ショックなニュースだ。
親しみやすいイラストに、切れの良いブラックユーモアを添えた風刺。
自ら《戯れ絵師》を名乗り、そのジャンルにおいては、唯一無二の存在。
そんな山藤章二先生が、亡くなってしまった…。
「週刊朝日」誌の最終ページで45年にもわたって連載した「ブラック・アングル」。
僕は若い頃、この「ブラック・アングル」と東海林さだお先生の「あれも食いたい これも食いたい」を読むためだけに、「週刊朝日」を購入していた。
文庫化されたのは、その一部に過ぎないが、僕は今でも全て手元に持っており、時折取り出しては、昭和を懐かしんでいる。

山藤先生の凄さは、単なるイラストレーターという枠に留まらないこと。
エッセイストとしても超一流なのだ。

「オール讀物」誌に、16年にもわたって連載された絵日記では、ユーモア溢れる毒舌が十二分に堪能できる。
エッセイの随所に、政治家や芸能人への愛ある(時には悪意ある)イラストが散りばめられており、それがまたもちろん素晴らしい。

「ブラック・アングル」の先駆けとして、1970年から始まって、1979年までの世相を風刺絵で綴った《世相あぶり出し》も、僕の書棚に残っていた。
いやはやどれもこれも懐かしい。
「ブラック・アングル」は、2021年まで雑誌連載が続いたので、山藤先生の世界を昭和だけで語ってはいけない。
それはわかっているけれど、昭和の世相を振り返るとき、絶対に欠かせない《巨星》であることも事実だ。
そんな巨星が墜ちてしまった。あまりに無念でやりきれない。
山藤先生、どうか安らかに。
