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『秘儀』マリアーナ・エンリケス|不気味で不安。それでも物語の全貌が徐々に明らかになる過程に興奮が止まらない

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『秘儀』上下 マリアーナ・エンリケス 宮﨑真紀/訳   ★

新潮社[新潮文庫] 2025.10.12読了

 

んな秘密の儀式が行われるのだろうか。上巻の表紙にある怪物の影が怖いし、おどろおどろしさが満載っぽい気がして読む前からぞくぞくしていた。

 

れは、大人のダークファンタジーといえるだろう。一見非現実的な世界に怯みそうになるが、これがまぁ、めちゃくちゃおもしろかった。想像していたものとは違っていたけれど、文学性が高く雰囲気も好みで楽しめた。密度が濃いから文庫上下巻で読むのに一週間もかかってしまったが。カズオ・イシグロさんが絶賛したという彼女の筆力は天才としか言いようがない。

 

ルゼンチンの「オルデン(教団)」という闇の組織が物語の軸になる。フアンは、生贄を捧げる儀式で「闇」を呼び出す希少価値のある「霊媒」の能力を持っていた。息子のガスパルにも同じ力があると気付いたフアンは、オルデン幹部にその力を気づかせないよう、つまり霊媒の道を歩ませないように必死に守ろうとする。

 

ガスパルがメインとなる第3章あたりからぐぐっとおもしろくなり完全にこの世界観の虜になる。自分が何者かわからなくなる、父親がなんか怪しい、それでも友達は自分の力になってくれて、、、成長過程にあるガスパルが闇の世界にどんどん飲み込まれていく過程がスリル満点。この章は、著者が尊敬しているスティーヴン・キングの『IT』のようでホラー要素満載の青春小説のようだった。

 

トーリーが最初はよくわからないのだが、読み進めるに従って物語の全貌が徐々に明らかになり、それを知り堪能する快感がとてつもなく興奮した。不気味で、不安で、おぞましい。でも魅入られる。見たくないのに指の隙間から見てしまうような感覚。

 

全なるファンタジーに思えないのは、時代が1970年代以降という比較的今の時代に近いというか40年以上生きている人であれば通過した年月だということ。それから舞台がアルゼンチンで実在の土地だということが理由だろう。つまり、完全な空想世界の造られた世界ではないのだ。著者エンリケスの紹介文に「超自然要素を取り入れつつ現実の不安や恐怖を描く」と記載があり、まさしくこの通りだと思った。

 

シック・ホラーとのことであらすじだけ読むとそんなに好みじゃないように思っていた。しかし、あの『寝煙草の危険』を書いた人(高評価だから気になっていた)だと知ったのと、書店でちらっとめくってみたらなかなか好みの読み口だったのと、新潮文庫の中でも私が好きなフォントだった。紙の本を読む人にはわかると思うけれど、特に長編であれば字体ってかなり大事。ずっと目で追っていくわけだから。




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