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ポリス・ストーリー REBORN

邦題は『まんまウォーズ』にするべきでした。

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2017年。レオ・チャン監督。ジャッキー・チェン、ショウ・ルオ、オーヤン・ナナ、エリカ・シアホウ。

 

2007年の香港。危篤状態にあった幼い娘を病院に残し、自分の任務ではなかった証人警護作戦の現場へと駆り出された国際捜査官リンは、人工遺伝子に絡む陰謀に巻き込まれ、瀕死の重傷を負う。13年の時が流れた2020年のシドニー。事件を題材にした小説を出版したリンの周囲に、黒ずくめの犯罪組織や謎のハッカーなど、当時の事件に因縁のある人間たちが次々と姿を現し…。(映画.comより)

 

おはようございます。

私がよく行くスーパーに石川さゆりのコンサートの割引券がアホほど置いてあって、それを見るたびに心があひゃーんとします。

大学の卒業制作をしていた時期にひねもす聴いていたのが石川さゆり。「天城越え」や「津軽海峡・冬景色」は言わずもがな、わけても私が惚れたるは「酔って候」という曲なんどす 。

当時、この曲が入ってるシーデーを買おうと思ってAmazonで調べたら「石川さゆりコンプートBOX」みたいな仰々しいベストアルバムしか見つからなくて、なんとお値段4万円。はじけ飛ぶゥゥ――ッ! ばかげた金額に、酔って候。

石川さゆり「酔って候」。なんという愛らしさ、表現力。「チョイト好きになり」のチャーミンな響き!!!

 

本当は石川さゆりの話をもっとしたいけど残念ながら此処は映画評ブログ。さらぬだに前置き。ちなみに「さらぬだに」という言葉はエレファントカシマシの歌詞で覚えました。「そうでなくてさえ・ただでさえ」といった意味合いの古語です。あなたはひとつ学問をしましたね。

このように、私のブログを読めば得をしますよ。どんどん読んでいきましょう。金運や恋愛運も上がるし、NHKの集金屋も来なくなります。それなのにお歳暮だけはどんどん来ます。結婚式ではケミストリーが来て歌ってくれます。何故か ちあきなおみの「喝采」を。恋人と死別する曲ですけどね。

実際、当ブログの固定読者の方々から何通もお便りを頂いております。

「『シネ刀』を読み始めた月に司法試験に合格しました!」とか「ふかづめさんの文章を毎日読んでるだけで60キロも痩せました。ついに0キロになって宙を漂っています」など多数。このブログは人々を幸せにしているのかもしれませんね。

そんなわけで本日お送りするのは『ポリス・ストーリー REBORN』。参りましょう。

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◆「ジャッキーが体を張ってくれることに感謝」? はぁ?◆

「ファン」という言葉について考えることがある。

ファンとは何か?

辞書を引くと「特定の人物や事象に対する支持者や愛好者のこと」とあるように、特定の人物や事象を好きでさえいればファンという称号をゲットできるわけだが、こと芸術や表現の世界においては「特定の人物や事象を肯定する」という義務まで発生し「好きだから褒める」といった思考回路の持ち主こそがファン足り得るのである。

だとすれば私はジャッキー・チェンのファンではないのかもしれない…というのが『ポリス・ストーリー REBORN』に対する率直な所感。

近年のジャッキー映画に寄せられがちな「この歳になってもジャッキーが体を張ってくれることに感謝!」といった物言いにおぞましさを感じるのは私だけだろうか。

ジャッキー63歳。体は老いさらばえて寸胴型になり、身体能力も悲しいぐらい減退している。当たり前だ。それを補うためにワイヤー、CG、スタントマンも使っている。まぁ已むを得まい。かつての長回し主体だった技斗も細かいカット割りで騙し騙し撮っている。妥当な判断である。

そうした映像技術を使って「旧ジャッキー」を刷新してこそ「今のジャッキー」が主演を張る意味があるわけだが、残念ながら本作にはそれを刷新するだけの想像力がなかった。

なんというか、今のボン・ジョヴィの痛々しいライブを観ているような感覚に近い。

喉を潰して高音が出なくなったジョン・ボン・ジョヴィが、全盛期のハードロックナンバーをアコースティックギター1本でキーを落として穏やかに歌い、それでも苦しいからサビを観客に歌わせることで一体感という名の共犯関係を成立せしめる。もちろん観客はボン・ジョヴィのファンだから「ジョン、無理しないでー」とばかりにジョンが歌えないパートを全員で合唱するわけだが、心ない私なんかは「出来ないならするなよ!」などと思ってしまうのだ。

「出来ないなりに一生懸命やった。だからその努力を評価しよう」というのは身内や関係者が忖度すべき事案であって、われわれ受け手は出来てないものには「出来てない」と言うべきなのだ。褒めるときは褒める、貶すときは貶す…というのが表現者に対する誠意だと思うし、愛でもあると思うし!

