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『デクリネゾン』金原ひとみ|経験しないと本当の意味では理解できない「老い」

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『デクリネゾン』金原ひとみ

集英社[集英社文庫] 2026.03.15読了

 

イトルの『デクリネゾン』ってどういう意味なんだろう。 ネットで調べてみると「デクリネゾン」とは、フランス語における語尾変化のことを指す。調理方法ではひとつの食材を生かすことを意味し、フランス料理の基本的考え方とも言える、とある。なるほど、これで本のジャケットに納得する。そして作中には素晴らしい料理がたくさん出てきて、思わず涎が垂れてしまいそうなほどだ。でもこの小説、基本は恋愛の話だ。

 

人公で語り手の小説家・志絵は、2度の離婚を経験している。今は歳が離れた大学生・蒼葉(あおば)と付き合っている。最初の結婚で産まれた娘の理子と暮らすが、志絵は恋愛体質で色んな男性が登場する(過去の経験も含めて回想での登場)。里子、蒼葉、あるいは作家仲間の和香とひかり、編集者中津川さん、これらの人との会話を中心としてストーリーは進む。

 

んな感情をも言語化してしまう金原さんに改めて感服する。特に友人たちとの女子トークや、娘の理子との会話にのけぞる。こんなにも普段真剣に思いを巡らせて話すだろうか。実際の金原さんもこんな会話を交わしているのだろうか。それとも小説の中だからこそ吐き出しているのだろうか。

 

絵が「生まれて初めて、老人と話したいと思った」という文章を読んだ時、これは老いを感じた人でないとわからない感情だと感じた。その後「老いだけはどんなに言葉を尽くしても小説にしても若い人に伝えられる気がしなかった。そんな話は若い人にとっては迷惑あるいは嘲笑の対象でしかないことも知っていた」と文章は続く。確かに、若いときは自分が歳をとってどんなことに悩むのかが想像できなかったし理解しようともしなかった。老いだけは経験をしないと本当の意味で理解できない。この文章が刺さるのは自分も歳を重ねているからなのだ。だけれども、小説を通してなにかきっかけのひとつに、いつか必ず誰にでも忍び寄るものを想像させることは大切なんじゃないかと思う。そして歳を重ねることには良い側面もあるということを、多くの作家に小説の中にたくさん書いて欲しいと思った。生きること、歳を重ねることの喜びみたいなものを。

 

中に「持たざる者」という単語が出てきて、先日読んだ同名の作品を思い出した。どこかで繋がってるんやね。金原さんの近年の大作『YABUNONAKA-ヤブノナカ-』や『ナチュラルボーンチキン』と比べてしまうと若干おとなしめかもしれないが、なかなか考えさせられる小説だった。

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