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『灯台へ』ヴァージニア・ウルフ|分かり合えないことを肯定してくれる

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灯台へヴァージニア・ウルフ 鴻巣友季子/訳

新潮社[新潮文庫] 2024.10.05読了

 

トーリー自体は特になくて、ただただひたすらに心理的な描写が続いていく。お世辞にも物語としておもしろいとは言えないのに、どうしてこんなにも魅了されるのだろう。読んでいて何故かホッとする心地良さがある。

 

日の天気が良ければ灯台に行こうという会話から始まり、散歩をしたり絵を描いたりディナーをしたり、なくしたブローチを探そうとかどうでも良いようなことがつらつらと綴られる。別荘にいるラムジー夫妻とその子供たちがメインとなるのだが、他にもラムジーの友人バンクスや画家のリリーたちが語る。その語り手が、というか思惑者が目まぐるしく変わる。段落ごとに変わるだけではなく、同じ段落の中でも急に違う人の心の声が出てきたりと、ちょっと戸惑いながら読み進める。

 

も言わなくても分かり合えることに人間同士の相思相愛さがうかがえてそれがさも幸福なことのように一般には言われるが、実際の人間関係は分かり合えることなど決してないのだと、それがむしろ人間同士の営みなのだと安心できる気になる。近くにいる人のことですらわからないという不安、これは普通のことなんだ。

 

潮文庫のスタークラシックは紙質が少し厚めのカバーが特別感があって好き。今回の作品は新訳ではなく河出書房の世界文学全集(池澤直樹さん個人編集)に収められたものである。文庫の解説が大好きな津村記久子さんなのが嬉しい。津村さんの『読み直し世界文学』を随分前に購入しているけれど、そろそろ読もうかしら。




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