
毎年恒例、CP+が今年もパシフィコ横浜で日曜まで開催されました。
なんだかんだで毎年レポートを書いてるのですが、年々長さが長くなり、昨年はとうとう正味2万字(!)に。さすがに「やり過ぎ」な感じがありますし、ニュース的な部分は天リフさんが、レポートはAramisさんなどがすでに立派なものを書かれていますので、今年は少し簡単に行こうかと……行けるといいなぁ……行けるんじゃないかなぁ……(ぉぃ
aramister.blog.fc2.com
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それではスタートです!
ビクセン

まずは毎度おなじみのビクセンさんから。今年は会場中央付近の割と目立つところにブースを構えていました。

今回の展示の目玉はやはりこれ。揺動歯車式減速機「OGINIC」を搭載した新型赤道儀の試作機「AX-EVO」です。
従来のウォームギアを用いたドイツ型赤道儀に対し、最近ではいわゆる「ハーモニックドライブ」(波動歯車装置)を用いた赤道儀が、その軽さとトルクの大きさで人気を集めています。しかしながら、波動歯車自体に弾性のあるギアが用いられているため、積載物の重量等によって追尾が不安定になる*1、減速比が最大でも1/320程度なのでもう一段の減速レーンが必要になる、といった問題がありました。
そこで、ビクセンのこの赤道儀ではあえて「波動歯車装置」を用いず、同じく産業機械等で使用されている、荻野工業株式会社の揺動歯車式減速機「OGINIC」を両軸に採用しています。
動作の様子は荻野工業のサイトにあるムービーを見てもらうといいのですが、動力軸に斜めに取り付けられた表裏両歯の歯車(揺動歯車)が回転し、固定された一方の歯車と噛みあって減速。さらに、裏側の歯車が別のもう一端にある歯車と噛みあい、さらに減速……と、2段構えで回転を減速します*2。
このような仕組みなので減速比は極めて高く、1/7000くらいの減速も可能とのこと。よって、モーターにこの減速機を直結するだけで、天体追尾に必要な速度を得ることができます。これは組み立ての簡単さにも繋がっていて、1人で作業してもものの数時間で完成してしまうといいます。
また、弾性のある部品を使わない極めてリジッドな構造なので、不安定性とも無縁。トルクも十分で、波動歯車装置を用いた赤道儀と同様、カウンターウェイトなしでの望遠鏡の運用が可能です。この試作機も、サイズ的にはAP赤道儀とさして変わらないにもかかわらず、AXシリーズの赤道儀に匹敵する搭載重量を誇ります*3。
ただ、いいことばかりではありません。欠点の1つは重いこと。ユニット1つが相当ずっしりしていて*4、それが極軸、赤緯軸と2つ入っているので、赤道儀はそれなりの重さになります。もちろん、同クラスの従来型赤道儀に比べれば軽いはずですし、カウンターウェイトもいらないのでずいぶん手軽になるはずですが、少なくとも「片手でヒョイッ」というわけには行きません。
そしてもう1つは振動。当然ですが揺動歯車がぶるぶる震えながら回転しますので、特に高速運転時は振動が目立つ可能性はあります。ただ、高速運転時に観測を行うわけではありませんし、よほど機材と共振するような事態にならなければ、これについてはあまり問題にはならないのではという気がします。
また、追尾精度についてはやはり従来型赤道儀のようにはいかず、オートガイドがほぼ必須になりそうです。ただ、幸いなことに、ビクセン自身がガイド鏡やオートガイダーをラインナップに揃えたタイミングでもあり、ワンストップで撮影まで持っていけるシステムを自社製品内で揃えることができるのは1つ大きな強みでしょう。
今回の試作品ですが、あくまでも試作ということで外観はほぼ間違いなく変わるでしょう。製品が出てくる時期ですが、諸々の調整がまだまだ残っているようで、早くてもあと2年くらいはかかりそうです。
なお、極軸望遠鏡についてですが、使用している減速機が中空でない*5ため、原理的に非搭載になります。ただ、電子的手段の発達した現在では、目で覗くタイプの極軸望遠鏡を使わなくても高精度で極軸を合わせる手段が色々ありますし、問題にはならないはず。その意味でも非常に現代的な赤道儀と言えます。
ちなみに「OGINIC」を採用するに至った経緯ですが、7年ほど前に「OGINIC」の応用分野を探していた荻野工業の方からビクセンに話が持ち込まれたのが最初とのこと。それから数年たって具体的に赤道儀開発のプロジェクトがスタートし、必要な精度などの要件を詰めてようやく今回、試作品のお披露目となったということです。製品開発、ましてや他社との共同研究的な色彩を帯びたものは、どうしても時間がかかるのだなぁとつくづく……。

