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『赤く染まる木々』パーシヴァル・エヴェレット|本当は「苦しい」だけの話ではないのだろう

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『赤く染まる木々』パーシヴァル・エヴェレット 上野元美/訳

早川書房 2026.03.17読了

 

シシッピ州マネーという場所で、ある白山男性が殺害され、その横には黒人の死体があった。ほどなくしてまた別の殺害がおこり、そこにもまた黒人の死体が。しかも、黒人の死体は何故か消えてしまうという怪奇的な現象が起こる。特別刑事やFBIが捜査に乗り出すが…。初めは推理小説の体をなしていたように思えたが、徐々に過去の黒人リンチの歴史が入り組んでいると気付く。

 

なまぐさい衝撃的なシーンが多くて、読んでいて辛く胸が痛くなる。日本人が読んでもおそらく「苦しいな」とかそういう感情だけで、深いところでの理解はなかなか難しいと思う。実際に起きた歴史的事件が絡んでいるということで、本国アメリカ人が読んだら随分と重みが異なるだろう。

 

章が短く改行も多いからか、意外と早く読み終えることができた。実際にテンポが良く読みやすい。なんとなくコーマック・マッカーシーの文体をイメージさせる。約18頁にわたり被害者の名前が書き連ねられた章があった。名前を書くことで被害者が現実のものとなるからだという。一つ前に読んだ金原ひとみさんの『デクリネゾン』のなかの登場人物は「名前には意味がなくて記号みたいなもの」と言っていた。それとは全く違う角度から捉えられていて、どちらも真実であるように思う。

 

ュリッツァー賞を受賞し昨年日本でも話題になった『ジェイムズ』が気にならないわけではないのだが、実は私は『ハックルベリー・フィンの冒険』を読んでいない。さすがにハックを先に読んでからでないと『ジェイムズ』を楽しめないだろうと、この本から手に取った。なかなかに重いストーリーでどんよりしてしまったが、こういう歴史を知ることに大きな意味がある。




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