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『血痕の記憶』ジェニファー・コーディー・エプスタイン|患者を実験台にした催眠療法が行われていた

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『血痕の記憶』ジェニファー・コーディー・エプスタイン 唐木田みゆき/訳

早川書房[ハヤカワ文庫] 2025.11.26読了

 

19世紀にパリに実在した精神病院サルペトリエールを舞台にした、史実に基づく小説である。読んだことのない世界が広がり、なかなか興味深く読めた。読む前に想像していた感じとは全く違って新鮮な読書体験だった。

 

の病院では傑出した神経科シャルコー博士らが患者を実験台にして催眠療法を用いた研究が行われている。しかもその実験を公開講座として一般市民に見せるという、なんとも信じがたいことをやっている。もちろん小説なので脚色は多いだろうが、似たようなことが実際にあったと考えると恐ろしい。

 

ステリー患者とは精神病のようなものだろうか。今はもちろんこの言葉は使われず、「転換性障害」「解離性障害」と呼ばれている。病院に隔離するのは過去に多くの国であっただろうが、当時の名だたる研究者や学者なんかも見に来ていたというから、社会的に合理性を持っていたのだろう。

 

人的には雰囲気が『ベルサイユのばら』に似ていると感じた。時代は全然違うのが、バスティーユ牢獄などの単語が出てきたり、身につける豪華なドレスだったり、あとはシスターフッド的な部分があるからか。文庫本の帯で紹介されている「ゴシックミステリー」というよりも、濃密な少女漫画のようだ。そうそう、今流行りの「ロマンタジー」に近いんじゃないか。ファンタジー要素はないけれど私にはそう思える。

 

かなか読み応えのある作品だったのだが、途中からロマンタジー的な要素が入り込んでくるので個人的には前半部分のほうが良かったかな。この本のことは特に気に留めていなかったのだが、書店でパラパラとめくっていると精神病院やら催眠療法やらが気にかかる。本を実際に手にして選ぶという楽しみはこういうところにあると思う。しかし文庫で2,000円超えはちょっと高すぎる!

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