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『叫び』畠山丑雄|読みやすいのに難しい

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『叫び』畠山丑雄

新潮社 2025.01.26読了

 

潮社お馴染みの装幀室が作成したものではなくて、須永有さんという方の装画のようだ。装画のタイトルは『叫び』ではないけれど(『逆光の中の人』とある)、この装画をこの単行本のジャケットに選んだのはムンクの『叫び』をちょっぴり意識したであろうことは容易に想像できる。

 

の帯を見ても、そして新潮社HPのあらすじを見ても、内容がよくつかめずにいた。で、実際に読んでもストーリー自体はピンとこない。まぁ、芥川賞って結構そういうのが多いけれどそれにしても、である。失恋しヤケになっていた37歳の公務員早野ひかるは、ひょんなことから銅鐸(どうたく)造りをする先生と出会い、銅鐸と郷土史にのめり込んでいく。時空を超えた万博、新興宗教めいたもの、そして突然の恋愛まっしぐら感。

 

章はすこぶる上手い。流暢というよりもざくざくと切り刻む今風な感じ。地方言葉とイントネーションがそのまま聞こえてくるようである。どうしてだか方言や訛りがあると文学性が高いように感じる。そうだ、文体もそうだし史実をとことんまで掘り下げるところやストーリーの進め方が乗代雄介さんの作品に似ている気がした。

 

かしなかなか意味を汲むのが困難である。文章自体は易しいのに、この作品が一体何を言わんとしているのか理解に苦しむ。私に読解力がないと言ったらそれまでなのだけど、わからないことが多すぎて喉に何かひっかかった感じで気持ち悪い。結局早野としおりさんとの恋愛はどうなったのか?

 

日発表された第174回芥川賞受賞作品である。今回は鳥山まことさんの『時の家』と同時に2作品が受賞となった。2作品とも単行本で読んだのは珍しいかな。しかしまぁ、鳥山さんのレベルが本当にすごすぎてちょっとダンチな感じ。畠山さんが霞んでしまうのがなんとも申し訳ないほど。さて、選考委員の書評を楽しみにしよう。

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