好きだから全肯定するのがファンの条件だとすれば、私はファンじゃなくていい。

くだらん。そんなものはこっちから願い下げだ。


喉を潰したあとのボン・ジョヴィがカントリー路線に転向した『ロスト・ハイウェイ』(07年)は力強いアルバムだし、ジャッキーにしてもワイヤー使いまくりの『ドラゴン・キングダム』(08年)や主演を退いた『ベスト・キッド』(10年)は見事なシフトチェンジだったと思う。寄る年波に屈するでも逆らうでもなく、ただ真摯に向き合って「老い」を逆手に取ったグロリアスな2本とは言えまいかっ。

要するに、やりようなどいくらでもあるのだ。だが、やり方を間違えると悲惨なことになるからそのリスクだけは念頭に置かねばならない。それがジジイのルールだ。

実際、本作『ポリス・ストーリー REBORN』もジャッキーの年齢を考慮して「ある工夫」がなされているのだが、それが思いっきり裏目に出てしまっている。

その工夫というのが…ジャッキー映画SF化。

頭が痛い…。

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SF映画です。


◆ジャッキー映画なのにSF!◆

まずはオープニングクレジットに驚いた。『机器之血』というタイトルロゴがボカーンと出てくるのである。ムムッ!?

『警察故事』『ポリス・ストーリー』の原題)じゃなくて『机器之血』…?

 

『ポリス・ストーリー』関係なかったぁー。

 

何の関係もないオリジナル映画に『ポリス・ストーリー REBORN』という邦題を無理くり冠することであたかも『ポリス・ストーリー』シリーズの最新作であるかのように見せかけて観客を罠にはめようとする配給会社の邪悪な作戦だったぁー。

だけど主題歌が『ポリス・ストーリー』と同じ「英雄故事」という曲なので「正式な続編ではないけどある意味繋がってるっちゃ繋がってる」みたいな曖昧な位置づけがなされているゥゥゥゥ。

もう意味がわからん。たぶんこれを読んでいる読者も「なに? どういうこと?」と困惑しておられるだろう。まぁいいや。どうか忘れてください。


さて、国際捜査官のジャッキーが車を飛ばして病院に向かうシーンから始まる『机器之血』。どうやら白血病で死にかけている娘が手術中とのことで、今にも泣きそうな顔のジャッキーは数々の交通ルールを破って病院に駆けつけた。

すると部下のエリカ・シアホウから着信が。

「えらいことよ、ジャッキー。人造人間が逃げ出しました! 今すぐ来て下さい!」

 

人造人間。

 

ウソだろ? ついにジャッキー映画に人造人間とか出てくるの?

せっかく病院に着いたのにわけのわからないアクシデントのせいで仕事に駆り出されたジャッキーは涙を浮かべて現場に急行する。これでもう娘とは会えない…。ジャッキーの悲愴な面持ちがあまりに痛々しくて見ていられなかった。

そういえば『香港国際警察/NEW POLICE STORY』04年)『ポリス・ストーリー/レジェンド』(13年)でも悲愴な顔と陰惨な話が作品の雰囲気を暗くしていたが…やめて欲しいんだよねぇ…この路線。

だいたい、ジャッキーの悲愴な顔に何の需要があるんだよ! 現在公開中の最新作『ザ・フォーリナー/復讐者』(17年)でもすごい悲愴な顔してるよね…。

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『ザ・フォーリナー/復讐者』のジャッキー。

 

やめろ。世知辛い。

ただのファン心理で申し訳ないが…こんなジャッキー見たくない。落ち込む。

で、そんなジャッキーが涙をぬぐいながら現場に駆けつけると大勢の警官が博士を保護していた。どうやらこの博士が発明した人工心臓で超人的なパワーを手にした人造人間が脱走したというのだ。

