わってしまった。
事件そのものは2015年末に電通の女子社員が自殺し、その労災認定がおりたという偶然だったが、これをマスコミが「長時間労働が原因だ」とか「パワハラだ」と攻撃し、野党がそれに便乗して雇用規制の緩和を葬り、逆に長時間労働の禁止などの規制強化になった。
結果的にはこれが安倍政権の「第3の矢」の終わりで、解雇権濫用法理は労働契約法16条として法制化されてしまった。これは「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という労働基準法の規定を労働契約法に移行したものだ。
内容は判例として確立した整理解雇の4要件とされているが、それが法律に書かれているわけではない。日本の雇用慣行は、このような立法化されていないルールで維持されているのだ。本書の目次にあげた課題は、何ひとつ解決されていないのだ。
1.何が格差を生み出したのか
2.新しい身分社会
3.事後の正義
第2章 ノンワーキング・リッチ
1.社内失業する中高年
2.働きアリの末路
第3章 終身雇用の神話
1.終身雇用は日本の伝統か
2.日本型ネットワークの限界
3.雇用のポートフォリオ
第4章 長期停滞への道
1.長い下り坂が始まる
2.輸出立国モデルの「突然死」
3.希望の消えてゆく国で
第5章 失われた20年
1.どこで間違えたのか
2.90年代をどう見るか
第6章 景気対策の限界
1.財政政策の欠陥
2.金融政策の功罪
第7章 日本株式会社の終焉
1.会社は誰のものか
2.官僚社会主義の構造
第8章 「ものづくり立国」の神話
1.「すり合わせ」ではもう生き残れない
2.ITゼネコンの末路
第9章 イノベーションと成長戦略
1.株主資本主義が必要だ
2.リスク回避からリスクテイクへ
3.イノベーションの意味
4.創造的破壊の可能性
このタイトルは「日本経済をだめにする悲観論だ」と批判されたが、中身を読んでもらえばわかるように、これは財政バラマキや金融緩和などの小手先の政策で雇用を守り、古い企業を延命すれば何とかなるという希望を捨てないかぎり、長期停滞を抜け出せないという意味だ。
日本経済のボトルネックは高度成長期から受け継いだ古い雇用慣行で、これを変えない限り量的緩和なんかいくらやっても無駄だ。これをリフレ派は「清算主義だ」などと批判したが、安倍政権の量的緩和で成長率も実質賃金も上がらず、日本経済は長期停滞から抜けられなくなった。
それから16年。私の予想した通り、日本経済は「暗いトンネル」を抜けられない。高市政権の補正予算には、自民党の支持団体の要望した補助金や投資減税などのバラマキが並び、各業界に利益を分配する構造は変わっていない。野党も減税のバラマキを求めている。もう本当に希望を捨てて出直すしかないのではないか。
安倍政権の失われた規制改革
安倍政権も初期には、雇用に手をつけようとしていた。第1次安倍内閣では労働ビッグバンと称して、次のようなメニューがあげられた。- 非正規雇用に対する保険・年金の付与
- 同一労働同一賃金の法制化
- 金銭解雇ルールの法制化
- ホワイトカラーエグゼンプションの導入
第2次安倍内閣でも、当初は経産省主導でこういう規制改革が提案されたが、その法案を準備していた2016年秋に電通社員の自殺という事件が起こり、流れが変わってしまった。
事件そのものは2015年末に電通の女子社員が自殺し、その労災認定がおりたという偶然だったが、これをマスコミが「長時間労働が原因だ」とか「パワハラだ」と攻撃し、野党がそれに便乗して雇用規制の緩和を葬り、逆に長時間労働の禁止などの規制強化になった。
結果的にはこれが安倍政権の「第3の矢」の終わりで、解雇権濫用法理は労働契約法16条として法制化されてしまった。これは「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という労働基準法の規定を労働契約法に移行したものだ。
内容は判例として確立した整理解雇の4要件とされているが、それが法律に書かれているわけではない。日本の雇用慣行は、このような立法化されていないルールで維持されているのだ。本書の目次にあげた課題は、何ひとつ解決されていないのだ。
目次
第1章 格差の正体1.何が格差を生み出したのか
2.新しい身分社会
3.事後の正義
第2章 ノンワーキング・リッチ
1.社内失業する中高年
2.働きアリの末路
第3章 終身雇用の神話
1.終身雇用は日本の伝統か
2.日本型ネットワークの限界
3.雇用のポートフォリオ
第4章 長期停滞への道
1.長い下り坂が始まる
2.輸出立国モデルの「突然死」
3.希望の消えてゆく国で
第5章 失われた20年
1.どこで間違えたのか
2.90年代をどう見るか
第6章 景気対策の限界
1.財政政策の欠陥
2.金融政策の功罪
第7章 日本株式会社の終焉
1.会社は誰のものか
2.官僚社会主義の構造
第8章 「ものづくり立国」の神話
1.「すり合わせ」ではもう生き残れない
2.ITゼネコンの末路
第9章 イノベーションと成長戦略
1.株主資本主義が必要だ
2.リスク回避からリスクテイクへ
3.イノベーションの意味
4.創造的破壊の可能性