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『夜空に浮かぶ欠けた月たち』窪美澄|人生に喜怒哀楽は全て必要

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『夜空に浮かぶ欠けた月たち』窪美澄

KADOKAWA[角川文庫] 2026.03.07読了

 

「人間は完全な丸じゃないし、誰だってどこかが欠けているもの」(79頁)

というさおり先生の言葉。誰もがいつこんな風になってもおかしくないと思えるような心が病んだ人たちが登場する。それを優しくあたたかい眼差しで寄り添う「椎木メンタルクリニック」の精神科医・旬とカウンセラー・さおり、そして「純喫茶・純」の店主純さん。

 

作短篇集となっている各章ごとに、ゴッホ、ピカソ、ウォーホルなどが描く絵画のタイトルが付けられている。『パイプを持つ少年』という短編に出てくる直也はものを片付けられないADHDであるが、こういう人は周辺にもたくさんいるように思う。一番身近に感じた。

 

くつもの喪失や別れがある。母が娘を思う気持ちや親子の絆のようなものが大きなテーマとなっているように思う。便利なもの、AIで溢れている時代だけれど、人の心をあたたかくするのは結局のところ人間同士なんだと思う。

 

「人生うまくいかないのが当たり前だと思うようにしたんです。そう思い始めたら、ちょっといいことがあったときはすごくうれしい。それをね、日記につけてるんです」(210頁)

先日五木寛之さんがニュース番組に出ていて「辛いこと悲しいことがあるからこそ、喜びを感じられる」という話をされていた。それと同じようなことで、人生うまくいかないことがあるからこそ良いことがあったときにそれに気付けるというか、幸せを噛み締められるんじゃないか。だから喜怒哀楽って全て必要なんだと思う。

 

をたくさん読めば読むほどこういうあったかい作品から遠のいてしまう気がする。込み入った物語や悲劇にのめり込みやすい。私もそうだ。しかし、真っすぐに良い小説というのもなくてはならない。悪人が出てこない(出てきても途中から良い人になる)ハッピーエンドな物語。例えば藤岡陽子さんや瀬尾まいこさんが書く作品のような。

 

むつもりはなかったのだけれど、文庫本が発売されたときにXで白石一文さんがこの作品を推していたから買ってしまった。たまにはこういうほっこりする作品は必要だ。なにやら角川文庫の新しいレーベルらしく、その名も「ほっとひといき文庫」というらしい。心が疲れてしまいほっこりを求めているときに選んでみよう。

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