以下の内容はhttps://hsjoihs.hatenablog.com/entry/2026/02/15/174941より取得しました。


年末に焦って購入した Launchpad Mini のおかげで、私にとっての「正解」の鍵盤インターフェースを引き当てることに成功した話

TL;DR

Launchpad Mini MK3 の User モードで、一番左下を C (Octave 1) にセットし、「右に進むと半音 2 つ、上に進むと半音 5 つ」上がるというレイアウトを採用し、

  • C, D, E, G, A を白 (White; #ffffff)
  • C#, D#, F#, G#, A# を緑 (Green; #62cb47)
  • F, B を淡緑 (Green_blue; #75fbab)
  • 押されているときの色 (On colour) を濃い青 (Deep_blue)

と設定したインターフェースが、私にとって「正解」の鍵盤インターフェースでした。

利点

この「正解」インターフェースの素晴らしさは、並進対称性を有するという点にあります。要するに、盤上を平行移動して同じ運指で弾くと移調になるということです。

 

この特性は、とりわけコード弾きで絶大な効果を発揮します。

薬指・中指・人差し指で「^」の形を作って押下すれば必ずメジャーコードですし、「v」の形を作れば必ずマイナーコードです。
いわゆる 4-5-3-6 の王道進行なら、

  • とりあえず「^」の形で押下する
  • 全ての指を右に 1 マスずらし、押下する
  • 中指だけ 2 マス下に下げて、「v」の形で押下する
  • 全ての指を上に 1 マスずらし、押下する

とすれば、弾けます。

さらにいうと、コードシンボル上でもピアノ鍵盤上でも些細な差で表されるものの聴覚印象が大きく異なる Cm7・C7・CM7 が、このインターフェース上ではかなり顕著に異なる形として表現される、という点も個人的には極めて気に入っています。

メロディーを弾く上でも、「半音の移動は桂馬飛び」(上図参照)さえ意識すればスラスラ弾けます。
また、調が分からなくなっても、

  • 3 ✕ 3 のマスが全て埋まれば、
    • 左上がスケール第 4 音(階名のファ)
    • 右下がスケール第 7 音(階名のシ)
  • 横 4 連続でマスが埋まれば、
    • 左端がスケール第 4 音(階名のファ)
    • 右端がスケール第 7 音(階名のシ)

さえ把握していれば、一発で調が視えます。スケール外へと外れる修飾音は、「桂馬飛びをすると、この 3 ✕ 3 の領域から文字通り『外れる』んだな」ということが、視覚的・空間的に把握できます。

命名

さて、このインターフェースに名前がないと不便なので、名前を付けます(これをずっと「『正解』のインターフェース」と呼び続けるわけにはいきませんからね)。正六角形グリッドの isomorphic layout である Wicki–Hayden を正方形グリッドに落とし込んだ配列なので、Wicki–Hayden in a Square grid とか Wicki–Hayden in Squares とかを略して、WHiSq(ウィスク)と呼ぼうと思います。

whisk という語には、名詞「泡立て器」・他動詞「〜をさっと振る」・自動詞「素早く動く」などの語義があり*1、(私にとっての)このインターフェースの使いやすさ・手の動かしやすさを意味的にそこそこ反映した命名をすることができているように思えます。まあ、「手に馴染む泡立て器 (WHiSq)」とお覚えいただければ。

 

泡立て器 (whisk); https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Schneebesen1.JPG, licensed under the Creative CommonsAttribution-Share Alike 3.0 Unported license

得られた効用

まず、当初の想定通り、調と scale degree を分離する訓練としてかなり上手く機能しているように感じます。特に、「世界中のこどもたちが」(作詞:新沢としひこ、作曲:中川ひろたか)のように、「調性はあるけれどスケールからはみ出る半音進行がかなり多い、非ハ長調の曲」を私が理解・把握するのにかなり効果を発揮しているように思えます。

設定方法

キーマップはこのような感じです。

これの設定ファイルのサイズを確認したところ、701 バイトしかないので、Base64 と Hex でこれを貼っておくことにします。components.novationmusic.com から Download のボタンを押したときに得られるファイルは、これらから復元できるバイナリファイル(ファイル名: Wicki-Hayden.syx) です。

