
『シンコ・エスキーナス街の罠』マリオ・バルガス=リョサ 田村さと子/訳
河出書房新社 2024.11.28読了
ペルー・リマを舞台とした現代小説で、リョサさんの作品の中ではかなり(というか一番)読みやすい部類に入る。
シンコ・エスキーナス街は、至る所で強盗や喧嘩や殴り合いが行われているリマで最も危険な地域である。鉱山王である実業家のエンリケは、愛する妻と暮らしていたが、2年前に起きたある出来事がきっかけでスキャンダルに巻き込まれてしまう。
よく知らない地域が舞台となる作品を読むと、その国の文化に興味を覚える。伝統的なクレオールの飲み物である「エモリエンテ」がリマではお馴染みだったらしいが、その屋台がなくなってしまうだろうと書かれている。もしかしたら現在では既にないのかもしれない。失われつつある文化のひとつ。たとえば、トルコの「ボザ売り」もそうだ。日本にもそういう失われた文化はたくさんある。
サスペンスフルな展開で、スリリングである一方官能的な場面も多く大人な小説という印象だ。官能さもスリリングといえるか。リョサは作家として名声を高めているが、実は大統領選にも立候補するほど政治の世界にも関心があった。政治がビジネスや司法とどう関わるのかが興味深かった。でも、他のリョサの作品と比べてしまうと少し劣ってしまうかなぁ。
ほぼ新品と変わりがないのに、都内のある書店でバーゲンブックとして半額で購入した。翻訳ものは価格が高いから、こういうのはとても助かる。