
『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』小谷みどり
昔に比べてお葬式に参列する回数は間違いなく減っていると感じる。多くの人が家族葬を選ぶからだろう。私が働いている会社でも、社員の家族関係の訃報は伏せられていることが多く、数日休暇を取っているなと思ってもそれが単なる休暇なのか忌引きなのかわからない。多様性が叫ばれる今、生き方が変わっているように、死にまつわる物事も確実に変化している。自分が死ぬ時の準備を考えている人はどのくらいいるだろうか。
高齢化社会のいま、死にまつわる出来事界隈で何が起きているのか、お葬式やお墓はこれからどうなるのかなど、日本におけるそれぞれの変遷からはじまり、外国の事情についても綴られており、それらを知るだけでも勉強になった。
東日本の火葬場では遺族は遺骨をすべて持ち帰るが、西日本では遺骨の一部しか持ち帰らずほとんどは火葬場に置いてくる。部分収骨といい、置いていった遺骨は産業廃棄物として業者が処分するそうだ。骨壺の大きさが違うと思っていたのはこれだったのか。関西圏の小さい骨壺のほうが理にかなっているように思うが色々と意見はあるだろう。
終盤の「ひとり死時代で葬送はどこへ」「誰に死後を託すのか」について書かれた章を興味深く読んだ。「まわりの人とどれだけ深い関係を築いてきたかが、先の見えない将来において不安を軽減する重要な要素になる」(212頁)という箇所がとりわけ印象に残った。今は毎日仕事に出ているからなんとも思わないが、退職して誰にも会わず誰とも話さなくなってしまったら不安すぎる。
著者の小谷みどりさんは現在55歳、42歳のときに同じ年の旦那さんと死別したそうだ。朝起きてこない旦那さんは心臓発作で突然の死だったとのこと。これをきっかけにして、より「死」について深く考えるようになったそうだ。死というのは誰にでも平等に訪れるものだし、歳をとっていなくても、自然災害や事故に巻き込まれたり、明日急に死ぬかもしれないという意味では誰にでも可能性はある。どう生きるかは選べてもどう死ぬかは究極には選べないのだから。