Base64: 8AAgKQINIABFQH8gDFdpY2tpLUhheWRlbiEBAEgAAR0AEEAAAEdIAQEVABBAAABJSAIBFQAQQAAAS0gDAR0AEEAAAE1IBAEDABBAAABPSAUBAwAQQAAAUUgGAR0AEEAAAFNIBwEVABBAAABVSAgBFQAQQAAAQkgJARUAEEAAAERICgEVABBAAABGSAsBAwAQQAAASEgMAQMAEEAAAEpIDQEDABBAAABMSA4BFQAQQAAATkgPARUAEEAAAFBIEAEVABBAAAA9SBEBFQAQQAAAP0gSAR0AEEAAAEFIEwEDABBAAABDSBQBAwAQQAAARUgVAR0AEEAAAEdIFgEVABBAAABJSBcBFQAQQAAAS0gYARUAEEAAADhIGQEVABBAAAA6SBoBAwAQQAAAPEgbAQMAEEAAAD5IHAEDABBAAABASB0BFQAQQAAAQkgeARUAEEAAAERIHwEVABBAAABGSCABFQAQQAAAM0ghAR0AEEAAADVIIgEDABBAAAA3SCMBAwAQQAAAOUgkAR0AEEAAADtIJQEVABBAAAA9SCYBFQAQQAAAP0gnAR0AEEAAAEFIKAEVABBAAAAuSCkBAwAQQAAAMEgqAQMAEEAAADJIKwEDABBAAAA0SCwBFQAQQAAANkgtARUAEEAAADhILgEVABBAAAA6SC8BAwAQQAAAPEgwAR0AEEAAAClIMQEDABBAAAArSDIBAwAQQAAALUgzAR0AEEAAAC9INAEVABBAAAAxSDUBFQAQQAAAM0g2AR0AEEAAADVINwEDABBAAAA3SDgBAwAQQAAAJEg5AQMAEEAAACZIOgEDABBAAAAoSDsBFQAQQAAAKkg8ARUAEEAAACxIPQEVABBAAAAuSD4BAwAQQAAAMEg/AQMAEEAAADJAQEBBQEJAQ0BEQEVARkBHAC0BLQIABgAHAAgABQAEQPc=

Hex: F0002029020D200045407F200C5769636B692D48617964656E2101004800011D001040000047480101150010400000494802011500104000004B4803011D00104000004D4804010300104000004F480501030010400000514806011D001040000053480701150010400000554808011500104000004248090115001040000044480A0115001040000046480B0103001040000048480C010300104000004A480D010300104000004C480E011500104000004E480F01150010400000504810011500104000003D4811011500104000003F4812011D00104000004148130103001040000043481401030010400000454815011D001040000047481601150010400000494817011500104000004B481801150010400000384819011500104000003A481A010300104000003C481B010300104000003E481C0103001040000040481D0115001040000042481E0115001040000044481F0115001040000046482001150010400000334821011D00104000003548220103001040000037482301030010400000394824011D00104000003B4825011500104000003D4826011500104000003F4827011D0010400000414828011500104000002E48290103001040000030482A0103001040000032482B0103001040000034482C0115001040000036482D0115001040000038482E011500104000003A482F010300104000003C4830011D0010400000294831010300104000002B4832010300104000002D4833011D00104000002F48340115001040000031483501150010400000334836011D001040000035483701030010400000374838010300104000002448390103001040000026483A0103001040000028483B011500104000002A483C011500104000002C483D011500104000002E483E0103001040000030483F010300104000003240404041404240434044404540464047002D012D020006000700080005000440F7

以上が、この記事で一番伝えたいことでした。

--------------キリトリセン✂--------------

独白

記事タイトルに「私にとっての『正解』」と書いたからには、「私」が音楽に関してどのような文脈を有するのかを饒舌に開示する必要があるだろう。よって、一旦独白を書き連ねる。独白部分は常体(だ・である体)で書く。

私のピアノ演奏力

私はかつてピアノを習っていたのだが、その途中、小学校3年生のときにアメリカに行くこととなり中断してしまい、それ以降ピアノ鍵盤を操作する鍛錬を一切真面目に受けてこなかった。結果として、私のピアノ熟練度は、 「弾ける」と言っても「弾けない」と言っても嘘になる、ぐらいの極めて中途半端な度合いに留まっている。特に両手を用いた演奏力がかなり乏しい。「猫ふんじゃった」の演奏にだけは努力値を振ったのでかなり演奏ができるが、汎化性能が出せておらず、それ以外の両手演奏はほぼできないと言ってよい。

相対音感とも絶対音感とも名乗りがたい中途半端さ

音楽な人々が集まると、「相対音感? 絶対音感?」といった会話が発生しがちである(主観)。しかし、これに関しても、私は中途半端な度合いとなっており、いつも答えあぐねている。

たとえば、(私にターゲティングされた)YouTube Shorts などでよく流れてくる、「同一の曲を別の調で演奏し、どの調が原曲キーかを当てる*2」というクイズは、「あんま自信ないなぁ」と思いながら選択肢を選ぶとまあ当たる、といった感じであり、これを以て「絶対音感がある」と評する人もいるだろう。

