
『三つ編み』レティシア・コロンバニ 齋藤可津子/訳
早川書房[ハヤカワepi文庫] 2024.11.02読了
私は今までの人生のほとんどをショートヘアで過ごしてきた。長くしていた時でも、やっと結えるくらいの長さ。だから、表紙のイラストのようないわゆるお下げの三つ編みをしたことはない。昔は三つ編みにした女学生はたくさんいたような気がするけれど、今は滅多に見ないよなぁ。
フランスの女性作家が書いた小説だがフランス人は出てこない。登場する主人公は3人、インド人スミタ、イタリア人ジュリア、カナダ人のサラだ。彼女たちはそれぞれの悩みを抱えているが、強く生きている。
読み始めてまず驚いたというか辛い気分になったのはスミタの生活だ。なんと他人の排泄物を素手で掬い取るという仕事をしているのだ。パン屋で働けばパンの匂い、魚屋で働けば魚の生臭い臭いが身体に染み付く。ゴミ収集車の仕事は常にゴミの臭いが付着すると聞き、大変な仕事だと感じたことがある。しかしこの糞便掬いたるものはその比ではないだろう。
別々の国で異なる境遇の女性たちが「髪の毛」を通して一つに繋がる様が見事だ。飾り気のない平坦で短い文章なのだが、それが逆に胸にずぶずぶと刺さる。3人のストーリーが順序よく端的なリズムで繰り広げられる。一部でサラの章が抜かされるところに気付いたが、その理由も読み進めるとハッと気付かされる。
ハヤカワepi文庫は名作が多いから読む前からハードルが上がっていたが、期待を裏切らなかった。しなやかで強く美しく、希望に満ち満ちている。読んだ後には、誰しもが明るい未来を想像し豊かな気持ちになれるだろう。いかにもこのレーベルに入るべき作品だった。この作品には続編があるようなので今度読みたい。