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『河を渡って木立の中へ』アーネスト・ヘミングウェイ|キャントウェル大佐を通してヘミングウェイを知る

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『河を渡って木立の中へ』アーネスト・ヘミングウェイ 高見浩/訳

新潮社[新潮文庫] 2025.04.04読了

 

気なく本の表紙をめくってヘミングウェイの経歴を見ていたら、最後の文章を読んで愕然とする。彼が猟銃で自死したということを知らなかった。普通の銃ではなく猟銃なのは、子供の頃から父親から狩を教わりアウトドアに親しみ、猟銃が馴染みのあるものだったからかもしれない。この作品でも主人公のキャントウェル大佐が鴨狩をするシーンから始まる。

 

争を経験した50歳のキャントウェル大佐は、イタリア・ヴェネツィアの地で19歳の恋人レナータと愛をささやきあう。

「私のこと好き?」

「愛しているよ」

このような会話がひたすら繰り返される。老いらくの男性が若く美しく瑞々しい女性に溺れているようで、ちょっと安っぽい話なのかなという感じがした。解説を読むと著者ヘミングウェイの体験(大佐と同じ歳の頃にある女性に一目惚れした)に基づいた作品のよう。レナータは大佐に戦争の話をせがむ。

実際に戦場に立ったか、そのため不具になった男たちが、おれは大好きなんだ。(中略)実際に戦場に立って、長期の軍務に耐えた男でなればこその業苦を受けた男を見ると、おれは心から優しい親愛の情にほだされてしまう。(101頁)

実際に戦争を体験した者でないとこのような思いは湧いてこないと思う。20世紀前半の多くの戦争を経験したヘミングウェイだからこそ書ける戦禍の真実。

 

のにおいが耐えずつきまとっている。キャントウェルは、死を受け入れる覚悟を持って生きているのだ。自らの心臓がもう長くはないと悟った彼は何を残すのか。この小説はヘミングウェイの作品群の中ではあまり知られておらず駄作との呼び声もあるようだが(個人的にも名作とは言い難いかなぁ…)、キャントウェル大佐を通してヘミングウェイ自身のことを知るには興味深いと言える。

 

ミングウェイってこんなにハードボイルド臭ぷんぷんだったっけ?予想外に感じたが、ヘミングウェイwikiで調べてみると、ジャンルに「ハードボイルド」とも書いてあった。彼の作品は代表作と呼ばれるものを2〜3冊読んだが、若い時で海外文学に慣れていなかったこともあってあまり理解ができなかったような気がする。『老人と海』から読み直そう。




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