以下の内容はhttps://ichiken999.hatenablog.com/entry/2024/07/23/120000より取得しました。


『リコール』 - 隠そうとする経営陣 VS暴こうとする女性エンジニア

「自動車メーカーを扱った作品」の第四弾は、保坂祐希『リコール』(ポプラ文庫、2020年)。AI(人工知能)が未来社会を大きく変えていくと予想されている昨今、自動車のあり方もまた大きく変わっていくことでしょう。「ステアリングもアクセルペダルもブレーキも存在しない」クルマが生まれようとしています。また、「AI自体が自動車を開発したり、製造したりする時代が来る」という予感も現実味を帯びてきています。本書の舞台は、日本最大手にして世界第二位の自動車販売台数を誇るキャピタル自動車の横浜本社工場。事故を引き起こす可能性のある不具合をリコールすることは、自動車メーカーでは決してまれではありません。リコールとは、「設計や製造過程で問題が生じた場合、自動車メーカーが自ら、国土交通大臣に事前届出を行った上で回収や修理を行い、事故を未然に防ぐ制度」のこと。事故が多発している新型バレットに関して、リコールすべきだと考えている専務の谷原勇人。他方、社長の中沢雄一は、リコールに大反対です。本書では、谷原から事故原因の究明を依頼された女性エンジニアの藤沢美希が、同僚たちとともに、リコール隠しを暴いていくプロセスが描かれています。また、自動車の製造現場・工程および自動車工場での仕事に関する情報が満載。

 

[おもしろさ] 相反する二つの意見

「なんらかの不具合によってユーザーの生命に関わるような事故が起こる可能性が1パーセントでもあるなら、その車種は販売を中止してリコールすべきだ」と主張する谷原勇人。他方、中沢雄一社長の方は、「リコール? 馬鹿なことを言うな。車内でこれだけ調べても原因がわからないものを、誰が特定できるというんだ。うちでわからない原因が国交省に究明できるわけがない。そもそも、新型バレットには国交省の保安基準を満たしていない項目などない。そんなものをいちいちリコールの対象にしてたら、会社は潰れるぞ」と言います。それだけであれば、判断は難しいかもしれません。が、中沢の言葉の裏には、巧妙に事故原因を隠蔽し、リコールを避けようとする姿勢が隠されていたのです。事故原因を隠そうとする側と暴こうとする側の攻防劇が本書の胆と言えるでしょう。

 

[あらすじ] 誠実で正義感の強い専務の依頼を受けて

大学を卒業後、キャピタル自動車に入社して3年目のエンジニア・藤沢美希。白取京平班長の指導下、車の心臓部であるエンジン部品の組み付け工程で働いています。ところが、なぜか突然、工場勤務から谷原勇人専務の秘書に異動の辞令を受けます。白取が呼びかけた美希の送別会の席上、話題に上ったのは、主力車種バレットです。その特色は、「自社で独自に開発したAIが設計したシステムを搭載」している点にあります。しかし、気がかりなのは、同車の事故が増えていることです。その原因は、「運転ミスか整備不良では」というのが、出席者の大方の反応でした。なぜならば、「キャピタル自動車はこれまで自社で生産した車の不具合に対し、誠実にリコールで対処してきた」という経緯があったからです。なぜ私なのか? 私で務まるのか? 不安を抱え、緊張するなか、本社本館社屋の最上階にある秘書室に初出勤した美希。最初は戸惑ったものの、1ケ月余りが経過する間に、彼の誠実さ・聡明さ・正義感に感銘を受けた彼女は、秘書としての仕事にやりがいを見出していきます。その後、経営陣が主力車種「バレット」の事故原因を隠蔽していることに疑いを持った谷原は、中沢雄一社長(谷原の妻・真由子は中沢の娘)にリコールすべきだと直言。ところが、別会社に転籍という措置が取られます。やむなく、谷原は、密かに美希に原因を調査することを依頼。彼女の調べが進展し始めると、美希の協力者にもさまざまな圧力が及んでいきます。四面楚歌のなか、果たして美希は、原因究明のミッションをどのように達成していくのでしょうか? 

 




以上の内容はhttps://ichiken999.hatenablog.com/entry/2024/07/23/120000より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14