次いで目を引くのは、AX-EVO赤道儀の裏側に展示されていた「SDP65SS」(左)と「SDP80SS」(参考出品)(右)です。どちらもVSDシリーズの設計を受け継いだ、4枚玉の高性能SD鏡筒です。会場には両者の作例が展示されていましたが、いずれもフルサイズの四隅まで優秀な星像で、VSD譲りの性能は伊達ではないという印象です。
鏡筒の構造としては、どちらも引き出し式のフードを装備していて、収納時にはかなりコンパクトになります。
SDP65SSは昨年、従来型のドローチューブの抜き差しでピントを合わせるタイプと対物レンズユニットを移動させるタイプとの2種類が展示されていました。が、最終製品に採用されたのは結局後者になりました。この構造の場合、接眼部に可動部がないために重量のあるカメラなどを付けても問題が起きにくいのが利点です。

ただ、ピントノブを動かしても本当にレンズユニットが動いているのか、外見では分からないのが難点。そこで製品版では、昨年の試作品にはなかったバーニア付き目盛が装備されていて、内筒の動きが見えるようになっています。バーニアなんて見たの、自分的には昔持っていたスーパーミラーR-125S*6以来だ……(笑)
まぁ、バーニアというものの読み方含め、ぶっちゃけ実用性については「……(^^;」というところらしいのですが、動いているのが見えないのはやはり不安なので、こういう形で見えるのはそれなりに効果があると思います。幸い、原価もそれほどかからない*7ようですし。
一方のSDP80SSはオーソドックスな構造の口径80mm、f=440mmのF5.5鏡筒。レンズ構成はSDP65SSとほぼ同様です。

ドローチューブは従来のSD鏡筒より太く、VSD鏡筒と似た雰囲気です。ドローチューブの繰り出し量は20mmほどと短め。こちらはSDP65SSと違って対物レンズユニットを移動させる方式ではありませんが、これはおそらくレンズユニットの重量の問題でしょう。
価格はSDP65SSが税込33万円。SDP80SSは50万円程度になりそうでしょうか?VSD90SSが税込68万2000円、VSD70SSが税込55万5500円というあたりを考えると、序列としては絶妙なところです。気持ちとしてはもう少し安くしたいのは山々とのことでしたが、そもそも中華勢との間で単純な値段の殴り合いになってしまうのは避けたいところでもあり、品質に妥協しないという一線と値ごろ感とのバランスでこうなったようです。

なお、会場にはSDP65SSの専用品として発売された「SDPレデューサー0.8×」も展示されていました。SDP光学系においては、最終レンズで光束を細く絞り込んでいることもあり、レンズ径は小さめで済んでいます。これでもイメージサークルはφ30mmでAPS-Cをカバー(周辺光量90%)。フルサイズ最外周φ44mmでも星像の崩れをなるべく抑えつつ周辺光量70%を確保しています。星像は相応に甘いですが形の崩れは少なく、以前の「EDシリーズ+レデューサーED(F7.7用)」に比べればずいぶんマシです。
とはいえ、44000円という価格が示すように、このレデューサーは通常の光学レンズ2枚のみで構成された比較的簡素なものです。もちろん、技術的にはVSDシリーズ用のレデューサーのような超高性能(ただし超高価格)な製品を作ることは可能ですが、鏡筒の差別化を考えればそれは無理。となると

