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『悲しき虎』ネージュ・シンノ|何故人は沈黙し悪の行為を行うのか

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『悲しき虎』ネージュ・シンノ 飛幡祐規/訳

新潮社[新潮クレスト・ブックス] 2025.09.22読了

 

日、LINEニュースで衝撃的な記事を読んだ。加害者(45歳の男性)は再婚相手の娘とその友達に性加害を行って起訴された。彼は自分が小児性愛者だと認めており、刑務所から一生出たくないと切望している。また同じような行為を繰り返してしまうから(実は過去にも同じような罪を起こして執行猶予中だった)。再婚相手の女性と結婚したのも、年頃の娘が目当てで接近したというのを想像すると気分が悪くなる。被害にあった子どもはもちろんだが妻の心情を思うとさらに苦しくなる。その記事を読んだこともあって、この本を見かけた時にこれは今読むべきだと感じた。

 

やはや、読み終えてというか読み始めてからずっとずっと重かった…。小説ではなく実際に起きたことだからなおさら。なんか逃げ場がない。解説によると、フランスでは人口の8%もの人が、未成年のとき人生を破壊する重大な被害を受けているという事実に驚愕する。おそらく他の国でも同じような割合なのだろう、この日本でも。

 

ランスで生まれ現在はメキシコに住む著者のネージュ・シンノさんは、9歳の頃から7年近くもの間、継父(けいふ)に性的被害を受け続けた女性である。彼女が自分のこのような被害をあらゆる角度から徹底的に突き詰めて検討したのがこの作品である。フランスでは多くの文学賞を受賞しベストセラーになった。

 

人にはグレーゾーンがあるが、子どもには白か黒かしかないという部分が印象に残った。子どもにとってレイプされるということは絶対的に協力的であるはずがない。「快感もあったのではないか」としばしば聞かれることがそもそもおかしいのだと。

 

イトル『悲しき虎』の「虎」はウィリアム・ブレイクの詩からきているそうだ。神は、悪の象徴「虎」と反対にある無垢な「子羊」の両方を造り出したのか?ネージュさんからすると虎はもちろん継父で、自分とレイプ犯は同じ粘土から造られたのかと問うている。未だにその答えは見つからない。何故人は沈黙し、なぜ悪の行為を行うのか。考えても答えは出てこないし、痛みは決して癒えることはない。

 

ンフィクションでありながらも文学的で、心理的精神世界にも深く踏み入っている。この本を読むだけで彼女の高い知性と思慮深さが伺われる。彼女がこのような声をあげたことに称賛したい。多くの被害者にとって慰めそして希望となり得るのはもちろんだが、男性にも広く読まれて欲しいと切に願う。

 

ィクションではあるがナボコフの『ロリータ』は文学史上の傑作であることは疑いない。作中で言及されていた、著名な法学者の継父による弟への性的虐待を記したカミーユ・クシュネルの『ファミリア・グランデ』という本が気になった。

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