一方で、メロディーを知っている曲をピアノで鳴らそうとする際に、「えっと、ここじゃないし、これでもないし」という試行錯誤が発生することは、ままある。これを以て「絶対音感がない」と評する人もいるだろう。

母の発言から察するに、どうやら幼少期の私は固定ド(音名唱)のピアノ教室と移動ド(階名唱)のソルフェージュ両方習っていたようであり、それが尾を引いて、A Major の曲で E がスケール第 5 音として鳴ると脳が同時に「ミ」の気分と「ソ」の気分になるという状況に陥っている。

よって、ハ長調以外は私にとって認知負荷が高い。中途半端な絶対音感スキルと、中途半端な相対音感スキルが、相克して共倒れするのである。

作曲というのはただでさえ認知負荷を要する行為なので、「完成度 30% ぐらいまではハ長調で作り、ある程度骨子が固まったところで 12 面ダイスを投げて調を選び、曲の残りを作る」ということをしばしば行う。

私は量の感覚がだいぶ弱い

ピアノでの演奏に熟練していない話としてもう一つ。「鍵盤を見ずに、親指と小指を開いて二音を弾く」を五度・六度・七度・八度それぞれに対して精度よく行うことが苦手である。

思うに、これは「量の感覚がだいぶ弱い」ことに起因するのではないか。具体的には、今まではキッチン備え付けの米びつを使って「ボタンを 4 回押すと、計 4 合の米が流れこみ、容積が 4 合強の容器が満たされるので、それを炊飯釜に流し込む」という操作を行うことで、炊飯量が 4 合であることを担保できていたが、新居に移り「1 合カップに米をぴったり注ぐ」という難しめの操作を繰り返す必要が発生したせいで、ループ回数の管理をミスり米 6 合に対して目盛り 4 の水を入れて炊いてしまい、「硬めのご飯」と「どちらかというと米粉になるぐらいの硬さであり、なんならしゃもじの上に乗らない」が混交した状態で炊き上がったりした。

私は方眼が好き

コンウェイライフゲームとかが好き。あと幼少期の私は漢点字に興味を持って手作業で表を作ったりしていた。文字コード表とかが今でも大好きなのは、やはり方眼に文字が並んでいる様子というものが私にとって極めて好奇心をそそる対象だからなのではないか。

私は音楽に関する座学がかなり好き

約 5 年前(もうそんなに経つのか)に 『理想的な弦ではなく、理想的な長い板を叩いたときの周波数比に由来する「12.3音平均律」』という記事を書いていたり、2 の 3 乗根を概算するときに 12 音平均律を経由して考えたりする話を載せたりしていることからも察しうる通り、私は西洋音楽とその構造に関する座学を摂取することには強い興味・関心があり、逆にそれゆえに座学に偏ってしまう傾向がある。

(こういう私のような人々のことを見越して、SoundQuest は明示的に「このサイトで知識を得たとして、それは学習のゴールではなくスタートだと考えてください。その知識をもって実践をして、それでようやく学習のワンサイクルが完結するのだというイメージです。」という戒めを書いているのだなぁ。)

作曲とかも、やってはいる

とはいえ、(そもそも先ほど「作曲の認知負荷」の話をしていることから容易に推察できるように)全く実践をしてこなかったわけではない。

架空伝統ゲーム「机戦」の紹介動画の BGM を作曲したりしたし、

youtu.be

 

2023 年の無色透名祭 II では有給休暇を n 日注ぎ込み、メロディ・コード・歌詞のレイヤで出せる力をだいぶ出し切って初投稿したりした。

あとは、本業の業務においても作曲をしたことがある。ZEN 大学の「人工知能活用実践」という授業で、「人間が作った曲と AI が作った曲の聞き比べ」みたいなことをやりたいとの話が来て、部署の中に作曲の心得がある人間が私しかいないので、なぜか人類代表をやる羽目になったりした。「uplifting and relaxing background music というプロンプトで長さが 1 分ぐらいの曲」をリクエストされ、

  • 電子ピアノでの試し弾き:1 分
  • 初回楽譜起こし:2 分
  • lo-fi なジャンルの作曲に入門するためのチュートリアル動画視聴:8 分
  • 再調整:3 分
  • 構想固め:12 分
  • 最終的な組み上げ:30 分

の計 56 分で 6-4-5-1 進行の曲を書いて提出したりした。

 

