以下の内容はhttps://hpn.hatenablog.com/entry/2025/05/10/190017より取得しました。


セレストロン「結露防止ヒーターリング」 レビュー

自分が使っている「対惑星・系外銀河砲」EdgeHD800ですが、シュミカセ系共通の弱点として「結露に極めて弱い」という問題がありました。


シュミカセは筒先に補正板がはまっていますが、この補正板は薄いガラスのため、撮影中に冷えやすく夜露が降りてしまいがちです。それでも、周囲がアスファルトで覆われている街なかなら案外なんとかなるのですが、普段撮影に使用している公園は芝生が大きく広がっていて夜間は湿りがち。特に、この鏡筒が活躍する春・秋は昼夜の温度差が大きいので、条件としては最悪です。


そこで、対策として前回、「シリカゲルで乾燥空気を作り、金魚ポンプで送り込む」という手段を取ってみたのですが……装置の圧損が想像以上に大きく、肝心の乾燥空気の流量が少なすぎて撃沈。ポンプをもっと強力にすれば行けそうな気もしますが、どのくらいまで強めればOKなのか分かりませんし、流量が増えた場合、シリカゲルがどの程度持つかも不明……と、なにげに不確定要素が多すぎます。


こうなると、下手に試行錯誤するくらいなら既存の対策グッズを買った方がマシ……ということで、セレストロンの「結露防止ヒーターリング 8インチ用」を「えいやっ」で買ってしまいました。
www.vixen.co.jp

価格は、ビクセンオンラインストア含め大半の所が税込12100円なのですが、なぜかヨドバシでは若干安く、税込11100円でした。


在庫はなく「取り寄せ」扱いなのですが納品は早く、発注後中1日で自宅に届きました。


内容物はヒーター本体と、取り付け作業時に補正板にかぶせる傷つき防止用ボール紙、電源ジャック用ケーブル、ケーブルクリップ、そして英語と日本語の説明書*1です。


このうち、電源ジャック用ケーブルは別売の「Smart DewHeater Controller」で使用する際に用いるもので、今回は使用しません。
www.vixen.co.jp
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(説明書より)

また、ケーブルクリップは上の写真のように、鏡筒外に端子を引き出し固定するためのものですが、自分の使っているフード(Astrozap Aluminum Dew Shield)と適合しないので、これも使用しません。




取り付けはそれほど難しくありません。傷つき防止用ボール紙*2を補正板にかぶせたのち、まずは補正板を押さえている保持リングを取り外します。このとき、計6か所のねじを外すのですが、ヒーター取り付け時に再度締めることになるので、その締まり具合をよく覚えておいてください。案外ゆるく止まっているのが分かると思います。




また、鏡筒の縁にはキャップ固定用のねじが飛び出していて、リングを外すときの邪魔になります。幸い、リングは樹脂製で厚み方向にある程度の柔軟性があるので、力をかけて軽く曲げ、リングを取り外してください。*3





リングを取り外すと、その下にスポンジ状の素材でできたガスケットがあるので、これも取り外します。外し忘れると、ヒーターリング取り付け時にガスケットの厚み分だけねじの長さが足りなくなりますし*4、そもそもヒーターの熱が補正板に伝わりにくくなるので要注意です。




ここまで取り外したらヒーターリングをセット。ヒーターリングには切り欠きがあるので、邪魔なキャップ固定用ねじはここをくぐらせればOKです。




あとは好みの位置までヒーターリングを回転し、ねじ止めして完成です。なお、このときのねじの締め具合は、保持リング取り外し時に覚えた締め具合を参考にします。過剰な締め付けは補正板が歪むのでNGです。




ちなみに自分の場合、フードにあるHyperstar用の切り欠きからケーブルを出したい(上写真)ので、リングの角度はケーブルがアリガタ側に来るこの位置で決まりです。


まずは試運転




さて、ヒーターには端子が2つ備わっています。1つは外径5.5mm、内径2.1mm、センタープラスの一般的なDCジャック、もう1つは「Smart DewHeater Controller」を用いる際にサーミスタとの接続に使う2.5mmオーディオジャックです。今回、後者は使わないので、前者に普段冷却カメラで使用している電源ケーブルを接続し、バッテリー直結でテスト運転してみます。




……が、全く発熱する様子が見られません。念のため、先日購入したサーモカメラで見てみても温度変化は全くなし。ヒーターに直接触れても冷たいままです。ケーブルに問題がないことは確認できている*5ので、もしや不良品でしょうか……?


とにかく、このままではらちが明かないので、初期不良扱いでヨドバシに交換を申し入れ。翌々日には早速交換品が届きました。こういうことがあると、やはり並行輸入品ではなく正規品を買ってよかったなと思います。




今度は、望遠鏡取り付け前に裸の状態で試運転してみます。同ケーブルをバッテリーに接続し、スイッチオン!




……あれぇ (゚_。)?


