22、23、24日は三連休でしたが、特に前半は寒気の流れ込みが強く、関東でも雪が舞ったりするほど。しかし、最終日の24日は寒気が抜けて大陸からの移動性高気圧が張り出してくる予報でした。月がない上に一晩中快晴が予想されている……ということで、翌日が平日でしたが、いつもの公園に強行出撃してきました。前回の新月期に出撃できなかったので、その鬱憤が溜まっていたというのもありますが(笑)

序盤は小手調べとして、おおぐま座にある「ふくろう星雲」M97と系外銀河 M108のペアを。この対象は、2017年5月に天文改造EOS KissX5で撮影したことがありますが、とにかく淡く、渋谷・新宿を控えた北天の光害の酷さも相まって炙り出しに苦戦した覚えがあります。冷却カメラを使うことで、このあたりが解消されてくれると嬉しいのですが……。
この日は天文薄明終了が19時ごろ、本命のターゲットが高度30度付近まで昇ってくるのが20時半ごろということで、前後のロスを考えても1時間程度は撮影時間が確保できる計算でしたが……予想外に木が邪魔になってなかなか撮影を開始できません。結局、正味の撮影時間は高々40分程度。これで果たしてどこまで写っているでしょうか……?

20時半ごろからはこの夜の本命、「しし座のトリオ」ことM65、M66、NGC3628の3つの系外銀河を狙います。これも最後に撮ったのは2017年2月のことで、やはりデジカメでの撮影です。
当時としてはまずまずよく写った方だと思いますが、冷却カメラでたっぷり露出をかけて撮った時、どこまで化けるか楽しみです。

……まぁ、空は相変わらずこんななんですが(^^; それでも春霞の頃よりはるかにマシ。コンデジでの手持ち撮影にもかかわらず、おとめ座やこじし座の主要な星を全部追えるだけでもビックリです。

子午線反転したら、あとは夜明けまで放置。

明け方近くには、東の空に早くもさそり座が昇ってきていました。季節が進むのは本当に早いですね。
ところで。
この日は公園に入った段階で猛烈な違和感を感じたのですが……その正体はこれ。

至るところ、注意書きの看板だらけになっているのです。

曰く、「ペット入園禁止」、「音がうるさいのでボールの壁当て禁止」、「スケボー、ドリブルなどの音が響く行為禁止」etc, etc……
以前からやんわりと注意されていた事項ばかりではあるのですが、近隣の苦情もあったのか、公園管理事務所がとうとう強硬手段に出たようです。閑静な住宅街のど真ん中かつ隣&地下が水道施設という立地なので、やむを得ないかなという気はしますが……これはこれで窮屈で、子供たちにはちょっと気の毒な気はします。1997年の開園以来、30年近く(少なくとも表面上は)ずっと平和だったわけですし。
もっとも、対策にもかかわらず看板の目の前でスケボーに興じている阿呆を撮影中に目撃してるので、実効性がどうかは怪しいところ。以前は酔っ払いどもが深夜、大音量で音楽を流したり、大声で騒いでたこともありますし……。こういう連中のせいで、公園の夜間閉鎖とか、さらなる強硬手段に訴えられないことを祈るのみです(いや、ホント、頼むよマジで)。
リザルト
さて、気を取り直して撮影結果の確認です。まずはM97&M108から。
Gain100, 5分露出の撮って出しをASIFitsViewでオートストレッチするとこんな感じ。

一応、写ってはいますが、どちらもメシエ天体としては暗い部類(M97:9.9等 M108:10.0等)なので、いささか頼りないのは確かです。しかも今回は8コマしか撮影できていないので、処理したところで果たしてどうなるものか……。
とはいえ、放置するのももったいないので、常法通り処理して……こう!