InstaChord の宣伝

以上は独白なので常体で書いていたが、

--------------キリトリセン✂--------------

以下はお役立ち情報を広報する意図で書いているので、敬体で書きます。

無色透名祭 II と同タイミングで、koizuka さんから存在を教えていただいた InstaChord という楽器が家に届き、ひたすら活用していました。

InstaChord は非常に使いやすく面白い電子楽器です。中央に配置されたディスプレイを挟んで、「3 行 7 列に配置されたボタン」と「6 弦を表すパッド」が配置されており、ボタンを押すことによって決定される内部状態に応じて、それぞれのパッドがどの音に対応するかが動的に決まるという仕組みになっています。
21 個のボタンのうち、特に重要な役割を担うのが、中央部分にある 6 つのボタン。

https://instachord.com/overview/why_professional/ より引用

この 6 つのボタンは、それぞれ「ダイアトニックな三和音 I ii iii IV VI vi」*3 に対応し、その左にある「〜」キーを押すとメジャーコードとマイナーコードが入れ替わる、というインターフェースです。

6 弦パッドよりもさらに外側には、移調ボタンと楽器選定ボタンがあり、移調ボタンで調を選んでその上でのダイアトニックコード(およびそれから派生する様々なコード)を弾ける、という楽器です。

なお、メロディーを弾くモードもあります。

https://kantan-music.notion.site/1d8fffa809fc45928826a5f17574331a

以上を見ると、なぜ WHiSq が私にとってこれほどまでに「正解」であったかが分かるかと思います。

  • スケール 1・2・3 番目の 1 マス上にスケール 4・5・6 番目の音が配置される
  • (メロディーモードでは)オクターブが上がるときには 2 マス上がって 1 マス右に動く

というインターフェースが InstaChord によって既に提供されており、私は既にそれに馴染んでいたのです。

いかにして Launchpad にたどり着いたのか

InstaChord の布教を KOBA789 さん (id: koba789) にしたところ、

このような返事をいただいており、これが 2 年後に効いてきます。

2025 年 2 月につくばに 1 ヶ月弱滞在し、その際に KOBA789 さんの家を訪問、Launchpad Pro を目視確認。これのデフォルト設定は「右に 1 マス進むと半音上がり、上に 1 マス進むと半音 5 つ上がる」というものです。並進対称性がありますね。「例外のないギターのフレット」とはそういうことです。

 

以上が頭の片隅にある状態で、「2025 年 12 月 31 日までに使う必要がある、1 万 5000 円分のギフトカード」を使う必要が発生し、締切直前に Launchpad Mini を買い、今に至るのです。

余談:音色や楽器構成について

以上、お役立ち情報の広報でした。

--------------キリトリセン✂--------------

以下ふたたび独白なので、常体とする。

無色透名祭 II を通じて、メロディ・コード・歌詞のレイヤにおいては出せる力を出し切る経験をできた一方で、音色や楽器構成などといった『私が取れてないレイヤ』を研鑽することで更に『良い』ものを目指すモチベは現在に至るまで発生していない。

 

このことについての、私と Mycelithyl さん (はてなブログ id: mycelithyl)との会話ログを一部転記する。

hsjoihs — 2025/10/01 19:17
情動が足らんので、なにか作ってもそれを磨けないんですよねぇ 「ここが気に入らない」感が発生してくれないことによる弊害

まいせりしるき — 2025/10/01 19:19
「ここが気に入らない」感の欠如、不憫でもあり、羨ましくもあり

hsjoihs — 2025/10/01 19:21
文章については「ここが気に入らない」の感覚が私は極めて鋭敏であるがゆえに、それと対比することで、音色や楽器構成といったレイヤについては私は「ここが気に入らない」感がかなり欠如しているということを自覚できる

 

ところで、ありがたいことに、無色透名祭 II 当時、以下のような感想ツイートをいただくことができ、

「伝えたい部分はきちんと伝達できていて感動を与えることができた。一方で、音色や楽器構成についての技術や磨き欲が足りないため……」という気分にはなっている。

なお、当該ツイートに対して「作曲者です。お聞きくださりありがとうございます。初めて作った曲であって不足する部分が多かったですけれど、気に入っていただけてあまりにもうれしいです」という返信をしたところ、

「次回作も기대하겠습니다(期待しています/楽しみにしています)!」といただけた。

기대に応えることが、未だにできていないなぁ。

 

 

 

*1:語釈は「オーレックス英和辞典 第2版」より引用

*2:動画作者側がよくわかっていないのか、ラスサビ前の転調が存在する曲に対してこれを出題してしまっている場合があり、そういうのに遭遇すると「いや 1 回目は①だけど最後は③だろうが」という気持ちになる

*3:SoundQuest 方言では「基調和音」という名前がついている




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