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『恋の幽霊』町屋良平|誰かを好き、大事にしたいと思ったらそれがもう恋

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『恋の幽霊』町屋良平

朝日新聞出版[朝日文庫] 2025.02.26読了

 

屋良平さんの小説にしてはずいぶんポップだ。文体は『生活』のようなポップさはあるけれど。「幽霊」とあるが怪奇的な雰囲気は全くなくて、そもそも「恋の」という修飾語がついている時点でポップだ。でも、これがなかなかに深い作品だった。

 

校生の時に出逢った4人の男女、シキ、土(つち)、京(きょう)、青澄(あすみ)は恋をする。カップルが2組いるわけではなくて、4人がみんなに、つまり自分以外の3人のことを等しく好きになる。グループの全員がみんなのことを100%好きになるという、ちょっと変わったストーリーである。高校卒業から15年後を起点として話が進むが、過去の回想がメインとなっている。あのときこう思っていた、こうだったら良かったのに、今ならわかる、というようなちょっぴり懐かしい気持ちになる。

 

だれかに恋をして、こんな気持ちに気づかなければよかったと、そう思ってしまうことこそが恋だ(247頁)

 

思議な小説だったなぁ。こんな関係が果たしてあるのだろうかと訝しく思っていたが、あるのかも。というかないとは言えないよな。私たちは普通とされている恋愛を想像してしまう。小説や映画では当たり前のように男女のラブストーリーがある(今でこそジェンダーレスな恋愛も多くなっているけれど)。恋ってこういうものだと定義があるわけではないんだから、「誰かを好きだ」「大事にしたい」「好きかも」と思ったら、もうそれが恋なんだよね。その延長で、もっと深いところに進むと愛になるんかな。

 

分の想いが取りとめもなくダダ洩れになっているような文章が延々と続き、こういうものが町屋さんの手にかかるとちゃんとした文学になっているのがやっぱりすごい。

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