08-10(土)氷河、情報を集めすぎない
日の出前に起きて湖を一周することにした。外は10°Cくらいしかなく、念のため持ってきたウインドブレーカーがなければ死んでしまうところだった。
太陽の登ってくる方向は山で隠れているようで、日の出の時刻になってもすぐには日が当たらず、西側にある山から順に照らされていくのがきれいだった。
ランニングをしている人をちらほら見かけた。中には赤ちゃんを乗せたベビーカーを押しながら走っている人もいた。毎日こんなところで走れたらいくらでも早起きできるんだけどなぁ。

ここから何日かかけてローマへ戻る。今日は列車とバスを乗り継いで、スイスとイタリアの国境付近にあるルガノという街へ向かう。しばらく列車に乗っていると、氷河らしきものが見えてきた。「氷河と永久凍土の違いってなんだよ」などと話していると電車が止まった。どうやら写真スポットで停まってくれたようで、きれいな氷河を撮れた。

まさかこのタイミングで氷河を見れるとは思っていなかったのでよかった。旅程を決めるときに情報を集めすぎるとこういった驚きが減ってしまうので、ある程度余白を持たせて調べるのがいいのだと思う。情報収集を完璧にすると、それをなぞるだけの旅になってしまい、おもしろいハプニングと出会いにくくなるかもしれない。
それからバスに乗り換え、ルガノに到着した。一応スイス国内なのだが、イタリアのすぐそばにあるからか暑い。街並みもどことなくイタリアの雰囲気が漂っており、スイスとイタリアを混ぜたような感じ。ホテルに荷物を置いて街中を見て回ったのだが、趣味の悪い店が多かった。大きな湖があるので、湖畔でのんびりするのがいいと思う。夜景がきれいだった。

08-11(日)死に場所
今日の目的地はチンクエテッレという地域だ。イタリア語で「5つの土地」みたいな意味で、山と海に挟まれた鮮やかな町が5つ並んでいる。ホテルはそれらの町を見下ろせる山の中にある。まずは電車で最寄りの駅まで向かい、そこからはバスに乗る。
このバスが曲者で、情報がかなり少ない。ホテルの人からバスの時刻は聞いていたし、ネットに時刻表もあった。なのに Google Map で示されたバス停の位置に行ってもなにもない。本当にそんなバスあるのだろうか?と思いながらぐるぐるしたあげく、駅でようやくチケットを買うことができて、そこでバス停の場所も教えてもらえた*1。バス停に向かうとちょうどバスというかバンが来た。コミュニティバスのようなものらしい。そこからバスで20〜30分のあいだ山道を揺られて、ようやくホテルに着いた。
個人経営のようなホテルだが部屋はきれいで、バルコニーもある。かなり見晴らしがよく、地中海とチンクエテッレの村がきれいに見えた。夜ごはんは道中で買ったほうれん草のトルタと米の板を食べた。雑なごはんなのに妙においしくて、バルコニーで絶景を眺めながら食べると疲れが吹き飛んだ。
ホテルで冷えた白ワインを買えたので、バルコニーで飲んだ。日が沈むにつれてだんだんと変わっていく景色を眺めながら飲むワインは本当においしかった。吹く風が心地よくて、いつまでもいたくなる。ここでなら死んでもいいと思える場所に初めて出会えた。



08-12(月)ムール貝たっぷり、大移動
昨日はバスに乗るのに忙しくて町並みを見れていなかったので、町をうろうろする。とはいっても町はかなりコンパクトなので、メインの通りは海につながる一本の道だけだ。建物の雰囲気はヴェネツィアに似ている。日差しが本当に強くて、壁の色を赤とか黄色にしたくなる気持ちがわかってきた。

昼はムール貝を食べにレストランへ行った。バカラ(干し鱈)とムール貝、ドライトマト、じゃがいもをオリーブオイルで炒めたやつを食べた。鱈をこんなふうに食べたことがなかったが、水っぽさがなくてとてもおいしかった。ムール貝も日本ではありえないくらいたくさん入っていてよかった。
今日は寄り道をしながらローマへ戻る。まずはピサに行った。スイスから戻ってきたところなのでいっそう暑さを感じる中、ピサの斜塔へ向かった。実際に見るとあまりにも予想通りすぎてびっくりした。マジで傾いてるんだね〜と言いながら写真を撮ってその場をあとにした。