これらのさらに奥には、「カメラアダプター60 for 48mm」と「M54リング」が。いずれも最近普及著しいCMOSカメラ用の接続パーツで、3月頃発売予定とのこと。「M54リング」についてはユーザーからの要望もあり、加えてφ54mm接続のカメラの増加、VSD90SSなどでのケラレの懸念もあって急遽製品化にこぎつけたようです。
ビクセンとしては、バックフォーカスのことをユーザーに考えさせなければならないというのは必ずしも本意ではなかったようなのですが、これも時代の流れでしょう。自分個人としては大歓迎です。


小物としては、PD(Power Delivery)対応、容量20000mAhのモバイルバッテリーが展示されていました。モノ自体はロゴを見て分かる通り、CIOの製品(SMARTCOBY TRIO 67W 20000mAh)のOEMのようです。一般にモバイルバッテリーを赤道儀の電源として使う場合、消費電力が少ないせいで出力が勝手にオフになってしまうという現象がしばしば起こるのですが、残念ながらこのバッテリーも、消費電力が少なすぎる場合、同様のことが起こりうるようです。
しかし、ポラリエで動作確認した結果では出力がオフになるようなことはなかったということなので、よほどの低消費電力でない限りは大丈夫そうです。ただ……税込15950円というのは、付属品が多少つくとはいえ、8980円で売られているOEM元の製品に対して、さすがに値付けが強気すぎる気はします。


あとは、昨年展示されていた「SDE72SS」と「ポルタII-AE81M」が大きな変更なく無事製品化。初心者の裾野を拡げるのに役立ってくれることでしょう。

「裾野を広げる」と言えば、もはや説明不要なSeeStarも展示。やはり初心者に対するインパクトは絶大なようで、かなり好評のようです。
ずいぶん前にBORG在籍時の中川氏も話しておられましたが、望遠鏡等を売ろうにも、まずは空を見上げてもらわなければ話にならないわけで、これらの製品群がそうしたきっかけになってくれればいいなと思います。マニア向けの製品も大事ですが、現在いるマニアだけを相手にしていては先細り必至ですし……。
サイトロン
サイトロンは今回、サイトロン/LAOWAとSharpstar/Askarとにブースを分けて展示を行っていました。

まずは小さなSharpstar/Askarのブースから。


こちらは、いつものように鏡筒をずらりと並べてきました。手前の一番目立つところには最上位のSQAシリーズが。2月25日に発表されたばかりのSQA70まで並んでいます。


(↑ ピンクの服はAramisさん(笑))
ただ、こうやって並べてみると。ハンドルが最初から付属していて一番小さいSQA55はともかく、それ以外の鏡筒の「持ちにくさ」が気になってきます。つかむとしたら鏡筒バンド上側のアリミゾ部分なのですが、なまじ鏡筒バンドがピッタリしているせいでアリミゾの下側に指が入りきらず、しっかり握ることができないのです。
一応、別売でアリミゾ部分に装着するハンドルが用意されていますが、これを取り付けると付属の専用ケースに収まりませんし、ではいちいち持ち上げるたびに脱着するかというと……。SQA55付属の、ワンタッチで脱着できるハンドルは何だったんだという気もしますし*8、ケースを含め、もう少しパッケージングに気を使ってくれれば嬉しかったなと思います。

3月発売予定の、Askarの「52mmSDガイドスコープ」。焦点距離約250mmの非常にがっしりしたガイドスコープです。フォーカスは筒先のヘリコイドで合わせます。アダプターや延長筒の付け外しで様々な用途に応用が可能。

コーティングなどは必要最低限といった感じですが、SDレンズを用いていることもあって像質は悪くなさそう。現時点で専用フラットナーのようなものは用意されていないようですが、SkyWatcherのEVOGUIDE 50ED IIみたいに電視観望にも使っていけるかもしれません。

こちらは双曲面主鏡と補正レンズを備えた、Sharpstarの「なんちゃってイプシロン」こと「13028HNT-AL」および「15028HNT-AL」。鏡筒の材質がカーボンからアルミに変わった分、従来品と比較して若干低価格化しています。いずれにしてもイプシロンと真っ向からぶつかる形になるので、反射鏡筒ファンの人には要注目と言えます。

次いで、サイトロン本体の展示です。

一番目立つところにあったのは、昨年も注目を浴びていた高性能鏡筒「SJH-75UF」です。口径75mm、焦点距離375mm(F5.0)のSD、EDレンズを含む6枚玉屈折で、昨年は「SR2-001」という名前で展示されていました。

