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ケアマネ不足がもたらす社会への影響。 問題は介護保険の枠内にとどまらない

福祉人材センター・バンクの職業紹介実績報告によれば、ケアマネを第一志望とする有効求人倍率は9.7倍にのぼりました。5年前より4ポイント以上増加しています。急速なケアマネ不足がこのまま進行した場合、介護保険制度の枠を超えて、社会的にもさまざまな影響のおよぶことが危惧されます。

改正介護休業法におけるケアマネの存在感

ケアマネ不足が社会の広範囲に影響をおよぼす背景には、ケアマネが必要とされるフィールドの広がりがあります。この「広がり」の状況をいくつか確認してみましょう。

まず、今年4月より改正介護休業法が施行され、企業に対して労働者の介護離職防止に向けたさまざまな措置が義務づけられたことです。同改正法では、介護休業や介護両立支援制度に関する研修の実施や情報提供だけでなく、(選択制で)労働者からの相談対応を行なう窓口の設置も含まれています。

団塊ジュニア世代をはじめとして、親の介護に直面する労働者の比重が高くなっています。企業としても労働者の介護離職をますます大きな課題と受け止める中、今改正法の施行が決定打となることで、企業内の「介護問題」にかかる体制整備が急速に進みそうです。

その体制整備に「外部の専門家の助力を得る」という動きも活発になっています。たとえば、産業ケアマネ(産業ケアマネを紡ぐ会)やワークサポートケアマネジャー(日本介護支援専門員協会)のいる居宅介護支援事業所が企業と提携し、労働者の相談対応や企業内研修を担う動きも活発になってきました。

つまり、家族介護者の雇用先と要介護者が暮らす地域という2つのフィールドで、ケアマネの活躍の幅が拡大しつつあるわけです。

自治体のケアマネ採用もさらに拡大する?

加えて、今後は自治体におけるケアマネ資格保有者の確保も拡大する可能性があります。背景はいくつかありますが、たとえば、現在検討されている「ケアマネの法定外業務」への対応について、市町村が主体となって関係者による協議体を設けることです。

厚労省としては、既存の地域包括ケア会議にインフォーマルサービスにかかる団体などを加えた体制といったビジョンを描く可能性があります。ただし、もともとケアマネがシャドウワークとして担ってきた部分であるゆえに、ケアマネジメントの視点がきちんと組み込まれていないと、利用者の課題解決にうまく結びつかないケースも考えられます。

また、本来はこうした協議体の中核を担う包括も、包括的支援体制の構築等で業務が増大・多様化する中で十分な役割を果たせない状況も指摘されます。そうなると、自治体がケアマネ資格の保有者を採用し、保険外支援の調整も含めて対応するという体制づくりが進んでいく可能性もあるでしょう。

重層的支援体制などで求められるSWスキル

現状でも、重層的支援体制の整備や当事者の参画を前提とした認知症施策推進計画の策定の推進などが図られています。地域住民の多様な課題に、自治体が対応しなければならない範囲は急速に拡大しています。

いずれも当事者となる住民の多様な生活課題の分析がベースとなります。自治体職員もソーシャルワークに関する訓練を積む機会はあるでしょうが、現場での実践経験がある社会福祉士や保健師といった専門職のスキルを求める場面が増えていきそうです。
実際、厚労省の調査でも、重層的支援体制整備事業のスタート以降、社会福祉士等の配置数は増加傾向にあります。この流れを見れば、実践経験があるケアマネの採用機会も今後は増えていくことは十分に想定されます。

このように、さまざまな制度改正や社会構造の変化の中で、介護保険制度の枠外でもケアマネが求められるシーンは拡大しています。

ケアマネ減少が続けば社会機能マヒの危機も

もっとも、こうした状況は今に始まったことではありません。多様な地域課題に対応できる制度が今日のように構築される前から、現場で相談対応等に応じる専門職は、既存の制度の枠内で「複合的課題」に対処せざるを得ないという状況に直面していました。

ケアマネの法定外業務にかかる問題が今まで放置されたのも、「他に支える人がいない」ゆえに施策側の不作為を生んだ状況もあったのではないでしょうか。言い方は悪いですが、制度整備が追いつかない中で、ケアマネが「便利な存在」とされてきた面があるわけです。

この問題に光が当たる中、ケアマネの存在感が制度外にも大きく広がっている状況が明らかになりました。先に述べた企業や自治体でのケアマネの必要性拡大だけでなく、地域ニーズを幅広く支えているケアマネ像がようやく表に出てくることになったわけです。

昨今の地震や豪雨などの自然災害でも、避難所等に派遣されるケアマネが、災害関連死などを防ぐうえで大きな役割を担ってきたことは言うまでもないでしょう。

こうした状況を考え合わせると、昨今のケアマネ数の減少は、介護保険制度のみならず、幅広い社会機能をマヒさせる懸念を示していることになります。ケアマネ人材のすそ野の拡大は、国民の暮らしのセーフティネットを支えることに等しいとなれば、少なくとも早急な処遇改善や実務負担の軽減が不可欠でしょう。介護保険だけではない、より幅広い視野でのケアマネ支援の議論が求められます。

◆著者プロフィール 田中 元(たなか はじめ)

昭和37 年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。

立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。高齢者の自立・ 介護等をテーマとした取材・執筆・編集活動をおこなっている。著書に『』(自由国民社)、 『』 (ぱる出版)、『』 (ぱる出版)、『』 (監修/成田和子、旭屋出版) など。おもに介護保険改正、介護報酬改定などの複雑な制度をわかりやすく噛み砕いた解説記事を提供中。




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