 

ジャッキー「そもそも人造人間ってなに? オレの世界観にそんな奴がいていいの?」

 

エリカ「それは分からないけど、確実に言えることは『えらいことが起きている』という事だけよ、ジャッキー」

 

ジャッキー「それに人工心臓ってなに。アイアンマンみたいなこと?」

 

エリカ「えらいもんで、その心臓を使えば世界を破滅させることも出来るというわ」

 

ジャッキー「え~なにそれ。これジャッキー映画だぞ? なんでそんなアメコミみたいなことが起きるん」

 

エリカそれは分からないけど、とにかくえらいことが起きてるのよ、ジャッキー。それだけはわかって

 

二人がそんな非生産的な会話をしていると、いきなりプロテクトスーツで武装した兵士を率いて人造人間が奇襲を仕掛けてきた!

ジャッキー「ほんまに出てきたやん」

そのビジュアルがこちら。

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思ったより人造人間してた。

 

これはあかん。ジャッキー映画にこんなビジュアルの奴はあかん。

こりゃあ、まさしく純度100%のアメコミである。アメコミルックのおっさんがジャッキー映画に迷い込んでらっしゃる。世界観が喧嘩してしょうがない。

困惑する私をよそにジャッキー隊は次々と殺されていく。銃で応戦してもまったく歯が立たないほど人造軍団のタフネスはすごかった。アメコミだから。

「えらいことよ、ジャッキー。重火器がまったく効かないわ!」と言ったエリカ・シアホウは「シアホォォーゥ!」と叫びながら勇敢にもカンフーで挑みかかるが返り討ちに遭ってしまう。重火器がまったく効かないと知りながらどうしてカンフーで挑みかかったのか。でも可愛いからゆるす。

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えらいこと女、エリカ。

 

瞬く間にジャッキー隊は全滅した。

銃もカンフーも効かないと知ったジャッキーは車で人造人間を轢いて燃料タンクに突っ込むのだが、それでも死なない人造人間、なんとジャッキーの乗っている車を怪力でグオ~ッと持ち上げる。これには流石のジャッキーも「手ごわすぎ」と思わず笑ってしまい、覚悟を決めて最後の策に出た。燃料タンクを撃って人造人間もろとも自爆!

ドドォォーン!!

ジャッキィィィィィィィィィィィィィィィィ!

その様子を離れた場所から見ていたエリカ・シアホウ。

「えらいことよォォーーーーッ!」

画面暗転…。

なんやこの茶番。

やってる事ほとんど『ターミネーター』(84年)やないか。だいたいカンフーが効かない敵なんて出しちゃダメでしょ。それをやった時点でカンフーする意味なくなっちゃうじゃん。

あと、改めて疑問を呈させて頂くが…

人造人間?

ジャッキー映画に人造人間…。もうフィクションラインが無茶苦茶すぎて付いて行けない。理解が追いつかない。

結局、この映画は警察官のジャッキーが銃もカンフーも効かない人造人間と戦うっていうハナシなんだけど…これってジャッキー・チェンじゃないとダメなの? ジャッキー映画でこれをやる意味って何かある? こういうのはアメコミとか『G.I.ジョー』(09年)でやればいいんじゃないの?

よりによってコレをジャッキー映画でやるけ?

やるんですねぇー。『机器之血』ですねぇー。

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ジャッキー映画なのに人体欠損!◆

だが驚くのはまだ早い。この第一幕が終わったあと、なんと13年後まで時間が飛び、物語の舞台は2020年のシドニーに映る。

ここで明かされる事実は以下の3点。


①ジャッキーは生きていた(まぁこれは分かるよね)。

②人造人間も死んでなかった(これも妥当なラインだよね)。

③白血病の娘は人工心臓を移植したことで一命は取り留めたが、その心臓を作った博士の記憶が脳内に宿ってしまい、その副作用で幼少期の記憶をすべて失ったままティーンエイジャーに成長しており、ジャッキーはそんな娘に「自分が父親だ」とは言わずに他人のフリをしながら娘の成長を見守り続けていた。


