
『大鴉の啼く冬』アン・クリーヴス 玉木亨/訳
東京創元社[創元推理文庫] 2026.03.01読了
イギリス最北のシェトランド島が舞台になっている。そもそもこれを読むまでシェトランド島の存在を知らなかった。島に住んでいるのはわずか2万2千人あまり、島民には知り合いが多く閉ざされた社会である。これが陸にある村単位ならまだわかるけれど、この島は対岸の島からもフェリーで14時間かかるというのだ。
黒髪の美しい高校生・キャサリンが絞殺された姿で見つかった。最後に会った孤独な老人マグナスが容疑者とみなされる。知的障害のある彼が疑われるのには、8年前に起きたある事件(未解決)で容疑者とされているからだった。
このマグナスと、殺されたキャサリンの友人であるサリー、画家でシングルマザーのフラン・ハンター、そしてシェトランド暑の警部ジミー・ペレスの4人の登場人物の視点で語られる群像劇となっている。
読み終えて、いたたまれない思いが膨らむ。誰も幸せにならない、こんなにも辛くもどかしい最後はあるだろうかと苦しくなる。静まり返った極寒のシェトランド島に自身も凍り付き取り残された気分になる。身体も心も。この作品は「シェトランド四重奏」としてシリーズ化されており、あと3作続くようだ。
元々それなりに読んではいたけど、海外ミステリーのおもしろさに最近ドはまりしている。アントニイ・バークリーやC・J・ボックスがおもしろかったからかな。一時期P・D・ジェイムズを読み耽っていたのを思い出す。特にシリーズものを読みたい欲が湧いていて、まだ読んだことのない作家の本を調べている。