この数ヶ月間、一日千秋の思いで待ち侘びていた本が、遂に出た。

日本じゅうのツツイストが、「筒井康隆史」を語る上で、絶対に欠かせない必読&必携の2冊だ。
僕は、幼少の頃から筒井康隆先生の作品群を敬愛し続けてきた。
だからもちろん、全ての単行本や文庫本を購入してきたし、全集も購入した。
作品だけじゃない。
硬軟ありとあらゆる角度で書かれるエッセイ集も、全て入手してきた。
筒井康隆先生は、当代一のSF作家であると同時に、稀代の名エッセイストでもあったのだ。
ただ、僕が物心ついた時、筒井先生は既に超人気作家で、ありとあらゆる媒体でご活躍をされていたから、未刊行の作品群も大量にあり、それらを全て追うことは不可能。
エッセイならば尚更だ。
その後、筒井康隆全集(1985-1987)や、筒井康隆コレクション(2014-2015)において、未刊行のエッセイはかなり発掘されてきた。
しかし、筒井康隆全集が出てから、既に40年という月日が経過している。
ついこの間出たばかりだと思っていた、筒井康隆コレクション刊行からも、既に10年だ。
今回の「筒井康隆エッセイ集成」では、それらの全集やコレクション、そして晶文社版の「暗黒世界のオデッセイ」のみに収録されたエッセイ群に加え、これまで単行本に未収録だった膨大なエッセイが含まれている。
つまり、現在文庫になっている既刊エッセイ集の内容とは重複しない、完全無欠のエッセイ集成と言えるのだ。
刊行は2分冊になったが、1冊目からそのボリュームが圧巻。
2段組でなんと470ページ!という凄さ。
この本にはKindle版もあるけれど、是非とも単行本で、そのボリューム感を味わって欲しい。
最初に掲載されたエッセイは、1963年のSF大会に寄せたもの。
今回の第1巻では、1960年代から1980年代までのSFを追ってきた【SF論】から始まり、以下のエッセイ群が収録されている。
- 星新一氏の新しい面【解説・書評・映画評・作家論】
- 優れたファンタジィ【推薦文】
- 注文つきです【選評】
- 発作的あとがき【あとがき・自作について】
- わたしのベスト3【アンケート回答】
- 筒井康隆の人生悶答【その他】
この素晴らしい内容を補完するべく、編者日下三蔵氏の、30ページにも及ぶ解説がつく。
いやはやもう、興奮せずにはいられない。
ただ、あまりに早く読み終えてしまうと、12月に刊行予定のまでに時間が開きすぎてしまうため、じっくりと歴史を味わいながら読み進めていこうと思う。
そして。
「文學界」の連載時から大きな話題を呼んだ、「筒井康隆自伝」もほぼ同時刊行された。
この本もKindle版があるが、こちらは絶対に単行本を買うべきだと断言したい。
カバー題字は筒井康隆先生の揮毫によるものだし、カバーの質感も素晴らしい。
本を開いても、あらためて筒井先生の揮毫が現れる。
カバーを外すと、筒井先生の実に格好いい執筆写真が掲載されている。
これはもう完全に、単行本で永久保存とするべき記念碑的な1冊なのだ。
「文學界」連載中にご自宅で倒れられ入院された時は、本当に心配だったのだけれど、リハビリにより驚異的な回復を遂げられ、連載再開。
この自伝には、そんな入院やリハビリのエピソードも含まれている。
僕は、連載時から読んでいたけれど、単行本化にあたり、年月やエピソードの補注がつけられたことで、自伝の奥深さが実感できるようになった。
とにかく素晴らしいのが、幼少年期の記憶力。
これまでのエッセイでも、断片的に語って下さっていたことはあったけれど、この自伝では、時系列に沿って克明に記されており、感服せずにはいられない。
幼少年期や少年期の章を読んでいた頃、このペースだと、連載終了まで数十回はあるだろうと思っていた。
しかし、職業作家になられて以降の章は、その時間軸は早く進み、結果的に連載は8回で終わることになった。
しかし、この自伝でしか読めない貴重なエピソードが満載だったし、それ以外のエピソードについては、これらの日記(自伝的作品群)たちがしっかり補完してくれる。

だから全く問題ないのだ。
筒井先生がこれまでに綴られたエッセイや日記群、そしてこの自伝は、そのまま日本SF界の歴史でもあるし、昭和から令和まで繋がる日本文学界の金字塔でもある。
そんな思いを噛みしめながら、これからもずっと読み返し続けていきたい。



