
『リバー』上下 奥田英朗
奥田英朗さんの本を6年ぶり位に読んだ。圧巻のストーリーテリングと優れたリーダビリティで上下2巻にも関わらずあっという間に読み終えた。
10年前に起きた未解決事件と酷似した事件が起きた。若い女性の死体が渡良瀬川の河川敷から2体発見されたのだ。同じような手口で殺されたこともあり、同一犯なのか、はたまた模倣犯なのか。容疑者と思われる人物が複数浮かび上がってくる。
多くの人物の視点で語られる群像劇となっているが、警察組織のパートがとても上手い。奥田さんの真骨頂と言え、過去作品でも警察が関わる小説はおもしろかった記憶がある。群馬県警と栃木県警による共同捜査ではじまり、途中から合同捜査本部となる(違いがいまいちわからないのだけれど…)。警察組織のせめぎ合い、ピリピリ感が手に取るようだ。なかでも引退した元刑事が奮闘する様には胸が熱くなった。
10年前に犯人を捕まえられなかった警察。被害者家族だけでなく世間から無能とみなされた県警であるが、、、こういう作品を読むと現実に起きた未解決事件について考えさせられる。最近だと名古屋で起きた主婦殺人で26年越しに逮捕となった事件がある。あれだけの状況証拠があるのに何故捕まえられなかったのだと驚きだが、何よりも加害者が殺人を犯した動機が未だに謎に包まれる。でも、どんな事件でも確たる動機なんてないんじゃないかなって最近思っている。というか他人にわかりようもない。
警察ものの良いところは、捜査本部会議で常に状況の報告がされ、読者はそこで何が起こったか、どのようにして進捗しているかを都度復習できることだ。どうだったかなと思うことや見落としがあっても、会議での刑事の発言を聞いているときちんとまとめられた報告に、こちらとしても襟を正せてストーリーを追いやすい。
あまりピンとこなかったのがマスコミ側、中央新聞千野記者のパートである。そんなに力を入れていないというか、ただ形式上入れているという感じが拭えなかった。それから、、、ラストはちょっと強引だったかなぁ。犯人の動機もイマイチだった。奥田さんの小説だから期待し過ぎてしまったのかも。いまソフトカバーで刊行されている『普天を我が手に』を読もうかとおもっていたけど、ちょっと躊躇するかなぁ…。