ところが、昨年の写真(上側)と見比べてみると、鏡筒が明らかに太くなっています。それもそのはず、鏡筒径が90mmから100mmに、フード径が104mmから115mmにひと回りサイズアップしているのです。
これは、ドローチューブのストロークを伸ばしたため。ストロークを伸ばすと、ドローチューブを最も縮めた際、より対物レンズ側に引き込まれることになります。そうなると、鏡筒が元の太さではケラレる可能性が出てきてしまったのです。結果として、まるで口径10cmクラスの鏡筒のような存在感になりました。
多少の取り回しの悪さに目をつぶれば、迷光対策の観点からも鏡筒が太くて悪いことはありませんので、これはこれでアリでしょう。
後ろのパネルには丹羽雅彦氏の撮影した作例が飾られていますが、星像は確かに隅々まで見事なもので、その高性能ぶりが伺えます。一部最外周付近の輝星にいわゆる「星割れ」がわずかに見られましたが、これは鏡筒内の遮光環のサイズをギリギリに作り過ぎた結果生じたもので、現在はすでに問題は解消しているとのことです。
しかし昨年、「ビクセンもサイトロンも『口径70mm前後、F5程度』という似たようなスペックを目標に定めてきたのは面白いところ」と書きましたが、実際ビクセンはVSDやSDPでラインナップを着々と強化し、AskarもSQA70などでこのクラスに殴りこんできました。さらにはWilliam OpticsのRedCat71などもありますし、このクラスはかなり熾烈な競争になりそうです。
一方、この鏡筒が載っているSJX赤道儀は昨年からほとんど変わらずで、ほぼこれでFixのようです。発売はSJH-75UFともども、早くても今年の夏以降のようですが、どのくらいの価格で出てくるか注目です。


もうひとつ、目立つところに置かれていたのは、低価格で一気に大人気になったACUTERのHα太陽望遠鏡「フェニックス」とSkyWatcherの「HelioStar76Hα」です。後者は海外ではすでに発売されていますが、日本では4月に発売開始で税込426800円とのこと。何も知らないで見れば高く感じますが、過去にLUNTから出ていた口径80mmクラスの太陽望遠鏡(LS80THa/PT/B1200)の価格(2021年時点で税込577500円*9)を考えると、まずまず妥当というか、むしろ安いくらいでしょう*10。
しかし、こうしたHα太陽望遠鏡の新顔が現れたタイミングで、この分野の老舗でもあるCORONADOが親会社のOptronic TechnologiesやMeade、Orion Telescopes & Binocularsともども倒産してしまったのは皮肉なことです。
ちなみに、これらの会社の資産(在庫や知財含む)については、どこぞへ売却が成立したようですが……はてさて、どうなることやら……。
skyandtelescope.org
thinkonyx.com
閑話休題。

ブース内では他に、デュアルナローバンドフィルターの新製品「Dual BP EX Filter」と「Dual BP EX UHS Filter」が発表されていました。


「Dual BP EX Filter」は従来品から膜の構成、コーティングなどを見直し、ハロやゴーストの発生を大幅に低減させたもの。作例を見る限り、その効果は確かなようです。
一方の「Dual BP EX UHS Filter」は、HAC125などF値の明るい鏡筒に最適化させたデュアルナローバンドフィルター(UHS:Ultra High Speed)。光学系のF値が明るくなるとフィルターに斜めから光が差し込むことになりますが、デュアルナローバンドフィルターのような干渉フィルターの場合、それに伴って透過波長が短波長側にずれてしまうという問題がありました。そこを補正したのがこのフィルターです。
こちらはHAC125での使用に最適化したのか、アメリカンサイズのみでの展開になります。
いずれもこの3月発売予定です。


こちらは、地味に気になっている人が多そうな「Astro Station」。見て分かる通り、天文機器制御に特化したラズパイ端末です。この方面ではZWOのASIAIRシリーズが人気ですが、使える機材が「ZWO縛り」になってしまうのが難点。その点、こちらは対応機器が多く、発売されれば人気になりそうです。

