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神の目

今年は例年にも増して太平洋高気圧が強烈で猛暑も食傷気味ですが、おかげで時々発生する雷雲を除けば、東京は天体観測に絶好の日が続いています。そこで、先週は二夜にわたっていつもの公園に出撃してきました。


まずは23日の水曜夜のお話から。この日は、山沿いで発生した雲が夕方以降都心にかかってきて絶望的な空模様だったのですが、22時を回る頃には雲が晴れて快晴に。新月も近いし、この先晴れる保証もない……ということで、晩飯後に急遽機材をまとめて出撃しました。


現地に到着し、機材を展開し終えたときには日付が変わっていました。この日の天文薄明開始は午前3時ごろなので、正味2時間ちょっとしかありません。しかも、主だった夏の星座は西に傾き始めています。となると、秋の天体で、かつ比較的短時間でサクッと撮れるものが候補になってきます。


という具合に、色々考えた結果、みずがめ座の「らせん星雲」ことNGC7293を狙うことに。これも以前にも何度か撮ったことのある対象ですが、1度目は天文改造デジカメでの撮影で淡さゆえに半ば撃沈。2度目は冷却カメラで臨んだものの、空の状態が悪かった上に光害カブリが酷く、こちらももうひとつの写りでした。

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もっともこれらについては、当時使っていたフィルターがIDASのNebulaBooster NB1で、「セミナローバンドフィルター」とはいえ余分な光も相応に拾ってしまったということもあったかもしれません。今回はその反省も踏まえてL-Ultimateフィルターを装備してきたので、期待大です。


Gain300、5分露出の「撮って出し」をASIFitsViewでオートストレッチするとこんな感じ。



さすがは惑星状星雲に特効*1のL-Ultimateフィルター。有名な割に相応に淡い天体ですが、バックグラウンドが暗い上に天体の姿がはっきり確認できます。



肉眼だと、1等星のフォーマルハウトくらいしか見えない空なんですけどね orz


本来なら、ここにさらに通常の光害カットフィルターで撮影したものを足して星の色を生かすところですが、今回は撮影可能時間が短時間に限られる上、それほど目立つ星もないので、これはなしでいいでしょう。


結局、天文薄明開始までに撮れた正味の撮影時間はきっちり2時間。あとはこれを常法通り処理して……はい、ドンッ!



2025年7月24日 ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm) SXP赤道儀
ZWO ASI2600MC Pro, 0℃
Gain300, 300秒×24, Optolong L-Ultimateフィルター使用
ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
PixInsightほかで画像処理


こと座の「環状星雲」M57にも似た、色鮮やかなリングが浮かびあがりました。昔、このNGC7293の写真を「神の目」と称するチェーンメールが出回りましたが、その伝に倣えば北東側にあたかも「眉毛」のようにHαで輝くガスが伸びています。このガスは淡くて撮るのが案外大変なのですが、L-Ultimateの効果か、思ったよりハッキリと写ってくれました。


「らせん星雲」という愛称は、ガスが螺旋*2を巻いているように見えるところからきていて、惑星状星雲を極方向から眺めている姿に相当します。赤(Hα)は電離した水素、青緑(OIII)は電離した酸素に由来していて、両者が共存しているところは黄色に見えています*3


惑星状星雲としては視直径が満月の半分ほどと例外的に巨大ですが、これは地球からの距離が約650光年と近い*4ことが大きいです。ただ、大きく広がっている分、表面輝度は低く、おまけに南中時でも高度が東京で30度ほどしかないため、知名度の割に案外撮りづらいのは上で触れたとおり。秋の空は、アンドロメダ銀河 M31を筆頭に人気の被写体が北側に集中しているので、その割を食っている感じも否めません(^^;

*1:惑星状星雲はほとんどが酸素由来のOIIIおよび水素由来のHαで輝いているため、これらを極狭帯域で通すデュアルナローバンドフィルターは極めて高い効果を発揮します。

*2:この場合の「螺旋」は「螺旋階段」などの螺旋で、円筒や円錐に巻きつくことのできる形状を指します。英語だと"helix"です。

*3:「光の三原色」の加法混色

*4:ちなみにM57は約2600光年と4倍ほども遠くにあります。




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