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『失われた貌』櫻田智也|安定感のあるミステリー、何事も過度な期待をすることなかれ

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『失われた貌(かお)』櫻田智也

新潮社 2025.09.26読了

 

統派のミステリーで安定感がある。込み入った感じはなくとても読みやすかった。警察ものってどうしても専門用語があったり法的なことを知らないと難しい場合があるが、誰にでも易しく書いてあるからミステリー初心者にもお勧めできる。

 

手さはなく一見なんの変哲もないストーリーに思える。実際半分くらいまではゆっくりとのんびり構えて読んでいたのだが、後半からは「なるほど、そうきたか!」という展開と見事な伏線回収に目から鱗でなかなか楽しめた。伏線っぽく感じさせる嫌らしさがなくて、素直に騙されて見過ごしていた、みたいな感覚。これがいいのよ。

 

奥で死体が発見された。その死体は顔が潰され、歯が抜かれ手首から先が切り落とされていた。つまり身元不明ということ。その死体の謎を突き止めていくというストーリーだ。その事件を追う最中、10年前に父親が失踪したという少年が、父ではないのかと警察に飛び込んでくる。

 

台は架空のJ県媛上(ひめかみ)市。媛上県警察捜査係長日野雪彦が主人公だ。妻と娘の3人暮らし。家庭が疎かになっていることを気にしながらも、異動したばかりの署で仕事に励む。刑事でタッグを組むのは入江という女性だ。最初は日野が地味でパッとしないかなと思っていたけれど、これが小説全体を貫く安定感の理由かも。日野がバーのマスターとお酒を交わすシーンが良かった。ここだけ読むとハードボイルド臭が漂っている。あと隼斗くんの詩が本当に本当に良い。

 

にあるほどの「どんでん返し」っていうほどのものはない気がする。というか、どんでん返しがあるっていうのも、ネタバレの一種な気がしてあまり好きではないのだけど…。そもそも「どんでん返し」って、なんでみんな好きなのか私には不明だ。どんでん返しがなくたっておもしろいものはおもしろいのにっていつも思ってる。

 

待しないことって本当に大事だよな。何事も過度な期待をせずにいれば、たいていのことはうまくいき感動したりするのかもしれない。これって第一印象が悪い人はどんどん良くなることにちょっと似ている気がする。

 

田智也さんは、過去に魞沢(えりさわ)という昆虫好きなオタク探偵を主人公とした小説でミステリー系の文学賞を受賞している。登場人物の名前が妙に気になった記憶があり、ほのぼの感満載だった。櫻田さんの作品は短編が多かったからそれ以降は読んでいなかったが、今回は初の長編ということと、各紙面で絶賛されているようので読んでみた。本格ミステリで、どうも趣向を変えてきたなという印象だ。血生臭い殺人が起こり警察組織が舞台ではあるのだが、なんというかほっこりと優しいんだよなぁ。これは著者櫻田さんの人間性ゆえなのだろう。

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