あ、三つめがぜんぜんわかんない。

ごめん、これ…僕がバカなだけ? 何がどうなってるのかまるっきり分からないんだけど…。

この第二幕ではジャッキーの娘、オーヤン・ナナのパートがひたすら描かれるが、いま申し上げた記憶が云々みたいな話はあくまで断片的に語られていくので、点と点が線になるまでが極めて退屈というか、線になっても退屈というか…。

したがって、鑑賞中は「これ…何についての話なの?」と困惑、いま何が起きていてどういう状況なのか、この物語がどこへ向かおうとしているのか皆目見当もつかず、すべてが明らかになっても依然わけがわからないという支離滅裂な筋運びが観る者を翻弄してやまずゥゥゥゥ。悪夢にうなされるナナが謎のマジシャンから催眠療法を受けるシーンなんて明らかに不要だし。

この中盤シーケンス…退屈すぎて爆睡こきました。

慚愧の念に堪えません。ジャッキー映画なのに爆睡こくっていうね…。寝た自分に対してもショックだし、映画にもショックを感じたし。暗澹たる気持ちで一杯よ、そりゃあ。もういっそ「この映画と心中してやろうか」ってぐらいドンヨリした気分になりました。

 

話を戻そう。人造人間はナナの血液を注入すれば不死身になれるらしく、女暗殺者を使ってナナを誘拐する。おーおー、もう好きにやってくれ。

そして、なぜか13年経ってもまったく見た目が変わってないジャッキーは「えらいことよ」を口癖とするエリカと、ナナに一目惚れした同級生の青年ショウ・ルオを従えて娘の奪還に乗り出す。

クライマックスとなる第三幕ではジャッキーのモッサリしたカンフーをお楽しみ頂けるのだが、SF要素が相変わらず映画を邪魔していて。

ジャッキーの命を狙う女暗殺者はマントをお召しでいらっしゃるし、決戦の舞台となるのがスター・デストロイヤーの下位互換みたいなセコい空母の中。そこで普通の銃が効かないことを知っているジャッキーたちは、敵兵が持っている特殊な銃を奪ってビュイーン、ビュイーン、アイーン、ビュイーンとマヌケな音を立てながら銃撃戦をおこなう。その際「アイヤ~~w」とも言う。黙れカス。

嬉しいなー。中国版の『スター・ウォーズ』が見れて嬉しいなー(死んだ目)。

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女暗殺者とプロテクトスーツに身を包んだ兵士。アメコミの次は『スター・ウォーズ』ですか。

 

空母での最終決戦では、ジャッキー、エリカ、ショウの3人が団結して奈落の底に人造人間を突き落とすというまんま『スター・ウォーズ』な退治法を実践。人を突き落とすのは『スター・ウォーズ』の常套手段じゃなーい。

だがその戦闘中に信じられないハプニングが起きた!!!

 

ジャッキーの片腕がちぎれてしまう。

 

まんま『スター・ウォーズ』な切断法である。何が『ポリス・ストーリー REBORN』だよ。もうタイトルを『まんまウォーズ』に改めろ。

というか夢壊れまくり。ジャッキー映画で人体欠損なんてあってはならない事でしょ。

だが安心されたい。腕をなくしたジャッキーがナナの血液を注入したことで切断面から新たな腕がニョキニョキ生えてくるのだ!

 

ふざけるのも大概にしろ!!

 

結局のところ、すごかったのはジャッキーじゃなくてバイオテクノロジーだったというトンデモSF映画、『ポリス・ストーリー REBORN』もとい『まんまウォーズ』

NGシーンを集めたエンドロールが辛うじてジャッキー映画を担保しているが、それとて途中からただの撮影風景の寄せ集めと化す。

本作はほぼ全編スタジオ撮影で、おまけに危険なスタントもほとんどないのでNG集に相応しいようなNGをそもそも出していないという…。要は素材不足ね。ゆえにセリフをトチってへらへら笑う、みたいなくだらないNGシーンばかり。ヌルすぎ。で、もはやそれすら尽きたのか、最後の方では本当にただの撮影風景を垂れ流してる状態で。特典映像でやれ、ボケ!

そんなNG集の最後に、ジャッキーの口から信じられない一言が。

「1年後に続編を撮ろう!」

 

えらいこと言うてもうとるがな。

 

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エリカ・シアホウ、ジャッキー・チェン、ショウ・ルオ。ご苦労さんでした。

 

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