2025年2月24日 ED103S(スペーサー改造済)+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm) SXP赤道儀
ZWO ASI2600MC Pro, -20℃
Gain100, 300秒×7, IDAS LPS-D1フィルター使用
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
PixInsightほかで画像処理
思ったよりはちゃんと写っていて安心しました。
縮小前の画像だとディテールが怪しいのですが、まぁ、そこはコマ数が少なくS/N比が稼げない分を無理やり強調しているので、仕方のないところでしょうか。それでもなお、以前デジカメで2時間かけて撮影したものと比べると写りがいいので、恐るべきは冷却カメラの威力ということでしょうか。
M97は、距離2600光年の位置にある惑星状星雲です。暗い部分が2つ並んでいる姿がフクロウの顔のように見えることから「ふくろう星雲」の愛称があります。このユニークな姿は、円柱状に広がるガスを斜めから見ているためと考えられます。2つの暗い部分は、ガスが薄い円柱の両端というわけです。
一方のM108は距離3300万光年の所にある渦巻銀河。星形成が活発に行われているいわゆる「スターバースト銀河」で、写真だとちょうどM82のような見た目です。もっとも、M82はハッキリした構造を持たない「不規則銀河」であるのに対し、こちらは渦巻銀河を横から見ている姿です。
銀河系内にあるM97と比べると、1万倍以上も遠くの天体が同じ画角に収まっているわけで、宇宙の奥行きが感じられて好きな構図の1つです。
次いで「しし座のトリオ」です。こちらはほぼ一晩かけて撮影した結果、コマ数は5分露出のものが88コマに達します。これだけあれば、都心とはいえそれなりの強調処理に耐えてくれるハズです。
同じくGain100, 5分露出の撮って出しをASIFitsViewでオートストレッチするとこんな感じ。

昇ってきたばかりの高度が低い状態でもこれだけ写っているので、これならなんとかなりそうです。
ダーク引き、フラット補正をしてスタック後、系外銀河の処理で好結果を得やすいと感じているArcsinh Stretchで色情報を保ったまま強調する一方、別ラインでSilverEfexの「高ストラクチャ(強)」で淡い部分を炙り出し。これらを組み合わせつつ、背景の調子を整えて……はい、ドンッ!

2025年2月24日 ED103S(スペーサー改造済)+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm) SXP赤道儀
ZWO ASI2600MC Pro, -20℃
Gain100, 300秒×88, IDAS LPS-D1フィルター使用
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
PixInsightほかで画像処理
都心のように光害の酷いところだと、主に連続光で輝く系外銀河はなかなか難物なのですが、長時間露出の甲斐あってか、まずまずそれっぽく写ってくれました。
この3つの系外銀河は「M66銀河群」という小集団を形作っていて、互いに重力的な相互作用を与えあっていると考えられているのですが、その結果として現れたM66(中央下)の淡く乱れた腕、さらには(淡くて見づらいですが)NGC3628(中央上)の左上に伸びる潮汐尾まで確認できます。赤外線などの「飛び道具」を使わずにここまで写れば、まずは上出来でしょう。

M65は、地球から約3500万光年の距離にある中型の渦巻銀河です。渦巻銀河といっても腕はあまり目立たず、色合いからも分かるように年老いた星が多くて比較的不活発な銀河です。
とはいえ、中心部を取り巻く塵の帯が目立ちますし、銀河の周縁部に歪みが見られることから、比較的最近にM66やNGC3628と相互作用したとも言われています。しかし、それにしては上述のように星形成が不活発なので、そもそも相互作用がなかったか、あったとしても弱かったのだろうと考えられています。

一方のM66は、一見して激しい相互作用の痕跡が残る渦巻銀河です。相互作用の相手はNGC3628。両者の衝突ないし接近によって腕は歪み、その中では激しい星形成が起こっていて、散光星雲と若くて青い星の群れが多数見られます。また、潮汐力によって銀河本体から引き剥がされた星が、淡い腕となって取り巻いているのも分かります。

そして、M66と相互作用した相手のNGC3628。渦巻銀河を真横から見ている姿をしていて、その中央を塵の帯が走る姿から「ハンバーガー銀河」という愛称があります。M65やM66のすぐ近くにあることから、メシエが見逃したのが不思議な気がしますが、M65やM66と比べると一段暗く、当時メシエが観測に使用していた機材では見えなかったのでしょう。
こちらも相互作用の痕跡がハッキリしている銀河で、円盤がX字状に歪んでいるのに加え、その左上に、銀河から星が相互作用で引き剥がされてできた、ごく淡い潮汐尾が伸びています。空の暗いところで撮影すると、銀河の直径の3倍ほども伸びているとのことで、いつかは捉えてみたいものです。