退職を目前にした今日という日、みなさまに挨拶をしてそっと事務所を出てきた。
そんな私のあとをさらにそっと追いかけてきてくれた人たちは、私がボロンボロンになって行く中でも「生きろ」、と言ってくれた人たちだ。
糸井は好きになれないが、もののけ姫は大好きだ。

こうして私を追いかけて退職祝いを贈ってくれた人たちに報いたいし、こっそりじゃないとプレゼントも渡せない空気の事務所ってやっぱおかしいんじゃ、と去る気持ちを新たにした。
これから何をするか、何になるのかはまだ未定だが、私が望まない限り、あるいは外的要因がない限り死にはしないので焦らずなんとなく転職活動を頑張るぞ。
無職の間に自費出版もしてみたい。
それはそれとして、自分の健康のバロメーターが判明した。
しょうもないギャグが頭蓋骨の内側を跳ね回り始めたら、脳の解放の合図だ。
今日はずっと、トイレに行くときに
「尿意の棒、にょういぼう」
が頭から離れなかった。
しょうもなさすぎる。
本当に意味がない。
しかし、「打ち合わせが14時からだから昼飯は抜き…17時からの会議の準備も終わってないからあの作業は後に回して…」と考える脳のリソースがガポッと空いたところに吹き抜ける暴風のような無意味な思考。
これが半年、姿を消していた。
書いてもいない小説が作品賞を受賞したときのスピーチでまず何を言おう。
coccoがライブで言った「thank you for being here」(ここに居てくれてありがとう)が好きだからオマージュしようかな。
献本は前職場にはするけど今のとこはいらないな。
表紙とか装丁は誰に頼もうかな。
高橋亜弓さんだったら嬉しいな。
取らぬ狸も腹を出して寝るぐらいの妄想が戻ってきた!
「ロビンソンクルーソー、ロビンソン狂うぞお」
とかも戻ってきた!
私の脳!
私の脳だよこれが!
生産性のない、何もないことで満ち満ちた私の脳!
愛おしい脳が戻ってきた。
このとき、本当にヤバかったのだ。
私が私であるという唯一の証明。
無意味な思考。
おかえり!