USB端子にWiFiとプリントされてるのは微笑ましい所(笑)

ものとしてはToupTek Astroの製品みたいですね。

こちらはアメリカンサイズの0.5倍レデューサー(左)。既存の0.75倍レデューサー(右)に加わる形で、電視観望にまたひとつ、強い味方ができた感じでしょうか。

サイトロンは最近、初心者にも力を入れていて、昨年展示されていた初心者向け屈折望遠鏡「D50」が「infini D50」として発売間近に。口径50mm、焦点距離540mm(F10.8)のアクロマート望遠鏡で、設計に無理がない分、見え味は上々でした。

ちなみに名前の「infini」、フランス語なので「アンフィニ(ɛ̃fini)」と発音するのかと思ったら、「インフィニ」と読ませるそうで(^^;

初心者向けと言えばこちらも。「星天観望 スターウォッチング ガイドブック」と題する小冊子で、天文の基礎的なところや望遠鏡の仕組み、使い方などが分かりやすく解説されています。著者は、優秀な初心者向け望遠鏡で知られる(株)スコープテックを長らく率いてきた大沼崇氏。

ちょうど、ビクセンの望遠鏡を買うと付いてくる「星空ガイドブック」みたいなもので、星を見る上で必要な情報が過不足なくまとめられていました。サイトロンが主に扱う海外製望遠鏡は、説明書がペラ紙1枚のことも多く、初心者が途方に暮れてしまう可能性は十分にありました。そこを補ってくれるという意味で、非常に意義深いものだと思います。
ZWO

CP+2回目の出展となるZWOは、Sharpstar/Askarブースの裏側あたりに出展。


既存製品を中心に、ずらりと製品を並べてきました。

その中で気になったのはこちら。カメラの回転装置「CAA」です。プレートソルビングなどと併用しつつ使えばフレーミング精度が格段に上がり、複数夜にわたる撮影なども再現性良くこなせます。接続規格はM54。3月国内出荷予定で、価格は税込51000円とのこと。手頃な価格なので、これも人気になりそうです。
協栄産業の方曰く、「ZWOは商品展開が早すぎてついていくのが大変」なのだそうですが、頑張ってほしいところです(^^;
ケンコー・トキナー

ホール入り口近くに大きなブースを構えていたのがケンコー・トキナーです。

展示品の中で面白かったのが参考出品の「ヒーター付き角型フィルター」。従来のレンズヒーターだと、フィルターはレンズを介して間接的に温められるため、フィルター中心まで温めにくかったのですが、このフィルターではフィルター本体にヒーターが内蔵されているため、効率的な加熱が可能です。
現在のところ、光害カットフィルターである「スターリーナイト」、「ハーフプロソフトンクリア」、「プロソフトンクリア」の三種類での展開が考えられているとのことです。

そしてもう一つ注目が「星空観察用メガネレンズ」。サイトロンが販売している星見専用めがね「Stellar Glass」と同じ発想の製品ですが、こちらは「スターリーナイト」相当の光害カット機能も持たせています。
ただ、LED照明まみれの現代の日本の空で、光害カットフィルターにどこまで効果があるのかは少々疑問。疲れ目対策やゲームシーンでの利用なども利点として訴えていましたが、さすがにちょっと蛇足じゃないかなという気はしました。

望遠鏡の展示については、いつも通りと言えばいつも通り。相変わらず、古いSkyWatcher製OEM品中心のラインナップで、目新しさはありません。むしろ、Meade倒産のせいでラインナップが減ってすらいて、このやる気のなさはちょっとどうかという気がします。
ボーグ

やる気がないと言えば、すっかり存在感が希薄になったボーグも。ケンコー・トキナーブースの隅っこに小さなコーナーが設けられていましたが、まったく目立っていません。新製品の展示は基本的になく、以前アピールしていたカーボン鏡筒も姿を消しています。おいてあるカタログも、2020年版からそのまま。

