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『ウエストウイング』津村記久子|子ども時代が苦手で生きにくい人もいる

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『ウエストウイング』津村記久子

朝日新聞出版[朝日文庫] 2025.08.30読了

 

村記久子さんの本を読むのは今年2冊目。この文庫本は2017年8月に刊行されているが、単行本は2012年11月と今から13年ほど前に書かれたものである。まだ初々しいという感じがするようなしないような。いやしかし彼女のデビュー作であり衝撃作だった『君は永遠にそいつらより若い』は2005年に書かれたというから、それよりもだいぶ後なのか。というよりも津村さん小説家になってもう20年も経つのね。長く最前線にいるのが本当にすごい。

 

んの変哲もない日常、その辺にいるごくごく一般的な人々の営みが書かれているだけなのに、津村さんの手にかかるとどうしてこうもおもしろくなるのか。言葉選びのセンスに唸らされ、ユーモアが入り混じった心地良い文体が読書時間に潤いをもたらす。

 

務職として働くOLのネゴロ、絵が得意な小学生ヒロシ、そして何も考えていないかのように生きる男性職員フカボリ。古い雑居ビルの物置部屋につかの間の安らぎを見出した3人は、相手の顔もわからないなかでささやかな交流をする。これがほのぼのしていて、こういうの羨ましいな〜と思いつつ現実ではちょっと難しいだろう。そもそも誰でも立ち入れるような場所って防犯面からしても昨今ではなさそうだし。

 

村さんお得意のお仕事小説的な感じだけれど、私がいちばん気になったのはヒロシだ。塾に通っていても勉強は好きでないし周りの子たちとも話が合わない。母親が自分を心配しているのはありがたくは思うけれど、どうにも鬱陶しくて苦手。ヒロシは雑居ビルの大人たちと話す方が気楽であった。そう、ヒロシの身体は子どもでも精神は大人のそれなのだ。

 

前あるテレビ番組で、金原ひとみさんが子どもの頃が一番辛かったという話をされていた。それに対して父親の金原瑞人さん(大好きな翻訳家の一人だ)は、「子ども時代が苦手な子もいるんだよ」みたいなことを話し、実際に金原ひとみさんを学校に無理に行かせることはせず自由にさせた。なんだかヒロシを見ていると金原さんもこんな子どもだったんだろうって思ったのだ。

 

はり書けば書くだけ上達するのかなと思う。最近の作品のほうが文章が研ぎ澄まされている感じがする。しかし書けば書くほどなくなるものもあるような気がする。流暢にすぎてしまい尖った感性は薄まるのかも。それでも長く作家でいられることが本当に素晴らしい。  

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