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『一人娘』グアダルーペ・ネッテル|生命の誕生について真摯に向き合った作品

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『一人娘』グアダルーペ・ネッテル 宇野和美/訳 ★

現代書館 2025.12.20読了

 

めて読む作家さんの本を読むときは少し緊張感があってそわそわドキドキする。どんな文体なのか、どんな世界が待っているのか期待をしてしまう。それががっかりで終わるなんてこともよくある、というかその方が多い。この作品は数頁読んで「これは好きかも」と感じた。そして読み終えて「これは大好きだ」と確信になる。

 

り手である30代のラウラは、子どもを持たないことを決めた女性だ。子どもは自由を束縛し経済的な負担にもなる。そう考える彼女は手術をして子どもを産めない身体にした。20代で知り合った親友のアリナも同じ考えを持っていたが、アリナは30代になってから考えを改め、結婚して子どもをみごもったという。

 

ういう友達同士で固く誓い合ったことに対する裏切りみたいなものは誰でも経験することで、意外と傷つくものなのだ。でも時が経つとやはり友情の方が増してお互いの意見を尊重できるようになる。ラウラも子どもについての考え方が少しづつ変わっていく。

 

リナ夫婦、アリナのお腹に宿った子どものこと、それと同時に、ラウラの家のベランダに巣を作った鳩のつがいのこと、隣家に住む母と息子のこと、関わるすべてのことが意味をなしている。子どもを産むこと産まないこと、子育てのこと、母性のこと、なによりも生命の誕生について真摯に向き合った作品だ。川上未映子著『夏物語』に重なる部分がある。

 

人ではなく、友人がこのこと(産まれてからの子どもに関すること)を体験している、ということが小説のポイントだと思う。アリナを主体として書かれる部分は激しくてより苦しさが伝わってくるのだが、ラウラのそれは対極にあるかのように淡々としている。これが文学性高く感じられる所以であろうか。イネス、ニコラスがとても愛おしいく、アリナ、ドリスが最高の同志に思えてくる。

 

りの巧みさが、文体が、湿り気を帯びて立ち昇ってくる。難解な表現はなくシンプルな文章なのに、どくんどくんと心の奥底まで重低音が響いてくる。こういう作品を求めているんだなと思えて、私にとっては大切な作品になった。メキシコ人女性作家であるネッテルの他の作品も読みたい。

 

て、2026年が幕を開けた。このブログでは昨年の読了本の投稿がもう少し続くけれど、それが終わったらまた年間おすすめをまとめようと思っている。今年も素晴らしい本に出会えますように。

この世に書に耽る猿たちが増えますように。

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