かろうじて、「北斗星」カラーに特別塗装した72FLが展示されていましたが……今度は撮り鉄にでも売り込もうという算段でしょうか?まぁ、トミーテック本体は鉄道模型の「TOMIX」で有名なメーカーですし、アリといえばアリですが……マニュアルフォーカスのボーグはお世辞にも鉄道写真と相性がいいとは言えないような。迷走具合ばかりが目立っていて、ちょっともう本当に無理かもしれないですね。
マルミ光機

マルミ光機は今年も星景写真向けのフィルターを展開。大半は昨年展示されていたものと同様ですが、新しいフィルターがひとつ。

バーティノフマスクと同じ働きをする「フォーカスエイドフィルター」です。取り付けにマグネット式を採用していて、フィルターの付け外しの際、ねじる動作を加えなくていいのでピントがずれる危険性を排除できます。
ものとしては、昨年ケンコー・トキナーが展示していた「ナイトフォーカス」と全く同様ですが、パターンの刻み方が「ナイトフォーカス」ではバーティノフマスクそのままのパターンを敷き詰めたようなものだったのに対し、この「フォーカスエイド」では格子状に区切られた領域に横、右斜め、左斜めのパターンがそれぞれ切られたような形になっています。
精度的にはおそらくほとんど変わらないような気がしますが、「他社と同じにはしないぞ」という意地*11が感じられて面白いところです。
シグマ

こちらはオマケ。今回のCP+で、おそらく最大の話題をかっさらったのはシグマでしょう。

直前に発表された「Sigma BF」は凄まじい人気で、体験コーナーでは事前に整理券が配布されるほど。およそ前代未聞です。自分は行列とかが好きではないので眺めるだけにとどめましたが、ボディが削り出しだけに「かたまり感」がものすごく、独特の存在感がありました。モノとして手元にあったら、それだけで満足感に充たされそうな気がします。

「シュッとした『エビフライ』*12」こと「Sigma 300-600mm F4 DG OS|Sports」も自由に触れるようになっていました。前玉は軽く口径15cmくらいはありそうです。
「機動力と利便性を備えた」といっても、重量は4kgほどもあって手持ちで振り回すのは大変。とはいえ像のクリアさはさすがで、焦点距離300~600mmをこの1本でカバーできる&写真用屈折の価格を考えれば、約130万円という価格も納得……です?(^^;
というわけで、天文ファン的にメインどころはこんなところでしょうか。Samさんやあぷらなーとさんの講演で同好の士が「濃縮」されていた上、天リフさんの配信で顔を出したこともあってか、今回は多くの方々にお声がけいただき大変楽しい展示会となりました。みなさま、ありがとうございます。
……で……え?1万4000字超?
「『今回は簡単に行く』と言ったな……あれは嘘だ」
まぁ、2万字超えた昨年に比べれば、3割も減りましたし~ ヾ(@°▽°@)ノあはは (ぉぃ
*1:オートガイドで修正されてしまうので実質的にはあまり問題になりませんが。
*2:といいつつ、仕組みがイマイチピンと来ていません。荻野工業の特許文献などにもザっと目を通したのですが「なるほど、分からん!」ということが分かりました(笑)
*3:実際、20kgほどのカウンターウェイトを楽々振り回している動画を見せていただきました。
*4:ユニット全体が金属の塊なので、まるでカウンターウェイトのような重量感です。
*5:荻野工業のサイト(https://oginokk.co.jp/business/#business-02)を見ると、「OGINIC」の特長として「大中空径を実現」可能であることがアピールされていますが、おそらくは強度の問題や軸が太くなることを嫌って、そうしたパーツを採用していないものと思われます。
*6:今は亡き有名望遠鏡販売店「アトム」とビクセンとの共同企画品。スーパーポラリス赤道儀に口径125mm, F5.8のニュートン反射を組み合わせたセット商品で、ハレー彗星ブームのみぎり、文字通り飛ぶように売れたとか。
*7:バーニアは、ぶっちゃけただのシールです。
*8:重量の関係もあって、軽々に同じ構造は取れないのでしょうけど。
*9:https://web.archive.org/web/20200925200804/http://www.zizco.jp/12shop_lunt/005_LS80THa.html
*10:もちろん、仕様や性能まで同等とは限りませんが。
*12:APO 200-500mm F2.8 / 400-1000mm F5.6 EX DGのこと