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露したたるひまわり

3月頭のCP+のレポート以降、こちらではすっかりご無沙汰になっていました。というのも、新月期に天気が悪かったり、体調不良が重なったりと出撃どころではなかったせいなのですが……。


が、GWに入る4月26日の夜は、Windy(ECMWF, MSM)でもSCWでも快晴の予報。実はこの前週に腰をやってしまっていて、この時点でも治りきっていなかったのですが……ここを逃すとまたしばらく撮れない可能性が出てきます。台車への重量物(赤道儀 etc.)の積み下ろし時など、荷物を小分けにするなどして工夫すればなんとかなるでしょう……なるといいなぁ(ぉ


この日の東京は直前まで局地的な雨に見舞われましたが、日没前にはそれもスッキリ上がって、予報通り晴れ間が。というわけで、いつもの公園に出撃です。持ち出したのは「対系外銀河砲」のEdgeHD800。これで春の系外銀河……具体的には「ひまわり銀河」ことM63をじっくり狙う予定です。


また、雨上がりで湿度が高そうということで、水槽用のエアポンプにシリカゲルを入れた瓶をつなぎ、乾燥空気を補正板前面に送り込む体制を整えました*1


この夜は天文薄明終了が19時57分、天文薄明開始が明けて3時21分なので、おおよそ7時間ほどは撮影時間が取れる計算です。これだけ時間があれば、明るい都心であってもそれなりの絵が撮れるでしょう。


ところが、機材をセットアップした直後から雲が湧き始め、あっという間に全天が真っ白に。快晴との予報は何だったのか……orz


結局、雲が完全に取れて撮影を開始できたのは22時近くになってしまいました。こればかりは仕方ありません。


この日の撮影対象は、上でも書いた通り、りょうけん座の「ひまわり銀河」ことM63です。複雑な暗黒帯が魅力的な銀河なので、1コマ当たりの露出時間を100秒に押さえてシーイングの影響を軽減しつつ、撮影枚数を増やしてS/N比を稼ぐ戦略を取ります。これは冷却CMOSならではの撮り方で、同じことをデジカメでやろうとすると、高感度ノイズや画像エンジンによる微弱シグナルの喪失が仇となってうまく行きません。


ちなみに以前デジカメで撮影した際には、1コマ当たりの露出時間を伸ばさざるをえず、かなり冴えない写りになってしまいました。今回はこうした事態は避けたいものです。
hpn.hatenablog.com


また、この夜はオフアキ用に新調したオートガイダー「QHY5III585M」のデビュー戦でもありました。これまで使ってきたLodestarよりも広い視野に期待して導入しましたが、効果としては期待通り。ガイド星はたやすく見つかりますし、これなら適当なガイド星が見つかりにくい春の夜空も安心です。


と、順調に撮影を続けていたのですが……1時を過ぎたあたりから、PHD2から「ガイド星を見失った」とのエラーが頻繁に出るようになってきました。実際、撮影結果を確認してみると銀河の写りがかなり悪くなっています。この夜の空は雨上がりで眠い上、撮影対象が西に傾いてきたのでそのせいかもしれません。


そこで、3時前にはM63を諦め、替わって高く昇ってきた環状星雲M57にターゲットを変更します。これなら明るい対象ですし、天文薄明までの短時間でもそれなりに撮れるでしょう。


そうこうしているうちに、あっという間に天文薄明が始まる時間に。撮影を終了して、機材を片付けようと鏡筒を傾けると……


Oh……orz


途中で写りが悪くなったのはこれでしたか。乾燥空気の投入もむなしく、ほぼ全面にわたって結露しています。改めて確認してみると、肝心の乾燥空気は装置による圧損が大きくて流入量が少なすぎ*2。加えて、雨上がりでそもそもの湿度が高すぎました。気象庁のデータを確認したら、夜半以降、相対湿度が軽く90%を超えていたという……。除湿装置を改良してもいいのですが、この際、思い切ってヒーターを導入してしまった方が早いかもしれません。消費電力高め(DC12V, 1.7A)で少々気に食わないのですが。
www.vixen.co.jp


リザルト


帰宅後、撮影画像を改めて確認してみると、M57については結露の影響をモロに受けていてアウト。M63についても、1時以降のコマは大なり小なり結露の影響を受けていて、残念ながら使い物にならなさそうです。


使えるのは100秒露出×80コマの正味2時間ちょっと分。しかも1コマの写りは、ASIFitsViewでレベル調整をした上でこの状態。



確認できるのはかろうじて銀河中心部だけというありさまで、果たしてこれでなんとかなるものでしょうか……?


が、それでもどうにかするしかありません。銀河の色が良く出るArcsinh Stretchでストレッチした上、おそらく光害が原因で浮いてくる緑の色むらをステライメージの「Lab色調補正」で抑制。一方、銀河の細部については、同画像をモノクロ化した上で処理し、これをLRGB合成して……はい、ドンッ!




2025年4月26日 EdgeHD800(D203mm, f2032mm) SXP赤道儀
ZWO ASI2600MC Pro, -10℃
Gain=300, 100秒×80, IDAS LPS-D1フィルター使用
オフアキシスガイダー+QHY5III585M+PHD2によるオートガイド
PixInsight, ステライメージVer.10.0bほかで画像処理

正直、かなり無理やり感が強いのですが、かろうじてどうにかなったでしょうか?結露さえなければ黙って倍は露出時間が稼げたはずで、もう少し処理も楽になったはずだったのですが……。


このM63自体は8.6等とかなり明るく大きな銀河で、有名な天体観測者であるロス卿により、1850年までに渦巻構造の存在が確認されています。


もっとも「渦巻構造」といっても、同じりょうけん座の「子持ち銀河」M51などと異なり、その腕は細かく不連続なものです。このような銀河は「羊毛状渦巻銀河」(Flocculent spiral galaxy)と呼ばれます*3。短時間露出の甲斐あって「らしさ」はそれなりに出せたでしょうか?

*1:装置は手作りのごく簡単なもの。乾燥空気はフードの切り欠き(本来はFastar使用時に電源ケーブルやUSBケーブルを通すためのもの)にチューブを通して送り込みます。

*2:即席で、ロクに試運転もしてなかったからな……。

*3:対して、M51のように腕がハッキリと確認できるものは「グランドデザイン渦巻銀河」と呼ばれます。




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