発熱は全くなく、消費電力の表示値も1Wがやっと。いくらなんでも、連続して初期不良品を引き当てたとは思えません。となると、容疑者は必然的にDCケーブルということになります。




そこで、もしやと思ってケーブルを、昔購入した米Starizona製のシュミカセ用冷却ファン「CoolEdge」付属のもの(文字通りアメリカンなやたら太くてごついヤツ)に交換してみると……




何事もなかったかのようにモリモリ発熱し、バッテリー側の読み値で消費電力は22Wに到達。


貴 様 か 犯 人 は ! (メ゚益゚)凸


一般にDCプラグやDCジャックなどの部品を製造する場合、一定の範囲でサイズの誤差は避けられないのですが……今回の場合はたまたま運悪く、「やや太めのジャック」と「やや細めのプラグ」との組み合わせになり、接触不良が発生してしまったものかと思います。もっとも、お互い工業製品で言うところの「公差」の範囲内には入っているはずですし、まさに「相性」としか言いようがありません。


まずめったに起こらないケースかとは思いますが、万が一機器が動作しないようなことがあれば、一度ケーブルも疑ってみてください。


試運転2回目


さて。というわけで、気を取り直して試運転2回目です。


まずは上で書いた通り、取り付け前にDC12Vに直結してみたのですが……




さすがは消費電力約20W*6。通電開始からものの1~2分で130℃以上に到達してしまいました。実際に望遠鏡に取り付ければ補正板から放熱されますし、ここまでの温度にはならないとは思いますが……なかなかのじゃじゃ馬です。まぁ、本来は「Smart DewHeater Controller」に接続して消費電力を抑えながら使うのが前提の製品なので、フルパワーで動けばこんなものだろうとは思いますが、さすがにちょっと激しすぎです。




そこで次に、USB→DCプラグの変換ケーブルを用い、5Vの電圧を印加してみます。なお、本来USBの規格的にはUSB2.0で500mA(0.5A)、USB3.0で900mA(0.9A)が上限なのですが、今回使っているJackeryのポータブル電源では2.4Aまでの給電が可能になっています……って、いいのかそれで!?(笑)




こちらは最大でも50℃程度と、ずいぶんおとなしくなりました。電流量は、ヒーターの抵抗値が約7Ω*7なので5V÷7Ω≒0.7A。消費電力は5V×0.7A=3.5Wとなります。あまり強力な発熱体が筒先にあると、気流が乱れて像が悪化しかねないので、このくらいなら許容範囲に収まりそう……とはいえ、今度は逆に、発熱量が補正板全体を温めるのに足りるのか不安です。実際に取り付けて試してみるしかないでしょう。


方法は簡単で、望遠鏡の筒先をサーモカメラ*8で1分おきに撮影するだけ*9。このとき、画像内の最高温度(=ヒーター温度)と補正板の外縁、中間、内縁の3か所の温度も同時に記録します。


まずはDC12Vを印加した場合。




20分間の変化を約10秒間に早送りしていますが、ヒーターが激しく発熱するとともに、その熱が補正板の外側から伝わっていくのがよく分かります。


温度変化をグラフに落としたのがこちら。




20分ほどの間に、最も温度の低い補正板内縁部も初期温度から3℃ほど上がっていて、これなら結露の心配はなさそうです。しかし一方で、補正板外縁部は約40℃に達し、ヒーター部分に至っては65℃をオーバー。ここまで高温だと、気流発生による像の悪化が心配になってきます。


そこで次に印加電圧を5Vまで下げて試験。




こちらは見るからに発熱が穏やかです。同じく温度変化をグラフに落としたのがこちら。




こちらではヒーター部分の発熱も30℃(室温+7℃)程度に抑えられ、かなり扱いやすそうです。補正板外縁部も初期温度から3℃ほどのプラスで、悪くありません。ただ、問題は内縁部で、温度は初期からほとんど上がっていません。正確には、序盤はやや上昇するものの、10分ほどたつとむしろ温度は低下傾向になり、最終的にほぼ室温で安定してしまいます。


これはおそらく、副鏡部分による放熱のせい。序盤は副鏡部分にまで熱が伝わっていないので温度が上がります。しかし、時間がたって中心まで熱が伝わると、副鏡部分は金属でできていますから放熱が効率よく行われ、結果、接している補正板内縁部も室温まで下がってしまったのではないか……と見ていますが、どうでしょうか?*10


ヒーターの抵抗値は前記の通り約7Ω。ここから各電圧における電流量と電力を計算し、ヒーター部分および補正板の推定温度をごく粗く見積もってみる*11と……常用するには7V程度の印加がちょうど良さそうです(外気温23℃において、ヒーター部分の推定温度+約14℃、補正板内縁部の推定温度+約0.5~1℃)。


まぁ、風の有無や外気温などによって条件は変わりますし、上昇気流の存在で結露が防がれる可能性もあり、加えてそもそも「外気温≠露点温度」*12なので確定的に「これが正解」とはなかなか言えないのですが……少なくともDC12Vでのフルパワー運転が過剰なのは確実です。融通が利き、一番安上りかつ手っ取り早いのは、秋月やaitendoの可変降圧キットの利用でしょうか。


もちろん、「Smart DewHeater Controller」を使うのが一番いいのは明らかなのですが、一番小さい「Smart DewHeater Controller 2X」でも国内価格は8万円近く。海外通販でも送料等抜きで4万円程度しますからねぇ……。

*1:後者はビクセンが作成、封入したもの。

*2:RASA8と共用のなので、中心部の穴はかなり大きめです。そのため容易に位置がずれるので注意。

*3:正直怖いですが、よほどの無茶をしなければそうそう割れるようなことはありません。

*4:ヨドバシのレビューで怪しいのを見かけました(苦笑)

*5:普段、ZWOの冷却カメラで全く問題なく使えている上、ヒーターの試運転後に再度の確認も行っています。

*6:公称最大消費電力1.7A×12V=20.4W

*7:12V÷1.7A≒7Ω

*8:ぶっちゃけ、先日買ったサーモカメラはこれが目的だったり。

*9:昨日記事を見かけたのだけど、これがあれば便利だったかも……。 akiba-pc.watch.impress.co.jp

*10:この場合、副鏡部分を何らかの素材で覆うなどして放射を防いでやれば改善しそうな気もします。

*11:温度上昇分を消費電力で割り、1Wあたりの温度上昇を概算する。

*12:極論すれば、外気温より冷えていても、その時の露点温度を下回らなければ結露は起こりません。




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