先月半ばに晴れ間があって以降、東京はずっと曇りか雨の日が続いています*1。レビュー依頼を頂いたSvbonyのフィルターも、まったくテストできないまま。おまけに先日、腰を痛めてしまって、向こう1週間ほどはたとえ晴れていたとしても望遠鏡を出すのもままならなさそうです。
さすがに暇すぎるので、先日のオフアキ調整に引き続き、以前から気になっていたことに手を付けることにしました。

手持ちのフィルターの厚さの計測です。*2
レンズとセンサーの間にフィルターを挿入すると、焦点位置がわずかに移動します。これはフィルターによる光の屈折のため。

直感的に理解しづらいのですが、上のように図に描いてみると、たしかに焦点位置が後ろに動くのが分かります。
で、これが、例えば上図のような「対物レンズだけ」の光学系だったりすれば特に問題はない(ピントを合わせ直せば済む)*3のですが、フラットナーやレデューサーなどセンサーまでの距離が厳密に規定されている補正光学系を用いている場合、焦点位置の移動分だけセンサーまでの光路長をシムリングなどで調整する必要が出てきます。*4
この焦点位置の移動量ですが、近似的に、フィルターの厚さd(mm)とフィルターの屈折率Nを用いて以下のように計算できます。
ここでNに、代表的な光学ガラスであるBK7の屈折率約1.5を代入すると、
となります。
なお、厳密な計算方法についてはこちらなどを参照のこと。F値が特に明るい場合は多少影響が出てきます。
so-nano-car.com
hyperbolaoptics.com
さて、これを踏まえて、手持ちのフィルターの厚さをマイクロメーターで実測し、移動量を算出してみると以下のようになりました。
| 厚さ(mm) d | 移動量(mm) d / 3 | ||
|---|---|---|---|
| Astronomik | H-alpha 5nm | 1 | 0.3 |
| SIGHTRON | IR640 | 1.5 | 0.5 |
| ZWO | Duo-Band | 1.85 | 0.6 |
| UV-IR cut | |||
| OPTOLONG | L-Ultimate | 2 | 0.7 |
| Kenko | プロソフトン クリア | 2 | 0.7 |
| IDAS | LPS-D1 | 2.5 | 0.8 |
| NGS1 (= LPS-D3) | |||
| Nebula Booster NB1 |
| 厚さ(mm) d | 移動量(mm) d / 3 | ||
|---|---|---|---|
| OPTOLONG | UV-IR cut | 1.85 | 0.6 |
| UHC | |||
| NightSky H-alpha | 2 | 0.7 |
| 厚さ(mm) d | 移動量(mm) d / 3 | ||
|---|---|---|---|
| OPTOLONG | CLS-CCD | 1 | 0.3 |
| H-alpha 7nm | |||
| IDAS | LPS-P2-FF | 1.4 | 0.5 |
なんとなく、メーカーごとの傾向が見えてきますね。
*1:気象庁のデータによれば、9月17日夜に快晴だった以降、まともな「晴れ」がない状態が続いています。
*2:総額は計算しちゃダメだぞ(❛ᴗ˂ )⌒♡.。
*3:この他、AskarのFRAシリーズのように最初からフラットナーが組み込まれている光学系など。複数枚のレンズからなっていたとしても相互の位置は固定されていて、系全体で見れば大きな1枚の対物レンズと見なせるので、バックフォーカスは関係ありません。一方、EdgeHDなどはピント合わせに伴い主鏡が動き、系が変動するので後述の調整が必要です。
*4:未調整のまま、望遠鏡側のピント合わせだけでつじつまを合わせると、星像が悪化します。まぁ、多少の悪化なら、きょうびBXTでどうにでもなりますが(ぉぃ