次はフィレンツェへ。サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂とベッキオ橋を見に行った。大聖堂は淡い緑と赤を基調としたシンプルで対称的な外装で、これまでに見た教会や聖堂とはまた違った雰囲気だった。ベッキオ橋は渡っていてもベッキオ橋に来ているという感覚がなかったが、隣の橋から眺めるときれいだった。橋の上にお店が載っているのってよく考えるとおかしくて、おもしろい。
ウフィツィ美術館とアカデミア美術館にも行きたかったが、時間がなくて行けなかった。次にイタリアに来たときは行きたい。

暑かったので、Google Map のレビューで異様に絶賛されているジェラテリアへ行った。チーズケーキ味とレモン味でさっぱりした。おいしいし、何よりも量が多くて、評価の高さに納得した。
そのあとローマに戻った。深夜に着いて疲れているのにバスが全然来なくてつらかった。
08-13(火)カルボナーラと和解
今日は未回収のローマの観光地を巡る。コロッセオ、パンテオン、ヴェネツィア広場、トレヴィの泉をまわった。全部デカい。こんなデカいものを重機もなしに建造したことが信じられない。人間を重機みたいに使っていたのかもしれない。
昼ごはんにカルボナーラを食べた。チーズの量が多くて味が濃いのに重くなくてスルスル食べられる。最後にカルボナーラを食べたときは、食べ進めるにつれて脂っこさがいやになったことがあって、それ以来カルボナーラを食べてこなかった。このカルボナーラは最後までもったりせずに食べられた。定期的に食べたくなるおいしさだった。

08-14(水)帰国
とうとう帰国の日がやってきてしまった。2週間は旅行にしてはそこそこ長いほうだとは思うが、終わってみるとあっという間だった。イタリアには絶対にもう一度来たい。食以外のたいていのことは適当だけど、ごはんはおいしいし、日本では見られない景色が見られるし、イタリア人が話すイタリア語の響きは美しい。
シチリアやサルディーニャなどの島、南部を見て回りたいし、フィレンツェやヴェネツィアにももう一度行きたい。チンクエテッレのあの宿から見た景色も忘れられない。スイスは涼しくて穏やかな気持ちになれた。次は数日間滞在してトレッキングなどもやりたい。
空港にピアノがあったので久々に弾こうとしたら、全然弾けなかった。毎日のように弾いている曲でさえ手が動かなくてびっくりした。2週間触っていないだけでそうなってしまうらしい。
08-15(木)東アジアの洗礼
飛行機は夜にローマを出て昼過ぎに仁川に到着するので、機内で寝る必要があった。しかし窮屈なエコノミーの席で熟睡できるはずもなく、浅い睡眠で頭がぼんやりしたまま韓国に到着した。降りた瞬間東アジアの湿気に襲われて絶望した。イタリアでは湿度が若干高い日もあったが、こんなにムワッとした空気を浴びることはなかった。逆に韓国は、日本と同様に、屋内のあらゆる場所でクーラーが効いている。東アジアの夏を一瞬にして思い出したのだった。
トランジットのために降りただけなので本来はそのまま日本行きの飛行機に乗るのだが、今日中に帰ろうとすると5時間くらい待たされるらしかった。仁川国際空港が大きいとはいえ5時間を潰すのはなかなか虚無である。そこでソウルで一泊することにして、次の日の便を予約していた。
電車に乗るのに難儀したがようやくホテルに着いたので近くにある漢江大橋を見に行った。これもデカかった。どれくらい大きいかというと、対岸に着いたと思ったらまだ中洲だった。河に並走するように高速道路が走っていて、そこだけ見るとアメリカみたいだった。

イタリアは夜遅くまで飲食店が開いている。その感覚を引きずったまま散歩していると、駅前のショッピングモールのお店が次々と閉まり出した。仕方がないのでスーパーでヤンニョムチキンを買って部屋で食べた。冷めていてもおいしくてよかった。ついでに生マッコリを買った。さすがに本場だからか、生ではないマッコリがほとんどなかった。マッコリは初めて飲んだが、日本酒に発酵したような風味を加えた感じでおいしかった。
08-16(金)ただいま
わざわざソウルに立ち寄ったが特に観光をする時間もなく空港に向かった。申し訳程度の韓国要素として冷麺を食べた。味変がもうちょっと欲しかった。日本でもうちょっと美味しいところを探そうと思う。
とうとう帰国してしまった。道路を走っていてもお店に入ってもすべてが整然としている。帰りにうどんを食べて帰った。久々にだしを味わって安心した。海外にいって日本食を食べるのはあまりにもったいないのでこういった味は久しぶりだった。
帰ってきたのにもうイタリアに行きたい。スペインとか全然違う国でもいい。もっといろんな文化に触れてみたい。
*1:友人に助けてもらいつつイタリア語でバスのチケットを買えた。うれしい


